ドッグフードの原材料:セージ(Sage)
セージ(Salvia officinalis)はシソ科の多年草で、地中海沿岸を原産とするハーブの一種です。古代ローマ時代から薬用植物や食用香草として利用されており、「賢者のハーブ」と呼ばれ、魔除けや守護の象徴とされてきました。
セージは犬にとって安全とされるハーブのひとつで、抗酸化作用を持つフラボノイドやロスマリン酸、抗菌作用を持つツヨンなどがあり、人間と同様に犬にも健康効果があるとされています。
セージが原材料のドッグフード例
セージはさまざまなドッグフードやおやつの原材料に使用されています。原材料欄にはセージの他に、乾燥セージ、セージエキスなどと表記されます。
など
セージの栄養素と犬への健康効果
セージに含まれるロスマリン酸やツヨン、カルノソールという成分はさまざまな健康効果があります。
セージの栄養素(100gあたり) | ||
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エネルギー | 377 | kcal |
水分 | 9.2 | g |
たんぱく質 | 6.4 | g |
脂質 | 10.1 | g |
炭水化物 | 66.9 | g |
ナトリウム | 120 | mg |
カリウム | 1600 | mg |
カルシウム | 1500 | mg |
マグネシウム | 270 | mg |
リン | 100 | mg |
鉄 | 50 | mg |
βカロテン | 1400 | μg |
※出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
- 抗酸化作用:細胞の老化予防
- 抗炎症作用:関節や消化器のサポート
- 抗菌・抗ウイルス作用:免疫機能の補助
- 消化促進作用:胃腸の負担軽減
- 口臭予防への寄与
記憶力や集中力低下の抑制
セージに含まれる成分ロスマリン酸は神経保護や抗酸化作用を持ち、アセチルコリンエステラーゼ阻害作用にも関与することから、記憶力や集中力低下の抑制に有用と言われています。とくにアルツハイマー型認知症に見られるアセチルコリンの減少を抑える作用があるとされています。
これは犬に直接応用されるわけではありませんが、高齢期の脳機能サポート成分として注目されています。
感染症の予防・緩和
セージに含まれるツヨンやカルノソール、ロスマリン酸は強い抗菌・抗ウイルス作用を発揮します。
ツヨンは細菌やカビの増殖を抑える力があり、カルノソールやカルノシン酸は黄色ブドウ球菌や肺炎球菌などの病原菌に対して抑制効果が報告されています。また、ロスマリン酸は抗酸化作用に加えて、ウイルスの複製を抑える働きもあるとされ、免疫力のサポートにも関与します。
犬はセージを食べても大丈夫?
食べても大丈夫!
セージは犬が食べても大丈夫なハーブで、抗酸化作用や消化サポートなどの健康効果が期待できます。
家庭菜園で育てたセージも、「無農薬で食用セージ」であれば与えても大丈夫です。乾燥後にごく少量を与えるようにしましょう。
犬へのおすすめの与え方
セージを犬に与える場合は、乾燥したセージをごく少量(ひとつまみ程度)ドッグフードにトッピングする形が最も安全です。また、手作りごはんに混ぜることで風味が増すため嗜好性の向上にもつながります。
週に数回、変化のあるトッピングとして活用するとよいでしょう。
犬にセージを与えるときの注意点
ツヨンの過剰摂取は中毒となる恐れ
セージに含まれるツヨンという精油成分には神経毒性があり、大量に摂取すると犬に中毒症状(震えや痙攣など)を引き起こすリスクがあります。精油やハーブティーのような濃縮された形では、少量でも犬に悪影響を及ぼし、とくに肝臓や神経系に持病を持つ犬や、高齢犬、子犬には与える量に一層の注意が必要です。
ドッグフードの原材料のセージの含有量であれば、給与量を守れば健康に悪影響はありませんが、トッピングとしてセージを使用する際には極端な過剰摂取・長期摂取は避けましょう。
セージは香りづけ程度の少量であれば問題ないとされる一方、精油や濃縮されたサプリメントなどは与えるのはやめましょう。
まとめ
- セージは賢者のハーブと言われるほど健康効果が高い
- 記憶力や集中力低下の抑制や、感染症の予防などの効果がある
- 犬はセージを食べても大丈夫
- トッピングする場合は乾燥させたセージをひとつまみ程度
- 過剰摂取をするとツヨンの神経毒性のリスクがある