ドッグフードのプロバイオティクスとは?犬の腸内環境を整える効果や、プレバイオティクスとの違いについて解説

ドッグフードのプロバイオティクスとは?犬の腸内環境を整える効果や、プレバイオティクスとの違いについて解説

古川さん
プロバイオティクスは「健康に良さそう」というイメージがあります。ドッグフードにも入っているみたいですが、犬にどんな効果があるんですか?

犬田さん
プロバイオティクスとは、犬の腸内環境を整える善玉菌のことです。腸だけでなく、免疫や皮膚の健康にも関わる重要な要素なんですよ。

古川さん
お腹の調子を整える、というのは聞いたことがあります。でも、元気そうに見える犬にも関係があるんですか?

犬田さん
犬は見た目が元気でも、ストレスや食事の変化で腸内バランスが乱れやすい動物です。だからこそ、毎日の食事から腸を整える考え方が注目されています。

どんな菌が使われているのか、どう選べばいいのかを知っておくと、愛犬の腸に合ったドッグフードを選べるようになりますよ。

プロバイオティクスとは?

腸内環境を整える生きた微生物

プロバイオティクスとは、「腸内フローラのバランスを改善することによって宿主の健康に好影響を与える生きた微生物」と定義されています。つまり、犬の腸内環境に良い働きをする生きた微生物のことです。

プロバイオティクスとして考えられているのは以下の条件を満たしたものです。

プロバイオティクスの条件
  1. 安全性が保証されている
  2. もともと宿主の腸内フローラの一員である
  3. 胃液、胆汁などに耐えて生きたまま腸に到達できる
  4. 下部消化管で増殖可能である
  5. 宿主に対して明らかな有用効果を発揮できる
  6. 食品などの形態で有効な菌数が維持できる
  7. 安価かつ容易に取り扱える

参考:用語集 プロバイオティクス|公益財団法人 腸内細菌学会

プレバイオティクスとの違いとは?

プロバイオティクスと混同されやすい言葉に「プレバイオティクス」があります。

プレバイオティクスとは、犬の腸内にいる善玉菌の活動を支える栄養成分のことを指します。オリゴ糖やイヌリン、フラクトオリゴ糖(FOS)などが代表的で、善玉菌が増えやすい環境づくりに役立ちます。

  • プロバイオティクス=腸内で直接働く善玉菌
  • プレバイオティクス=その善玉菌の働きを支える栄養成分

両者を合わせた「シンバイオティクス」という考え方もあり、犬の腸内環境をより安定させたい場合に重視されるようになっています。

ドッグフード プレバイオティクス

犬の腸内環境を改善するプレバイオティクスとは?ドッグフードのオリゴ糖やイヌリンの働き

2022年4月5日

腸の健康は全身の免疫状態に影響する

画像:犬の腸内環境が多様なほど、健康度が高いことが明らかに!|アニコムのデータをもとに作成

腸は体内の免疫機能と深く関わる器官で、多くの免疫細胞が集中している場所です。そのため、腸内環境が乱れると、防御機能のバランスにも影響が及びやすくなります。プロバイオティクスを取り入れることで腸内の善玉菌が整い、犬本来が持つ防御力を内側から支える働きが期待されます。

さらに、犬を対象とした腸内細菌に関する研究では、腸内細菌の種類が豊富な犬ほど、体調が安定している傾向が見られることが報告されています。腸内環境の多様性を保つことは、日常的な健康管理において重要なポイントといえるでしょう。

ドッグフードに配合されるプロバイオティクス

プロバイオティクスにはいくつか種類がありますが、代表的なのが乳酸菌やビフィズス菌、酪酸菌です。

・乳酸菌(Lactobacillus など)
もっとも一般的な善玉菌で、腸内で乳酸をつくり、腸内を弱酸性に保つことで悪玉菌の増殖を抑えます。

・ビフィズス菌(Bifidobacterium など)
大腸で働く菌で、食物繊維を発酵させながら腸内環境を整えます。ビフィズス菌が減りやすいシニア犬用のドッグフードに配合されることがあります。

・酪酸菌(Clostridium butyricum など)
酸や熱に強い特性があり、酪酸という短鎖脂肪酸を生成して腸のバリア機能をサポートします。

プロバイオティクスの健康効果

プロバイオティクスには多くの健康効果があります。

  • 腸内の善玉菌を補い、腸内フローラのバランスを整える
  • 消化吸収を助け、便の状態(軟便・下痢・便秘)を安定させる
  • 腸内環境を通じて免疫機能のバランスをサポートする
  • ストレスや食事変更による腸内トラブルを起こしにくくする
  • 腸粘膜の健康を保ち、腸のバリア機能を支える
  • 栄養の利用効率を高め、全身の健康維持に貢献する
  • 皮膚や被毛の状態を内側から支える補助的な役割を果たす

参考:イヌ・ネコにおけるプロバイオティクスについて

プロバイオティクスが配合されているドッグフード例

プロバイオティクスはさまざまなドッグフードに配合されています。

など

プロバイオティクスはどんな犬に有効?

プロバイオティクスは犬種や年齢を問わず、どの犬にも有効ですが、とくに以下の犬には有効と言えます。

  • 軟便や下痢を起こしやすく、お腹の調子が安定しにくい犬
  • ドッグフード変更や環境の変化で体調を崩しやすい犬
  • ストレスに敏感で、胃腸トラブルが出やすい犬
  • シニア期に入り、消化機能や免疫の低下が気になる犬
  • 皮膚トラブルや被毛の状態が不安定になりやすい犬
  • 胃腸がデリケートで、栄養の吸収効率が落ちやすい犬

まとめ

  • プロバイオティクスとは犬の腸内環境を整える善玉菌
  • 乳酸菌・ビフィズス菌・酪酸菌など菌の種類により働きが異なる
  • 軟便、ストレス性の胃腸トラブル、免疫低下が気になる犬に有効

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帝京科学大学アニマルサイエンス学科卒業。愛玩動物飼養管理士2級、ペットセラピスト、ペット看護士の資格を取得。ドッグフード勉強会ディレクターとして、わんちゃんの栄養や病気、生態、ドッグフードなどの情報を提供しています。わんちゃんの魅力を発信し、飼い主さんの悩みや不安を解決することで、わんちゃんと飼い主さんの幸せのお手伝いになれれば嬉しいです。