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犬の歯を守るために
犬の健康を維持するうえで、口腔ケアは非常に重要な要素の一つです。
歯周病を放置すると心疾患や腎疾患など全身の疾患リスクを高める恐れがあるため、しっかりとした予防や定期的なデンタルケアを行い、歯周病の予防と口腔内環境の健康を守ることが犬の長期的な健康維持につながります。
そんな中、歯周病菌の増殖を抑制する成分としてローレッシュ（Lowrezh）という天然成分が注目されています。
今回は歯周病予防に効果的なローレッシュについて、犬への効果とメリット、注意点などを解説します。
犬の歯周病について。放置するとどうなる？
ローレッシュの前に、まずは「犬の歯周病の危険性」についてご紹介します。
多くの犬が抱える歯のトラブル
犬も人間と同じように歯のトラブルを抱えることがありますが、その中でもとくに多いのが歯周病です。
ペット保険の「PS保険」を提供するペットメディカルサポート株式会社が発表した「犬がかかりやすい歯の病気ランキング」によると、犬の約80％は歯の病気を抱えています。
その中でも最も多いのが「歯周病」で、全体の半数(52.9%)を超えています。歯周病は放置すると歯の喪失や全身疾患を引き起こす恐れがあります。
歯周病は、歯垢や歯石が原因で歯茎に炎症が起こり、進行すると歯を支える骨が溶けてしまう口腔疾患です。
歯周病になるメカニズム
食べかすや細菌が歯に付着して歯垢（プラーク）を形成し、それが放置されると歯石へと変化します。歯石の表面にはさらに細菌が付着しやすくなり、歯肉炎となって歯茎に炎症や腫れ、出血があらわれます。
さらに症状が進行すると歯周病となり、歯を支える組織や歯槽骨が破壊されます。
歯周病は加齢やデンタルケア不足などの原因により発症するため、どの犬種でもかかりやすいですが、小型犬や短頭種に多いとされています。とくに、歯が密集していたり、顎が小さいチワワやポメラニアン、パグ、マルチーズは注意が必要です。
放置するとどうなる？
犬の歯周病を放置すると、口の中だけでなく全身の健康にも悪影響を及ぼします。
| 歯周病を放置すると… | |
|---|---|
| 口臭の悪化 | 強い口臭が続く |
| 食欲不振 | 痛みのため食欲が落ちる |
| 体重減少 | 食事量が減ることで体重が減少 |
| 顎の骨の損傷 | 症状が重度になると顎の骨が溶けて折れる恐れ |
| 内臓疾患のリスク | 血液を通じて歯周病菌が心臓や腎臓に悪影響 |
歯周病は気付かないうちに症状が進行していることがあるため、日頃から犬のデンタルケアを意識し、歯周病の予防を心がけることが重要です。
参考：小動物歯科診療の歴史ならびに現状と展望（Ⅱ）｜藤田桂一
歯周病予防の成分「ローレッシュ」とは
月桂樹の葉から抽出したエキス
月桂樹
ローレッシュとは、月桂樹（ローリエ）の葉から抽出・精製された天然成分です。ローリエは料理の香辛料としても知られていますが、その成分には口腔ケアに有効な特性があります。
とくに主成分であるデアセチルラウレノビオリドは歯周病菌に対する強い抗菌・抗炎症作用を持ち、細菌の増殖を抑える働きがあると注目されています。
ローレッシュは人間用の歯磨き粉やマウスウォッシュなどのデンタルケア製品に配合されていましたが、天然成分で安全性が高いため、犬用デンタルケア製品にも配合されることが多くなっています。
ローレッシュの安全性は？
月桂樹は犬が食べてはいけないハーブの一つです。とくに芳香成分のリナロールやオイゲノール、シネオールは、犬が過剰摂取すると嘔吐や下痢、神経障害が起こる恐れがあり、最悪の場合は死亡するといわれています。
しかし、ローレッシュはこれら芳香成分を取り除いているため、犬が摂取しても大丈夫です。ローレッシュ配合のデンタルケア製品を販売している会社では、ヒト臨床試験や動物試験にて安全性が確認されています。
ヒト用食品原料を使用し、ヒト用医薬品製造工場で使用されています。動物実験でも安全性が確認されています。また小さく、薄い製品は喉につまらせたり、歯折のリスクがほとんどありません。
引用元：ペティーナ
ローレッシュの歯周病菌抑制効果
ローレッシュは犬にとって多くの健康効果があります。
- 歯周病菌の増殖抑制
- 歯垢・歯石の形成抑制
- 歯肉炎の予防
- 口臭の軽減
- 口腔内の菌バランス維持
①歯周病菌の増殖抑制
ローレッシュの主成分であるデアセチルラウレノビオリドは、歯周病の原因となる細菌に対して強い抗菌作用を持っています。
歯周病菌は歯垢の中で増殖し、歯茎の炎症や歯槽骨の破壊を引き起こしますが、ローレッシュは細菌の増殖を抑えることで歯周病の進行を防ぐ効果が期待されています。
②歯垢・歯石の形成抑制
歯に食べかすや細菌が付着して歯垢（プラーク）が形成され、放置されて時間が経つと硬化して歯石へと変化します。歯石は細菌の温床となり、歯周病の進行を早める要因となります。
ローレッシュには歯垢の段階で細菌の増殖を抑え、歯石の形成を防ぐ働きがあります。これにより定期的な歯磨きやデンタルケアの補助としても活用でき、口腔内を清潔に保つことができます。
③歯肉炎の予防
歯周病が進行すると歯茎が炎症を起こし（歯肉炎）、赤く腫れたり出血しやすくなります。
ローレッシュの抗菌作用によって炎症の原因となる細菌の繁殖を抑え、歯茎の健康維持に寄与します。また抗炎症作用もあるため、すでに炎症が起きている場合でもさらなる悪化を防ぎぐ効果が期待できます。
④口臭の軽減
口臭の原因の多くは、歯垢や歯石の蓄積、口腔内の細菌繁殖、腐敗した食べかすが発するガスによるものです。
ローレッシュにはこれらの原因菌の増殖を抑える抗菌作用、また歯垢や歯石の形成を防ぐ作用により、犬の口臭の軽減に効果的といえます。
⑤口腔内の菌バランスの維持
口腔内の健康は、善玉菌と悪玉菌がバランスよく存在することが重要となります。しかし、歯周病菌が増殖して悪玉菌が優勢となると、歯周病のリスクが高まり、症状が悪化します。
臨床試験において、ローレッシュは口腔内の悪玉菌であるタネレラ・フォーサイシア（Tannerella forsythia）の増加を抑え、健常な歯茎を丈夫で健康に保つ機能が確認されています。これは人による研究ですが、犬においても同様の効果を発揮する可能性があります。
他のデンタルケア製品との違いは？
強い抗菌・抗炎症作用
一般的なデンタルケア製品は、「歯垢や汚れを取り除くこと」に重点を置いています。しかし、ローレッシュは歯垢の除去だけでなく、「歯周病の原因となる細菌自体を抑える」ことに特化している点が特徴です。
多種多様な形状やタイプ
一般的なデンタルケア製品は主に歯磨き粉やデンタルガムが多いですが、ローレッシュはデンタルウォーターやジェル、スプレー、シートなど多種多様な形状やタイプの製品に配合することができます。
そのため、歯磨きが苦手な犬でも手軽に使うことができ、ストレスも少なく習慣化することができます。犬種や性格に合わせて選択肢が増えることも、飼い主さんにとっては大きなメリットでしょう。
口臭軽減の効果が高い
一般的なデンタルケア製品は、香りや味付けによって口臭を隠すものが多いですが、ローレッシュは根本的に口臭の原因となる細菌の繁殖を抑えるため、継続的な使用で根本的な口臭改善が期待できます。
ローレッシュ配合の犬用製品
原材料欄にはローレッシュのほかに、ゲッケイジュ葉抽出物、月桂樹葉エキスなどと表記されます。
- 合同会社ホラス ペティオーラAD
- 株式会社ペティーナ 口腔内付着型フィルム
- Dr.Pettle 犬専用歯磨き粉 Dental Care
- ペット歯磨きジェル HANI-MAL
など
犬にローレッシュ配合製品を使う注意点
植物成分にアレルギー反応を示す恐れ
ローレッシュは月桂樹由来であるため、犬によっては植物成分に対してアレルギー反応を示す恐れがあります。
犬に初めてローレッシュ配合製品を使用する場合は少量からスタートし、様子を見ながらデンタルケアを行いましょう。犬の体調が悪そうであったり、口周辺に赤みや腫れなどの異常があらわれたら動物病院で診てもらってください。
とくに持病のある犬やアレルギーの懸念がある場合は、事前に獣医師と相談してから導入すると安心です。
香りを嫌がる猫もいる
ローレッシュが持つ月桂樹特有の爽やかな香りは、強すぎず心地よい香りとされていますが、香りや味に敏感な犬は嫌がるかもしれません。
犬が嫌がるような仕草がみられたら中止し、他のデンタルケア方法を試してみましょう。
月桂樹は犬の散歩で出合う？
月桂樹は庭木や公園の植栽として広く使用されているため、公園や住宅街の庭、公共施設周辺など犬の散歩中に出合うことはあります。
月桂樹の葉には、犬にとって有害となる芳香成分リナロールやオイゲノール、シネオールなどが含まれています。 犬が葉をかじったり飲み込んでしまうと、中毒症状を引き起こす恐れがあります。
そのため、散歩中に月桂樹の近くを通る際は、犬が葉を口にしないよう注意し、リードを短めに持つようにしましょう。
まとめ
- 歯周病は気付かないうちに進行するため、日頃からのデンタルケアが重要
- 犬用ローレッシュ製品は芳香成分が除去されている
- ローレッシュには菌増殖抑制や口臭の軽減、歯肉炎の予防の効果がある
- 香りや味に嫌がったり、アレルギー反応が出た場合は中止する
