犬は鮎を食べても大丈夫!高たんぱく質・低脂質で手作りごはんにもおすすめ。生食の危険性も解説

犬は鮎を食べても大丈夫!高たんぱく質・低脂質で手作りごはんにもおすすめ。生食の危険性も解説

ドッグフードの原材料:鮎(sweetfish)

夏が旬の淡水魚の鮎。釣り堀などで鮎釣りをしたことがある方も多いのではないでしょうか。

鮎は水質の悪い川では生息することができないため、鮎がその川に生息できるかどうかで川の水質の目安となるそうです。水質の良い川で生息する鮎は甘い香りがするため「香魚」とよばれ、英語では「sweetfish」と訳されることがあります。

鮎は、ドッグフードの原材料よりもおやつとして使用されることが多くみられます。

犬田さん
鮎には毒となる成分が含まれていないので、犬は鮎を食べても大丈夫です!

この記事では鮎の栄養素やメリット、おすすめの与え方や注意点をご紹介します。

猫に鮎を与えるときの注意点

生食はNG。横川吸虫の危険性

横川吸虫は体長1~2mmほどの寄生虫で、鮎に寄生していることが多くみられます。横川吸虫は主に小腸に寄生するため、食べると下痢や腹痛などの消化器症状を引き起こします。

そのため、鮎の生食はNGとなります。横川吸虫は包丁やまな板などを介して他の食べ物にうつることもあるため、周辺の調理器具などの管理も徹底しなければなりません。横川吸虫は加熱により死滅するので、犬に与えるときは必ずよく加熱しましょう。

養殖の鮎であれば衛生管理が行き届いているため寄生虫はほとんどいないといわれていますが、天然の鮎には横川吸虫以外にもさまざまな寄生虫が付着している可能性があります。犬と一緒にキャンプなどで釣りをする方も多いと思いますが、しっかりとした衛生管理が必要となります。

ちなみに、「生魚にはアニサキスが寄生している」というイメージが強いですが、アニサキスは海に生息しているので、淡水魚である鮎にはアニサキスが寄生している確率は非常に低いといえます。

参考:東京都保健医療局

チアミン欠乏症

鮎に限らず、生魚にはチアミナーゼという酵素が含まれています。チアミナーゼは体内のチアミン(ビタミンB1)を破壊する性質があり、チアミン欠乏症となると食欲不振や嘔吐、歩行困難、腹部屈曲、倦怠感などの症状があらわれます。

とくに犬は体内でチアミンを合成することができないため、欠乏には注意が必要です。チアミナーゼは加熱により性質が失われるため、犬に与えるときは必ず加熱調理をしましょう。

子犬や高齢犬は注意

おやつとして販売されている鮎は頭から尻尾までしっかりと加熱調理されたものや燻製にされたものなので、骨まで食べることができます。しかし鮎のおやつは歯ごたえがしっかりとしているので、喉や消化器官などの機能が未発達/衰えている子犬や高齢犬には負担となる恐れがあります。

鮎のおすすめの与え方

しっかりと加熱調理する

鮎は生食がNGなので、しっかりと加熱調理が必要となります。鮎は焼くと身がふっくらして香りが立ち、嗜好性が高まります。小さくカットしておやつとして与えたり、ドッグフードにトッピングしましょう。ドッグフードへの食いつきが悪い子や、食欲が落ちている子に食欲促進の効果があるでしょう。

骨を取り除く

ご家庭で鮎を加熱調理するときは、骨を取り除きましょう。犬は食べ物を丸飲み・早食いをする傾向にあるので、骨をそのまま飲み込んでしまう恐れがあります。喉に刺さったり胃腸への負担となるので、加熱後は必ず丁寧に骨を処理してから与えましょう。

鮎の栄養素とメリット

下表は、天然と養殖の鮎100gあたりの栄養素です。

天然(焼き)養殖(焼き)
エネルギー149202kcal
たんぱく質26.622.6g
脂質6.815.1g
カルシウム480450mg
ビタミンB3(ナイアシン)3.94.0mg
ビタミンB1212.06.1μg

※出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

高たんぱく質・低脂質

鮎は他の魚と比べて、比較的たんぱく質が豊富で脂質が低い魚です。とくに天然の方が高たんぱく質・低脂質なので、ダイエット中や運動好きの犬には天然の鮎がおすすめです。

カルシウム

カルシウムは骨や歯の構成成分です。骨や歯を丈夫にするだけでなく、筋肉の収縮や弛緩、血液凝固、ホルモンの分泌などの働きがあります。

鮎は頭から尻尾まで丸ごと骨まで食べることができるため、他の魚と比べてカルシウムを豊富に摂取することができます。

ビタミンB12

ビタミンB12は、魚類や肉類などの動物性食品に多く含まれています。さまざまな生化学反応をサポートする酵素で、たんぱく質の合成や赤血球形成の役割を持ちます。

犬の手作りごはんのレシピ調査では、ビタミンB12は不足することが多い栄養素です。手作りごはんでは鮭やアジがよく使用される傾向ですが、鮭やアジを多く摂取するとビタミンDの摂取基準値を超えてしまうため、鮎を使用することがおすすめです。

参考:維持期におけるイヌ用手作り食レシピの栄養素含量調査

まとめ

  • 鮎には横川吸虫が多く寄生しやすい
  • 横川吸虫やチアミナーゼは加熱によって死滅する
  • 他の魚に比べて高たんぱく質、低脂質

ABOUTこの記事をかいた人

古川菜々

愛玩動物飼養管理士2級、ペットセラピスト、ペット看護士、愛犬飼育スペシャリスト、ドッグフード勉強会ディレクターとして、ドッグフードに関する情報を提供しています。帝京科学大学アニマルサイエンス学科卒業。文章を通してわんちゃんの魅力を発信し、また多くの飼い主さんの悩みや不安を解決することで、飼い主さんとわんちゃんの幸せのお手伝いになれば嬉しいです。