ドッグフードのごま。約50%は良質な不飽和脂肪酸!抗酸化作用で老化とがん予防に効果的。

ドッグフードのごま。約50%は良質な不飽和脂肪酸!抗酸化作用で老化とがん予防に効果的。

ドッグフードの原材料:ごま(sesame)

ごまは「食べる丸薬」といわれるほど栄養価が高い食材です。外皮の色によって大きく白ごま、黒ごま、金ごまに分類されますが、なんと3000種類ほどにのぼります。

世界三大美女といわれるクレオパトラは美容のために日頃からアンチエイジング食材をよく食べ、その中にはごまも含まれていたといわれています。なんと、ごま油を体に塗っていたそうです。

佐藤さん
ごまには「いりごま」「すりごま」「ごま油」などさまざまな種類がありますが、犬が食べても大丈夫なのでしょうか?
犬田さん
「いりごま」「すりごま」「ごま油」、すべて犬が食べても大丈夫な食材です!とくに「すりごま」がおすすめ!

この記事では、ごまの栄養素や与え方の注意点についてご紹介します。

ごまの栄養素とメリット

下表は、ごまとごま油の10gあたりの栄養素です。10gは大さじ1杯程度に当たります。

ごま(すりごま)ごま油
エネルギー6189kcal
たんぱく質2.00g
カルシウム1200mg
脂質5.410.0g
ビタミンB10.050mg
ビタミンB60.060mg
オレイン酸1900.00mg
リノール酸2200.04100.0mg

出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

ビタミンB1、B6

ごまには、ビタミン類の中でもビタミンB1とビタミンB6が多く含まれています。

ビタミンB1は食べ物の糖質をエネルギーに変換するのに必要なビタミンで、疲労物質を作りにくくする働きを持ちます。

ビタミンB6はたんぱく質の合成に関わっています。皮膚や被毛の健康維持や、神経組織を正常に保ちます。

カルシウム

ごまには、カルシウムが多く含まれています。カルシウムが多いとされる牛乳よりも、10倍以上多く含まれています。

カルシウムは、犬の骨格や歯を強化するのに必要不可欠な栄養素です。そのほかストレスへの抵抗力を高めたり、神経を安定させる働きを持ちます。

不飽和脂肪酸「リノール酸」「オレイン酸」について

約50%の脂質の中は、ほとんどが不飽和脂肪酸であるリノール酸とオレイン酸です。ごまに含まれるリノール酸とオレイン酸は、全食材の中でもトップクラスの含有量を誇ります。

「脂質は体によくない」というイメージが強いですが、リノール酸とオレイン酸は不飽和脂肪酸とよばれる良質な脂質なので心配はいりません。

  • リノール酸:細胞膜の成分になる。血中のコレステロールを下げる。
  • オレイン酸:高コレステロールによる悪玉コレステロールを抑制。油分により被毛の艶が良くなる。

これらの働きにより、抗動脈硬化や抗血栓、腎臓病の進行を防ぐなどが期待できます。

不飽和脂肪酸は体内で合成できないものなので、食べ物から摂取する必要があります。

不飽和脂肪酸は主に魚の脂や植物に含まれ、飽和脂肪酸は動物性の脂に含まれていますが、犬は魚よりも野菜や肉を好む傾向にあるので飽和脂肪酸を過剰に摂取してしまいがちです。

ごまをドッグフードにトッピングしたり手作り食で取り入れることで、不飽和脂肪酸を効率よく摂取することができます。

ごま特有の栄養素「セサミン」

ごまに含まれる「ゴマリグナン」はごま特有の成分で、セサミンやセサモリン、セサモールなどの種類があります。

ゴマリグナンはごまの中に約1%しか含まれていませんが、強い抗酸化作用を持ちます。体内の活性酵素を除去することで、老化やがんの予防、生活習慣病の予防、肝臓機能のサポート、血中コレステロールの上昇を抑える働きがあります。また、ごま油の酸化安定性に貢献しています。

年齢を重ねるにしたがって抗酸化作用は低下してしまうため、普段のドッグフードに取り入れることでシニア犬のQOLを維持することが期待できます。

白ごま、黒ごま、金ごまの栄養素の違いは?

白ごま

白ごま、黒ごま、金ごまの栄養素には大きな違いはありませんが、特性や作用に違いがあります。

白ごまは肺を潤す効果があるため、秋や冬などの乾燥する季節に取り入れるのがおすすめです。

乾燥によって犬が乾いた咳をしていたり、皮膚が乾燥していたり、被毛がパサついていたり、硬い便が出ているときに与えてみてください。

黒ごま

黒ごまの外皮の黒い色素はポリフェノールで、強い抗酸化作用やアンチエイジング作用を持ちます。また血を補給する作用を持ちます。

皮膚が乾燥していたり、足腰がだるそうだったり、筋力が衰えている犬に与えるのがおすすめです。

金ごま

金ごまは香りが強いので、ドッグフードへの食いつきが良くなったり食欲促進が期待できます。

しかし、白ごまと黒ごまと比べて脂質が多く含まれています。筋力を付けたい犬やダイエット中の犬にはおすすめできません。

ごまのおすすめの与え方

すりごまにする

ごまの状態では皮が固いため消化がしにくく、栄養をきちんと吸収できずにそのまま排出されてしまいます。そのため、犬にはすりごまを与えるのがおすすめです。すりごまにすることで、栄養成分やセサミンがきちんと消化・吸収することができます。

また、市販のすりごまは製造の段階で栄養価が落ち、香りが少ないものがほとんどです。犬に与えるときは自宅ですりごまにして香りを出すことで、ドッグフードへの食いつきがアップします。

すりごまにするタイミングは、与える直前にしましょう。ごまは油分が多いため、すりつぶした後は時間が経つにつれてどんどん酸化が進みます。酸化した油は風味が落ちるだけでなく食中毒になる恐れがあるため、犬に与えるのは非常に危険です。

人間用のごま油は食べても大丈夫

犬は、人間用のごま油を食べても大丈夫です。ごま油は少量でも香りが強いため、ドッグフードにごま油を吹きかけることで香りや興味が増し、食欲がない犬も食いつきアップが期待できます。

また潤滑油の役目もあるので、便秘ぎみの犬におすすめです。

ビタミンEと一緒に摂取すると栄養効果アップ

ビタミンEは抗酸化作用を持ち、老化やがん予防、アンチエイジング効果が期待できます。

なんと、ゴマグリナンとビタミンEを一緒に摂取することで相乗効果が生まれ、ビタミンEの活性がより増強されるといわれています。ビタミンEが豊富に含まれている食べ物はかぼちゃやオリーブオイル、大豆、うなぎなどです。ぜひ手作り食に取り入れてみましょう。

ごまを与えるときの注意点

ごまの加工品は与えない

人間用のごまクッキーやごまドレッシング、ごま団子などの加工品は砂糖や塩分、保存料などの添加物が多量に入っているため犬に与えてはいけません。犬の健康にとっては害となり、体調不良を引き起こす恐れがあります。

与えすぎると肥満の原因に

ごまは1粒がとても小さいので多くを与えてしまいがちですが、カロリーが高い食べ物です。日常的に犬に与えてしまうと肥満になってしまう恐れがあります。

また100%ごまから作られている練りごまは、砂糖や油脂などの添加物、また犬に中毒となる成分は含まれていませんが、カロリーがとても高いので犬に与えるのはおすすめできません。

犬にごまを与える場合は1~2週間に1回程度で、ドッグフードにトッピングする形で与えましょう。

まとめ

  • ごまに含まれる脂質は、リノール酸とオレイン酸という良質なもの
  • ごまに含まれるゴマリグナンは抗酸化作用がある
  • 白ごま、黒ごま、金ごまには用途や目的によって使い分ける
  • 食べ合わせによって、ビタミンEをより活性化することができる
  • すりごまを与えることで、栄養成分やセサミンをきちんと消化・吸収できる