ドッグフードの原材料:しめじ(shimeji mushrooms)
しめじは日本で広く食用とされるきのこの一種で、本しめじ、ぶなしめじ、ヒラタケ、ハタケシメジなど多くの種類があります。スーパーなどで一般的に流通されている「しめじ」はぶなしめじを指し、ご家庭のごはんだけでなく犬の手作りごはんに取り入れやすい食材の一つです。
しめじは低カロリーで栄養価が高く、特にβグルカンや食物繊維が豊富で、腸内環境を整えたり、免疫機能を向上させる効果が期待されています。
また、しめじに含まれるオルニチンは栄養価が高く、肝機能のサポートや疲労回復に役立つ成分として注目されています。
しめじが原材料のドッグフード例
しめじの栄養素
下表は、ぶなしめじ/生の100gあたりの栄養素です。
一般的にドッグフードや犬用製品に配合される際は生ではなく乾燥されたものを使用するため、記載よりも100gあたりの栄養素量は多くなります。
ぶなしめじ/生100gあたり | ||
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エネルギー | 26 | kcal |
たんぱく質 | 2.7 | g |
カリウム | 370 | mg |
リン | 96 | mg |
ビタミンB1 | 0.15 | mg |
ビタミンB2 | 0.17 | mg |
ビタミンB6 | 0.09 | mg |
食物繊維 | 3.5 | g |
※出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
しめじが原材料のドッグフード例
しめじはドッグフード(ドライ・総合栄養食)の原材料に使用されているのはほとんど見かけませんが、その高い栄養価から犬用おやつなどに配合されています。
原材料欄にはしめじのほかに、きのこ類(しめじ)、乾燥しめじ、しめじエキス、しめじ抽出物、しめじ由来オルニチンなどと表記されます。
- ボウルズフレッシュドッグフード 秋冬野菜MIX
- 無添加 フリーズドライ しめじ
- メルシーヌ 完全手作り無添加ドッグフード
- エーワン ストゥー・ド・サーケ
など
しめじの栄養素と犬への健康効果
しめじに含まれるβグルカンやオルニチン、エルゴステロール、ポリフェノール、ビタミンB群などの栄養素により、犬にとって多くの健康効果をもたらします。
その中でも、特にβグルカンやオルニチン、エルゴステロールは高い健康効果を示します。
- 抗酸化作用(βグルカンにより細胞の酸化を防ぐ)
- 免疫力の向上(βグルカンにより感染症や病気の予防)
- コレステロール低下(βグルカンにより動脈硬化のリスク軽減)
- 腸内環境の改善(不溶性食物繊維により腸の動きを促進)
- 肝機能のサポート(オルニチンにより肝臓の解毒作用をサポート)
- 骨の健康維持(エルゴステロールによりカルシウムの吸収を促進)
- 肌トラブル予防(ビタミンB群により皮膚や被毛の健康維持)
- ダイエット(低カロリー・低脂質・高食物繊維)
免疫力向上のβグルカン
βグルカンとは食物繊維の一種で、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の両方の性質を持つことが特徴です。マクロファージやナチュラルキラー(NK)細胞などの免疫細胞の活性を高め、ウイルスや細菌への防御力を強化します。
その他、腸内環境の改善や抗腫瘍作用、コレステロールの低下、血糖値の安定化などの健康効果も持っています。
βグルカンは主にきのこ類や酵母、大麦、オーツ麦(燕麦)などに含まれていますが、特にきのこ由来のβグルカンは免疫調節作用が強いとされており、健康維持・向上を目的とした犬用おやつや犬用サプリメントに広く利用されています。
βグルカンは多くの犬に摂取してほしい栄養素ですが、免疫力が低下しやすい老犬や、病気がちの犬、病後の回復期の犬などに特に効果的と言えます。
肝機能をサポートするオルニチン
オルニチンとはアミノ酸の一種で、体内のアンモニアを解毒するオルニチンサイクルに関与し、肝臓の健康維持や疲労回復など肝機能をサポートする重要な役割を果たします。また、オルニチンには成長ホルモンの分泌を促進する作用や、ストレス軽減、睡眠の質向上など多くの健康効果を持ちます。
オルニチンはシジミに豊富に含まれていると広く認知されていますが、近年の研究により、オルニチン含有量は、ぶなしめじが779~2,198mg/kg、シジミは100~150mg/kgとされ、ぶなしめじにはシジミの約7~14倍のオルニチンが含まれていることが分かりました。
肝機能が低下している犬や、疲れやすい犬、スポーツドッグなど運動量が多い犬、ストレスを感じやすい犬、食欲低下により代謝が落ちている犬に、しめじの摂取がおすすめと言えます。
参考:トリプル四重極LC/MS/MSを用いたきのこ(ぶなしめじ)中のオルニチン分析|堀池 秀樹
骨の健康維持をするエルゴステロール
エルゴステロールとは、きのこ類や酵母などに多く含まれるステロールの一種で、植物におけるコレステロールに相当する成分です。特にしめじ、しいたけ、舞茸、エリンギ、マッシュルームなどのきのこ類に豊富に含まれています。
エルゴステロールの最大の特徴は、紫外線を浴びることでビタミンD2(エルゴカルシフェロール)に変化することです。ビタミンD2はカルシウムの吸収を促進し、骨の健康維持や骨粗しょう症予防に役立ちます。
また、エルゴステロールには抗酸化作用があり、細胞の酸化を防ぎ、老化防止や免疫力向上に寄与する可能性があるとされています。
骨や関節の健康を維持したい犬や、日光をあまり浴びる機会が少ない犬、チワワやトイプードルなどなど小型犬や骨が細い犬種に、しめじの摂取がおすすめと言えます。
しめじの与え方と注意点
トッピングや手作りごはんに
しめじには中毒となる成分が含まれていないため、犬が食べても大丈夫です。
しっかりとした食感があり、料理の具材として満足感を得られるだけでなく、低カロリーであるため肥満予防や栄養バランスを考えた手作り食にも適した食材と言えます。
ドッグフードにトッピングしたり、手作りごはんの食材として取り入れたり、おやつやご褒美としても活用しましょう。
散歩で出合う?
スーパーで一般的に流通しているしめじは人工栽培されたものであるため、野生にはほぼ存在しません。しかし、しめじの仲間のハタケシメジやウラベニホテイシメジは公園や雑木林、草地、畑の近くなど犬の散歩で出合う可能性があります。
きのこ類は食用きのこ・毒きのこの見分けが非常に難しいため、散歩中に見つけても犬が口にしたり触れたりしないように注意しましょう。
まとめ
- しめじは高栄養価であり、手作りごはんに取り入れやすい
- 肝機能をサポートするオルニチンはシジミの約7~14倍の含有量
- 骨や関節の健康維持や、肝機能をサポートした犬におすすめ