犬はつくしを食べても大丈夫!ビタミンや食物繊維が豊富。でも生食は絶対NG!その理由と下処理の方法まで

犬はつくしを食べても大丈夫!ビタミンや食物繊維が豊富。でも生食は絶対NG!その理由と下処理の方法まで

つくし(horsetail

春先に顔を出すつくし。つくしとは植物名ではなく、スギナというシダ植物の胞子茎のことをいいます。4~5月初旬にご自宅の庭や道端に生えていたり、愛犬との散歩中や山菜狩りなどで目にする機会も多いのではないでしょうか。

つくしには栄養が豊富に含まれているので、しっかりと下処理をすれば犬が食べても大丈夫です。しかし、生のつくしは与えてはいけません。

つくしの栄養や食べるときの下処理の方法、生食をしてはいけない理由と対処法をご紹介します。

つくしは食べても大丈夫!でも生食はNG

生のつくしには「チアミナーゼ」が含まれている

つくしに含まれているチアミナーゼは体内のビタミンB1(チアミン)を破壊する作用があります。犬は体内でビタミンB1を生成することができないため、摂取しすぎると「チアミン欠乏症」になる恐れがあります。食欲不振や嘔吐、神経障害、倦怠感、手足のしびれ・むくみ、筋力低下などの症状があらわれ、最悪の場合は死に至る可能性があります。

チアミナーゼは熱に弱く、加熱すると作用が失われます。しっかりと加熱することで摂取量を大幅に減らすことができます。

毒性の植物アルカロイド「パルストリン」

植物アルカロイドとは、さまざまなものに含まれている有機化合物です。タバコに含まれるニコチン、麻薬のコカイン、じゃがいもの芽のソラニンなどが植物アルカロイドです。つくしでいうとパルストリンになり、とくに頭の部分に含まれています。

しかしパルストリンの含有量はごく微量なので、過剰摂取をしなければ中毒症状を示すことはありません。心配な場合は、つくしの頭を取って与えましょう。

つくしの栄養素とメリット

つくしは生食をしなければ、栄養を豊富に摂取できる食べ物です。

つくし(ゆで)100gあたり
エネルギー28kcal
水分88.9g
たんぱく質3.4g
カルシウム58mg
不溶性食物繊維5.6g
水溶性食物繊維1.1g
β-カロテン1100μg
ビタミンE3.8mg
ビタミンC15mg
ビタミンK17μg

β-カロテンは抗酸化作用

β-カロテンは主に野菜や果物に多く含まれる栄養素です。β-カロテンの抗酸化作用によって体内の活性酵素や過酸化物を除去し、細胞の生成や修復を行うため、がん予防や老化予防に効果があります。

また、犬は体内でβ-カロテンをビタミンAに変換する酵素を持っています。ビタミンAは皮膚や被毛、粘膜、視力の健康維持に役立ちます。梅雨のジメジメした気候や夏本番を迎える前に摂取することで、免疫力の向上や体力作りに最適です。

食物繊維は便通改善

つくしの食物繊維は、食物繊維が多いイメージのごぼうやブロッコリーよりも多く含まれています。(ごぼうの食物繊維:6.1g、ブロッコリーの食物繊維:4.3g)

つくしには不溶性食物繊維が多く含まれています。不溶性食物繊維は体内で水分を吸収して腸をほどよく刺激することで、便通を促進する働きがあります。また腸内環境を整え、善玉菌を増殖させて悪玉菌の繁殖を抑える働きがあります。

つくしには不溶性食物繊維が多く含まれています。不溶性食物繊維は加熱しても栄養が溶け出さないため栄養を十分に摂取することができる反面、消化不良を起こしやすいため与えすぎには注意が必要です。

ビタミン類が豊富

つくしには、ビタミン類が豊富に含まれています。

ビタミンCは抗酸化作用、コラーゲンの生成・保持、鉄の吸収を高めるなどの働きがあります。

ビタミンEにも抗酸化作用がありますが、ビタミンEは活性酵素や過酸化物を除去したあとは「ビタミンEラジカル」という犬にとって悪い成分に変換されてしまいます。

しかし、ビタミンCはビタミンEラジカルを正常なビタミンEに戻す働きがあり、一緒に摂取することで抗酸化作用が持続されます。

このように、ビタミンCとビタミンEはお互いにサポートし合うという性質を持ちます。

つくしを美味しく食べる!下処理の方法

  1. ハカマを取り除く
  2. 水を何度も変えながら水洗いして、胞子や砂などの汚れを落とす
  3. 鍋にたっぷりのお湯を沸かし、つくしを入れて10分ほど茹でる
  4. ザル上げして冷水に入れ、10分ほどさらす
  5. 軽くしぼって、キッチンペーパーで水気を取る

味見をしてみて少し苦味や硬さが気になるようであれば、茹で時間や冷水にさらす時間を延ばしてください。冷蔵保存で2~3日を目安に使い切るようにしましょう。犬に与えるときは、食べやすいように小さく切ってください。

春先の散歩は植物に要注意

犬は散歩のときに優れた嗅覚によって地面や草花、風の匂いを感じ、周辺の情報を得ています。さまざまなものに興味を示して匂いを嗅いで、ときには食べてしまうこともあります。とくに春は暖かく心地よい風を感じられてお散歩やピクニックに出かけることが増えることに伴い、つくしに限らず、危険な植物を会う機会が増えるでしょう。

散歩コースに危険な植物がないかしっかりと確認することが大切です。散歩中は犬がその植物に近づかないように、常に気を配りましょう。

春先の危険な植物
公園や花壇などチューリップスズランヒヤシンススミレ
ツツジアネモネシャクナゲアザレア
道端や河川敷などワラビウマノアシガタイラクサ

まとめ

  • 犬に生のつくしを与えてはいけない
  • 生のつくしに含まれているチアミナーゼは加熱することで分解される
  • パルストリンはごく微量なので、過剰摂取をしなければ中毒症状はあらわれない
  • ビタミン類、食物繊維が豊富

ABOUTこの記事をかいた人

古川菜々

愛玩動物飼養管理士2級、ペットセラピスト、ペット看護士、愛犬飼育スペシャリスト、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。帝京科学大学アニマルサイエンス学科卒業。文章を通して猫ちゃんの魅力を発信できること、また多くの飼い主さんの悩みや不安を解決できることに魅力を感じ、動物ライターという仕事を選びました。「飼い主さんのお力添えに。猫ちゃんの幸せの一助に。」をモットーに、私が書いた記事が飼い主さんと猫ちゃんの幸せのお手伝いになれば嬉しいです。