ドッグフードのズッキーニ。がん細胞の増殖を抑える!中毒成分ククルビタシンの注意点についても

ドッグフードのズッキーニ。がん細胞の増殖を抑える!中毒成分ククルビタシンの注意点についても

ドッグフードの原材料:ズッキーニ(zucchini

カボチャ属の野菜

ズッキーニとはウリ科カボチャ属の夏野で、見た目はキュウリに似ていますが、実はペポカボチャの一種です。低カロリーで栄養価も高く、ビタミンCやカリウム、食物繊維を含み、健康志向の食材として人気があります。

花も食べることができる

ドッグフードのズッキーニ。がん細胞の増殖を抑える!中毒成分ククルビタシンの注意点についても

ズッキーニは果実だけでなく、花も食べられることをご存じでしょうか?

とくに「花ズッキーニ」として知られる雄花は、イタリア料理などで高級食材として用いられています。代表的な調理法は、花の中にリコッタチーズやモッツァレラチーズなどを詰めて衣をつけ、油で揚げる「花ズッキーニのフリット」。

花はとても繊細で、収穫後すぐにしおれてしまうため、市場にあまり出回らない希少な食材です。

ズッキーニは猫においてどのような健康効果があるのでしょうか?

ズッキーニが原材料のドッグフード例

ズッキーニはさまざまなドッグフードやおやつの原材料に使用されています。原材料欄にはズッキーニの他に、乾燥ズッキーニなどと表記されます。

など

ズッキーニの栄養素と犬への健康効果

100あたりの栄養素
エネルギー16kcal
水分94.9g
たんぱく質1.3g
炭水化物2.8g
カリウム320mg
βカロテン310μg
ビタミンK35μg
ビタミンC20mg
食物繊維1.3g

消化器系の健康と血糖値の管理

ズッキーニの高い水分含有量と食物繊維は消化を助け、便通を促進しますまた、低炭水化物であるため血糖値の急激な上昇を防ぎ、糖尿病の管理にも役立つとされています。

がん細胞の増殖を抑える

ズッキーニに含まれるルテインβ-カロテンゼアキサンチンデヒドロアスコルビン酸(ビタミンCの一種)の栄養成分の量を調べ、それらが細胞やDNAに与える影響を研究したところ、

  • これらの成分はDNAに悪影響を与えないことが確認されました。
  • 一部の成分は、細胞を傷つける物質(過酸化水素)からDNAを守る働きがあると示されました。
  • ズッキーニの中でもとくに「黄色の皮」や「薄緑の皮」は、がん細胞(白血病細胞)の増殖を抑える作用や細胞の自然死(アポトーシス)を促す作用が見られました。

つまり、ズッキーニは栄養的に優れているだけでなく、細胞を守ったり、異常な細胞の増殖を抑えたりする可能性があることが分かりました。

ただし、この研究は人の細胞を対象にしているため、「健康な犬への健康効果がある」とはっきり明言ができませんが、安心して犬に与えられる食べ物であることは確かです。

参考:Role of Zucchini and Its Distinctive Components in the Modulation of Degenerative Processes: Genotoxicity, Anti-Genotoxicity, Cytotoxicity and Apoptotic Effects

目や肌の保護

前述でも解説したルテインやゼアキサンチンは目の網膜を保護し、目の疾患のリスクを低減する可能性があります。

また、これらのカロテノイドは皮膚の健康維持にも寄与し、紫外線からの保護や肌の弾力性の維持に役立つとされています。

犬はズッキーニを食べても大丈夫?

食べても大丈夫!ただし生食はNG

犬はズッキーニを食べても大丈夫です!低カロリーで水分が多く、ダイエット中の犬や暑い季節の水分補給にも役立ちます。また、食物繊維やビタミンC、カリウムなどを含み、健康維持にも効果的とされています。

ただし、生で与えるのは避けましょう。ズッキーニはウリ科の植物で、まれに「ククルビタシン」という苦味と毒性をもつ成分が含まれる場合があり、これは犬にも有害となる可能性があります。

ククルビタシンについては次項で解説します。

犬へのおすすめの与え方

犬にズッキーニを与える際は、「加熱・無味・少量」を基本にしましょう。

加熱処理(焼く・蒸すなど)をして柔らかくしてから細かく刻んで与えましょう。十分に冷ましてからドッグフードにトッピングしたり、手作りごはんの材料として取り入れるのが効果的です。毎日ではなく、時々のおやつや健康サポートとして与えるのが良いでしょう。

初めて与える場合は、アレルギー反応や消化不良が起きないかをよく観察し、異変があれば中止し動物病院へ相談しましょう。

愛犬の手作りごはんのポイントと注意点!OK・NG食材と専門家監修の安心犬用レシピサイトをご紹介

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2020年4月8日

ククルビタシンによる中毒

ズッキーニに含まれる「ククルビタシン」はウリ科植物が持つ苦味成分で、自然界では害虫や動物から身を守る役割を果たしています。本来、市販されているズッキーニにはほとんど含まれていませんが、まれに栽培環境のストレスや交雑の影響でククルビタシン濃度が高まることがあります。とくに家庭菜園などでズッキーニを栽培する際には、水不足にならないようにしましょう。

ククルビタシンは人間でも「ウリ科中毒」を起こす原因となり、犬にとっても有害です。犬がククルビタシンを含むズッキーニを食べてしまうと強い苦味により嘔吐や下痢、食欲不振、場合によっては脱水や神経症状を引き起こす可能性があります。苦味を感じるズッキーニは犬に絶対に与えてはいけません

犬の安全のためには、ズッキーニを加熱調理したあとに飼い主が味見して苦味がないか確認することが重要です。

まとめ

  • 消化を助け、血糖値の上昇を抑える
  • ルテインやβ-カロテンなどの栄養成分はがん細胞を抑制する
  • 目の網膜を保護し、紫外線から肌を守る
  • 苦いズッキーニにはククルビタシンが含まれる

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帝京科学大学アニマルサイエンス学科卒業。愛玩動物飼養管理士2級、ペットセラピスト、ペット看護士の資格を取得。ドッグフード勉強会ディレクターとして、わんちゃんの栄養や病気、生態、ドッグフードなどの情報を提供しています。わんちゃんの魅力を発信し、飼い主さんの悩みや不安を解決することで、わんちゃんと飼い主さんの幸せのお手伝いになれれば嬉しいです。