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ドッグフードで気になる酸化防止剤
酸化防止剤は食品の酸化を抑える働きがある添加物で、ドッグフードにも配合されています。
ドライフードは開封後も食べきるまでしばらく袋で保存する場合が多いですが、酸化防止剤はドッグフードが空気に触れても一定期間、フードが酸化しないように防ぎます。
無添加ではなく安全な酸化防止剤を選ぶことが大切!
「酸化防止剤は危険」「酸化防止剤は使わない方がいい」」という言葉が一人歩きして、安易に無添加フードを求める方も見受けられますが、本当に無添加な場合、酸化防止できずフードの酸化が進み、それこそフードの品質低下と犬にとって有害な物質(発がん性物質など)の発生を招きます。
酸化防止剤には種類があり、使用される酸化防止剤によって性質や危険性・安全性も異なります。ここではドッグフードで使用される安全な酸化防止剤についてご紹介したいと思います。
犬にとって安全な酸化防止剤、危険な酸化防止剤
添加物の種類
酸化防止剤は他の添加物と同様で、化学合成によってつくられた合成酸化防止剤(人工酸化防止剤)と、自然由来の成分からつくられた天然添加物(天然酸化防止剤)があります。
合成添加物すべてが危険というわけではありませんが、特に酸化防止剤の場合、合成酸化防止剤に挙げられるBHAやBHT、エトキシキンは発がん性や染色体異常、変異原性などが認められているため、ペットフードへの使用も懸念されています。
添加物に配慮したドッグフードは天然由来の酸化防止剤が使用されています。ここでは安全性の高い酸化防止剤としてよくドッグフードに使われるローズマリー抽出物やミックストコフェロール、クエン酸について紹介します。
添加物リスト
食品添加物では一般的に合成酸化防止剤は「指定添加物」、天然酸化防止剤は「既存添加物」に登録されています。
ドッグフードに使用される添加物の中には食品添加物に登録されていないものもありますが、ほとんどの添加物は上記のリストで探すことができます。
ドッグフードの安全な酸化防止剤の種類
ローズマリー抽出物
ローズマリーは料理にもよく使われる非常に身近なハーブで、ローズマリーの葉から抽出精製したローズマリー抽出物が酸化防止剤では利用されます。
三菱化学フーズ株式会社の「ローズマリー抽出物,および茶抽出物を使用した酸化防止技術」によると、なんと抗酸化作用のある5種の植物抽出物を調査した結果、ローズマリー抽出物が抗酸化作用に最も優れていただけでなく、BHT抗酸化剤よりも有効であったという研究結果があることが示されています。
抗酸化作用が認められているローズマリー抽出物は、おいしさを保つ上でも有用であることがわかっています。例えばハーブの香りで食欲を刺激します。ローズマリーは酸化臭や焦げ臭を抑える効果がありながらも香ばしい風味を損なうことがありません。
ミックストコフェロール(ビタミンE)
ミックストコフェロールというとあまり聞いたことのない言葉になると思いますが、トコフェロール=ビタミンEと聞けば非常に身近になるのではないでしょうか。
トコフェロールはドッグフードに配合される場合、トコフェロールと表現されることもあれば、ビタミンEと表現されることもあります。
天然由来のトコフェロールには4つの種類があります。
- d-α-トコフェロール
- d-β-トコフェロール
- d-γ-トコフェロール
- d-δ-トコフェロール
合成のトコフェロールは「dl-α-トコフェロール」で、酸化防止剤では天然由来も合成も使われることがあります。合成の方が効果が高そうなものですが、合成よりも天然の方が抗酸化作用は高く、合成酸化防止剤は酸化防止効果はほとんどないので栄養添加物として使用されます。
ミックストコフェロールはこれら複数のトコフェロールがミックスされて使用されています。
クエン酸
クエン酸は柑橘類などに含まれる酸味の構成成分です。かなり強い酸性でトコフェロールの効果を増大させる目的で配合されます。クエン酸には他にも疲労回復や血液をさらさらにする効果などがあり、抗酸化以外にもpH値の調整作用もあることから、様々なドッグフードに利用されています。
クエン酸は自然・天然由来ではありますが、食品添加物のリストは指定添加物(合成添加物)に分類されているので、天然酸化防止剤と合成酸化防止剤、どちらとも言えますが、使用実績も長く、安全な添加物として使用されています。