ドッグフードの原材料:乳類
子犬用ミルクや離乳食、おやつやトッピングに
乳類とは、生乳や生乳からつくられる乳加工品や乳副産物の総称です。乳類には犬の成長に必要な栄養素が吸収されやすい形で十分に含まれています。乳類は卵に並ぶほどの栄養価の高い食材で、良質な乳タンパク質(動物性タンパク質)やカルシウムが豊富に含まれています。
総合栄養食などのドッグフードでは乳類はあまり使用頻度の高い原材料ではありませんが、嗜好性が高く、子犬用ミルクや離乳食、おやつ、トッピングなどによく使用されます。また塩分や糖分などを控えたチーズやヨーグルトを手作りで与えているという飼い主さんもいます。
脱脂粉乳やホエイなどの副産物も利用される
ドッグフードでは、バター、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品を製造する時の副産物である脱脂粉乳やホエイ(乳清タンパク質)が使用されたりします。また、食品では牛の生乳がほとんどですが、犬用ドッグフードはヤギの生乳が利用されることも多いです。
ドッグフードの乳類の種類と特徴
- 調整粉乳
- 脱脂粉乳
- 全脂乳(ミルクパウダー)
- ホエイ(乳清タンパク質)
- カゼイン(ミルクカゼイン)
- ミルクプロテイン
- チーズパウダー
調整粉乳
調整粉乳とは、母乳に近い栄養素を添加し粉末状に乾燥させた生乳加工品です。子犬に必要な栄養素が豊富に含まれるので子犬・幼犬用ミルクや離乳食に使用されることが多いです。
脱脂粉乳(スキムミルク)
脱脂粉乳とは、生乳から乳脂肪分を除いて粉末状に乾燥させた生乳です。バターをつくる時の副産物でできる原材料で、脂質はほとんど含みませんがカルシウムや動物性タンパク質を多く含んでいます。
全脂乳(ミルクパウダー)
全脂乳とは生乳から水分を除去した粉末状の生乳加工品で、ミルクパウダーや全脂粉乳とも呼ばれます。全粉乳はカルシウムや動物性タンパク質の他に、脱脂粉乳では除かれる脂質も豊富に含まれています。
ホエイ(乳清タンパク質)
ホエイ(乳清タンパク質)とは、生乳から乳脂肪分やカゼイン等を除いたもので、チーズやヨーグルトを作る時にできる副産物から製造されます。筋肉増強用のサプリメントなどでも配合されている乳タンパク質です。カゼインよりもアレルギーが出にくいメリットがありますが、ホエイタンパク質にアレルギー反応が出てしまう場合もあります。ホエイは生乳だけでなく大豆由来のものもあります。
カゼイン(ミルクカゼイン)
カゼインとは牛乳の約80%を占める乳タンパク質で、カルシウムと結びついて吸収を助ける性質があります。ただ「α-カゼイン」は乳アレルギーの主な原因になっているので、特に食物アレルギーを発症しやすい子犬用ミルクには使用されないこともあります。
ミルクプロテイン
ミルクプロテインは、ホエイとカゼイン2つの乳タンパク質から構成される乳加工品です。
乳類で犬はお腹を壊してしまう?
乳糖不耐症の犬に牛乳はNG
乳糖不耐症の犬には、牛乳は与えないようにしましょう。牛乳には乳糖(ラクトース)が多く含まれています。乳糖(ラクトース)は、分解酵素であるラクターゼによって分解されますが、大人になるにつれラクターゼは減少していきます。
ラクターゼが減少した乳糖不耐症の犬が乳糖を多く摂取するとラクトースを分解できず、お腹を壊したり下痢や消化不良を引き起こしてしまいます。乳糖が分解されているチーズのような乳製品であれば問題なく食べられる犬もいます。
人用の乳製品は注意
犬用・ペット用の乳製品であれば基本的に与えて問題ありません。ただスーパーなどで人用に販売される乳製品は注意して与えましょう。
人用の乳製品は、味付けの濃いものや塩分・糖分・脂肪分の高いものが多く、ほとんどが牛乳の加工品なので、おすすめではありません。
また、添加物が配合されていたり、犬にとって危険な食べ物(チョコレート、アボカド、コーヒー、生のハーブ等)が混合している可能性もあるので、成分や原材料表示を確認し、給与しても問題ないか判断してから給与量にも注意して与えましょう。
乳アレルギーの犬はNG
生乳に含まれるカゼインやホエイなどの乳タンパク質にアレルギーのある犬は、下痢などのアレルギー症状を引き起こしてしまうので給与は中止しましょう。乳アレルギーの主な原因はカゼインと言われていますが、ホエイタンパク質にもアレルギー反応が出る場合もあります。
犬にはヤギミルクがおすすめ
山羊の生乳を利用したヤギミルクは、犬用ミルクやドッグフードのトッピング製品などによく利用されます。山羊の生乳は、上で説明した乳糖やカゼインの量が牛乳よりも少なく、犬の母乳に近い成分構成なので、お腹をこわしにくいとされています。
まとめ
- 乳タンパク質とカルシウムが豊富
- 乳糖が多い牛乳やその加工品に注意
- カゼインは乳アレルギーの原因になりやすい