目次
犬にとっての塩分
塩分とは
塩分とは液体に溶けた塩化ナトリウムでミネラルに属する栄養素です。
塩分は生物にとって必要不可欠な栄養素あり、他のミネラルと相互で作用し合い様々な働きをしています。
犬の体内での塩分の働き
塩素はタンパク質の消化や胃酸の構成成分などに使われ、ナトリウムはカリウムと一緒に細胞間の伝達を行い、体を正常に機能させています。
ドッグフードに含まれる塩分について
塩分相当量として表記される
ドッグフードでは塩分は「塩分相当量」や「食塩相当量」と表記されます。
食塩として配合されることもありますが、ドッグフードは使用される原材料に、すでにナトリウムや塩化物が含まれているので、もしドッグフードのパッケージに塩分量が記載される場合は「塩分相当量」と表記されることが多いです。
ドッグフードに塩分量は記載されていない
しかしドッグフードの塩分量をフードのパッケージやHPに記載しているメーカーやブランドはほとんどありません。
成分保証分析値のミネラル全体の割合は知ることができますが、塩分(=塩化ナトリウム)はミネラルに含まれており、より細かい塩分の量を直接知るのは難しいです。
ドッグフードの塩分量を計算したい
塩分相当量の計算式
ドッグフードの塩分量は、ナトリウム量から計算することができます。
塩分相当量(g)= ナトリウム(mg) × 2.54 ÷ 1,000
しかしドッグフードにナトリウムが記載されていないケースも多く、その場合はナトリウム量がわからないので、塩分量を計算することはできません。
ドッグフードに塩分が配合される目的
嗜好性を高くするため
そもそもドッグフードに塩分が配合される目的としては、嗜好性を高くするためというのが多いと言われています。
人もですが味が濃い物の方が嗜好性は高い傾向にあります。犬もまた濃い味のドッグフードは食いつきが良くなることが多いため、飼い主さんが「犬が美味しそうにガツガツ食べている、また買おう」と思ってもらえるように入れられている可能性があります。
水分摂取量や尿量を増やすため
また中には水分摂取量や尿量を増やすためにあえてナトリウム量が多くなるように塩分を添加しているドッグフードもあります。
ドッグフードの塩分量の最低値
AAFCO(米国飼料検査官協会)が設定する塩分の最低値
成長繁殖期 | 維持期 | |
---|---|---|
ナトリウム | 0.3%以上 | 0.08%以上 |
塩化物 | 0.45%以上 | 0.12%以上 |
日本のペットフード公正取引協議会でも採用しているAAFCO(米国飼料検査官協会)ではドッグフード(ドライフード)のナトリウム量と塩化物量の最低値が設定されています。
ナトリウム量は、成長繁殖期の犬で0.3%以上、維持期の犬で0.08%以上と設定されています。またFEDIAF(欧州ペットフード工業連合会)ではナトリウム基準値は0.1%以上と設定されています。
塩化物量は、成長繁殖期の犬で0.45%以上、維持期の犬で0.12%以上とされています。
ドッグフードの塩分に上限値は記載がない
しかし塩分量は最低値の記載はあったものの、上限値については記載がありません。塩分の上限値がなくて犬に危険はないのか、塩分の過剰摂取は犬の体にとって問題がないのか、次の項目で確認してみましょう。
塩分の過剰摂取による犬の体への影響
喉が渇いて水分を多く摂取する
塩分を過剰に摂取させると、犬は喉が渇いて水分を普段より多く摂取します。
塩分を多く摂ると、犬の血液中のナトリウム量が多くなります。するとカリウムとナトリウムのバランスが崩れ、体が正常に機能しなくなってしまうので、そうならないよう体がバランスを摂るために水分を摂ってナトリウム濃度を薄めようとします。そのため塩分を多く摂取すると犬は普段より水を多く飲むようになります。
水を多く飲むことの何が問題なのかと思われるかもしれませんが、これが原因で他の器官に負担をかけてしまうことが問題なのです。
血圧上昇で心臓や腎臓に負担がかかる
水分を多く摂取することで血液の量が増えるため、体内の血圧が上昇し「高血圧」と呼ばれる状態になります。
これによって負担がかかるのが心臓や腎臓です。
心臓は血液を送り出すポンプとして働くため血液量が増えればそれだけ負担がかかりますし、腎臓もまた血液から老廃物を濾過する働きがあるため血液量が多ければ負担が大きくなります。
ストルバイト尿路結石症に塩分はあまり関係ない
過剰な塩分は腎臓に負担をかけますが、その先にある尿路の疾患「ストルバイト結石症」については、塩分量はあまり関係がないとされています。
犬に場合、ストルバイト結石症は細菌感染による発症がほとんどなので、塩分量を制限するなどしてもあまり効果は見られなかったそうです。むしろ尿量を増やすために食塩を添加しているドッグフードもあります。
犬に高塩分食ドッグフードは避けたい
高塩分なドッグフードは避けたい
しかし犬に高塩分なドッグフードを毎日与えるのは避けるべきです。おやつやおかずなど犬の嗜好性の高い食べ物やフードには塩分が多く含まれていることもあります。
少量にとどめたり、たまに与えるご褒美のような物として与えるなら神経質になる必要はありませんが、食事量に影響するほど毎日たくさん高塩分食を与えるのは避けましょう。
人間が食べる食品を与えない
また人間が食べる食品は塩分過剰になりやすいため、犬に与えるべきではありません。
人の食べ物を食べたがる犬は多いです。犬は雑食動物ですし尿の塩分排泄能力については人間より高いと言われているので、塩分摂取自体が危険ということはないですが、味付けが濃く調味料を多く使った食べ物は、犬にとっては塩分量が過剰になることがあります。