ドッグフードのオメガ9脂肪酸について
オリーブオイル等に含まれる一価不飽和脂肪酸
オメガ9脂肪酸(ω-9 fatty acid)は、脂質を構成する一価不飽和脂肪酸で、オレイン酸やエイコサエン産、ミード酸などが挙げられます。オメガ9脂肪酸は動物性、植物性どちらの食材にも含まれるため、ドッグフードにも含まれていますし、私たちも無意識のうちに食事から摂取しています。
特に、オメガ9脂肪酸は以下のような植物油に多く含まれています。ドッグフードにもよく使われている植物油です。
- オリーブオイル
- なたね油(キャノーラ)
- ヒマワリ油(サンフラワー)
- マカダミアナッツオイル
- アボカドオイル(犬にはNG)
非必須脂肪酸なのでドッグフードの最低基準なし
オメガ6やオメガ3は体外から食べ物などで摂取する必要がありますが、オメガ9脂肪酸は必須脂肪酸ではないため、ドッグフードでも最低基準などは設けられていません。
オメガ6・オメガ3との違い
必須脂肪酸か非必須脂肪酸か
オメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸との大きな違いは、必須脂肪酸ではないという点です。
オメガ6とオメガ3は1つ以上の炭素結合を持つ「多価不飽和脂肪酸」で、犬の体内では合成できない必須脂肪酸です。対してオメガ9脂肪酸は炭素結合が1つの「一価不飽和脂肪酸」で、犬の体内でも合成してつくり出すことができるため、必須脂肪酸ではありません。
必須脂肪酸となると、犬に最低どのくらいの摂取が必要か、不足すると犬にどんな影響が出るか、どんな効果が期待できるかなど注目されますが、非必須脂肪酸のオメガ9脂肪酸は、不足すれば犬の体内で勝手に合成されて補われるので、オメガ6やオメガ3より注目されにくいかもしれません。
ただ炭素結合を1つしか持たないため、オメガ3やオメガ6に比べると酸化しにくく保存性は高いと言えます。
オメガ9脂肪酸(オレイン酸)の効果
悪玉コレステロール(LDL)を減らす
オレイン酸には、悪玉コレステロール(LDL)を減らす働きがあります。
悪玉コレステロールは、通常、細胞内にありますが、血中の悪玉コレステロール量が増えると、血管の内側の壁に付着して固まり、蓄積されていきます。この悪玉コレステロールの組織が蓄積することで血管の壁に炎症が起こったり、血管が詰まらせるなどの問題を引き起こします。
悪玉コレステロールの増加が生活習慣病の動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞などを引き起こす原因になることが知られています。
オレイン酸は、善玉コレステロール(HDL)を減らすことなく、悪玉コレステロールだけを減らす作用があるため、犬の健康維持やシニア期に向けた健康対策にも役立つと考えられています。
腸の動きの活性化や便秘解消
オメガ9脂肪酸は、腸の動きを活性化させる働きがあります。オメガ9脂肪酸は犬の胃や小腸で吸収されにくく、大腸まで届くため、潤滑油として働き、排便を助け犬の便秘解消にも効果があります。
オメガ9脂肪酸はオリーブオイルや豆、ナッツなど伝統的な地中海食に使用されることが多い食材ですが、オメガ9脂肪酸の摂取によって炎症性腸炎(IBE)の発症リスクが低下する可能性が期待されています。具体的な報告や研究結果はないものの、地中海域で暮らす人の炎症性腸疾患(IBE)の発症率が低かったことから、地中海食による効果と考えられています。
オメガ9脂肪酸の過剰摂取、注意点
オメガ9脂肪酸は多少多く摂ってもただちに問題が出るわけではありませんが、オメガ9脂肪酸を多く摂取するということは構成成分となる脂質自体も過剰になる可能性があるため、高脂肪食にならないように注意してください。
ドッグフードの総合栄養食の場合、様々な成分の最低基準を守りながらその範囲でレシピが調整されるので、オメガ9脂肪酸だけ飛び抜けて過剰になることは意図的でない限りほとんどないと考えていいと思います。