ドッグフードのたもぎ茸。他のきのこ類よりも抗酸化活性が非常に高い!犬への健康効果や与え方を解説

ドッグフードのたもぎ茸。他のきのこ類よりも抗酸化活性が非常に高い!犬への健康効果や与え方を解説

ドッグフードの原材料:たもぎ茸(Tamogi mushroom

鮮やかな黄色いきのこ

たもぎ茸(たもぎたけ)とは、主に日本の北海道や東北地方の山間部に自生するきのこで、北海道では「タモキノコ」や「コガネシメジ」とも呼ばれています。

鮮やかな黄色のひらひらとした形状の傘が特徴で、味や香りは穏やかでクセが少なく、和食やスープなどさまざまな料理に利用されています。

高栄養価で犬用製品にも配合される

たもぎ茸は限られた環境でしか育たず、市場にほとんど出回らない貴重な存在であったため、その希少性から「幻のきのこ」とも呼ばれています。現在では人工栽培が進み、その美しい見た目と栄養価の高さから特別なきのことして注目されています

たもぎ茸はその高い栄養価が犬にも効果があるとされ、ウェットフードや犬用おやつ、犬用サプリメントの原材料にも使用されています。

たもぎ茸が原材料のドッグフード例

たもぎ茸はドッグフード(ドライ・総合栄養食)の原材料にはほとんどみられませんが、ウェットフードや犬用おやつ、犬用サプリメントに配合されています。

原材料欄にはたもぎ茸のほか、たもぎ茸パウダーたもぎ茸粉末たもぎ茸エキスなどと表記されます。

  • HEALTHY ANIMALS 北海道ピューレ 白子味(植物発酵酵素+たもぎ茸配合)
  • HEALTHY ANIMALS パフパフライス 鹿味(植物発酵酵素+たもぎ茸配合)
  • てとて、One Health Project〈犬猫用〉乾燥たもぎ茸
  • たもぎ茸パウダー
  • Dr.TAMOGI ふりかけ

など

たもぎ茸の栄養素と犬への健康効果

さまざまな健康効果を持つ

たもぎ茸にはアミノ酸やビタミンB群、食物繊維、ポリフェノールなどが豊富に含まれており、犬にとってさまざまな健康効果をもたらします。

たもぎ茸の健康効果栄養素特徴
抗酸化作用エルゴチオネイン
βグルカン
ポリフェノール
・ビタミンB群
細胞の酸化ストレスを軽減し、老化防止に貢献。
抗炎症作用エルゴチオネイン
βグルカン
ポリフェノール
炎症を抑え、慢性的な炎症のリスクを軽減。
抗腫瘍作用エルゴチオネイン
βグルカン
ポリフェノール
・食物繊維
がん細胞の増殖を防ぐアポトーシス(細胞の自然死)を促進。
免疫力の向上エルゴチオネイン
βグルカン
ポリフェノール
免疫細胞を活性化し、病気への抵抗力を高める。
腸内環境の改善βグルカン
・食物繊維
食物繊維が腸内の善玉菌を増やし、便通を整える。
血糖値の安定エルゴチオネイン
βグルカン
・食物繊維
糖の吸収を緩やかにし、血糖値の急激な上昇を抑える。
コレステロール低下βグルカン
ポリフェノール
・食物繊維
血中の悪玉コレステロールを抑え、動脈硬化予防に寄与。
疲労回復・アミノ酸
(主にグルタミン酸)
・ビタミンB群
エネルギー代謝をサポートし、疲労回復を促進。
認知機能サポートエルゴチオネイン
・抗酸化物質
抗酸化作用が神経細胞を守り、認知機能の低下を防ぐ可能性。

これらの健康効果はたもぎ茸の高栄養素によるものですが、とくに注目すべき栄養素はエルゴチオネインβグルカンポリフェノールです。

たもぎ茸の高栄養価と健康効果に着目した研究も多く発表されています。

他のきのこ類と比べて栄養価が高い

たもぎ茸には、エルゴチオネインがしいたけの約7倍βグルカンがアガリクスの約2倍含まれています。

エルゴチオネインとは抗酸化作用を持つ成分で、βグルカンは免疫力の向上の効果があります。たもぎ茸には、これらの栄養素が他のきのこ類と比べても豊富に含まれており、健康食材として注目されています。

少量でも多くの栄養を摂取できるため、食欲が落ちている犬や老犬、ドッグフードへの嗜好性が落ちている犬などにおすすめといえます。

他のきのこ類と比べて抗酸化活性が高い

研究により、たもぎ茸の抗酸化作用は、他のきのこ類と比べて抽出温度に関係なく非常に高い活性を示すことが分かりました(図1)。

つまり、殺菌工程での熱処理によってこれらのきのこ抽出物の抗酸化活性はほとんど失われないため、加工食品の原料として十分に適しているといえます。

ドッグフードのたもぎ茸。他のきのこ類よりも抗酸化活性が非常に高い!犬への健康効果や与え方を解説

また、きのこ類のポリフェノール含有量を測定したところ、抗酸化活性の傾向と大きな違いがみられないことから、抗酸化活性に影響を与える成分の一つとして関与が判明しました(図2)

ドッグフードのたもぎ茸。他のきのこ類よりも抗酸化活性が非常に高い!犬への健康効果や与え方を解説

出典:糖脂質を主とするきのこの機能性成分の効率的生産技術と素材加工技術の開発|北海道立総合研究機構食品加工研究センターのデータをもとに作成

ポリフェノール

ポリフェノールとは、植物が紫外線や外敵から身を守るために生成する抗酸化物質で、多くの果物や野菜、お茶、きのこ類などに含まれます。主な種類にはフラボノイド、カテキン、アントシアニン、クルクミンなどがあり、それぞれ異なる健康効果を発揮します。

抗酸化作用のほかに抗炎症作用、免疫力の向上、血流改善や血糖値の調整、コレステロールの低下などさまざまな健康効果を持ちます。

エルゴチオネイン

エルゴチオネインとは強力な抗酸化作用を持つアミノ酸の一種で、とくにきのこ類に多く含まれます。

エルゴチオネインは細胞内に取り込まれ、長期間蓄積されやすいという特性を持ち、活性酸素によるダメージから細胞を保護する働きがあります。これにより脳や肝臓、腎臓などの臓器を保護し、老化防止や炎症抑制、疲労回復に寄与します。

エルゴチオネインの活性酸素消去活性(体内の活性酸素を除去する作用)は、生体内で最も多く存在する抗酸化物質グルタチオンよりも約3~30倍も高いとされています。

またエルゴチオネインは炎症を抑える作用も持ち、動脈硬化や関節炎、神経変性疾患などの慢性的な炎症による疾患のリスクを軽減する可能性があります。さらに、脳への蓄積が確認されており、認知機能の低下を防ぐ効果も期待されています。

参考:エルゴチオネイン~安定・安全かつ強力な天然抗酸化物質~|長瀬産業株式会社

βグルカン

βグルカンとは水溶性食物繊維の一種で、とくにきのこ類や酵母、大麦などに含まれています。

体内に入るとマクロファージやナチュラルキラー(NK)細胞などの免疫細胞を活性化し、病原体への抵抗力を高める役割を果たすため、感染症予防やがん細胞の抑制にも寄与します。

また腸内環境の改善やコレステロールの低下、血糖値の安定化にも寄与し、犬の生活習慣病の予防にも期待されています。

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たもぎ茸の与え方と注意点

犬はたもぎ茸を食べても大丈夫

たもぎ茸には犬にとって中毒となる成分が含まれていないため、犬が食べても大丈夫です。

たもぎ茸などのきのこ類は茹でると出汁が出て風味がいいので、嗜好性アップや食欲増進に効果的です。

茹でて細かく刻んでドッグフードにトッピングしたり、おやつとして与えたり、手作りごはんとして取り入れましょう

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生のきのこは消化不良になりやすい

犬にたもぎ茸を与えるときは、生ではなく加熱(茹でる・蒸す)したものを与えましょう

生のきのこは食物繊維が多く、大量に摂取すると嘔吐や下痢、消化不良など消化器症状を引き起こす恐れがあります。

散歩で出合う?

たもぎ茸は北海道や東北地方の山間部に自生しているため、都市部や公園、住宅街など普段の犬の散歩で見かけることはほとんどないでしょう。

しかし、登山やキャンプなどで山間部や森林の散歩コースでは遭遇する可能性があります。

野生のきのこには有毒な種類が混ざっていることもあります。とくにたもぎ茸に似た黄色いきのこと確実に見分けるのは非常に難しいです。犬がきのこに興味を示した場合は、触れたり口に入れないようにし、見つけたらすぐに離れるのが安全です。

まとめ

  • 栄養価が高い幻のきのこで、犬用製品にも配合される
  • 他のきのこ類と比べてエルゴチオネインやβグルカンが豊富
  • 他のきのこ類と比べて抗酸化活性が非常に高い
  • 犬に与える場合は加熱して細かくカットする
ドッグフードのきのこ類。免疫力向上のβグルカンが豊富!注意すべき毒きのこは?

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2022年5月9日

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帝京科学大学アニマルサイエンス学科卒業。愛玩動物飼養管理士2級、ペットセラピスト、ペット看護士の資格を取得。ドッグフード勉強会ディレクターとして、わんちゃんの栄養や病気、生態、ドッグフードなどの情報を提供しています。文章を通してわんちゃんの魅力を発信し、また飼い主さんの悩みや不安を解決することで、わんちゃんと飼い主さんの幸せのお手伝いになれれば嬉しいです。