アフラトキシン(aflatoxin)とは
アフラトキシンはカビ毒の一種
カビはさまざまな物質を産生しながら増殖しますが、その物質のうち微生物に対して有毒なものを抗生物質、人や動物に対して有害なものをカビ毒といいます。アフラトキシンはカビ毒の一種で、犬に対して非常に強い発がん性を示すといわれています。
ペットフードに使用される穀物がカビに汚染されている場合、アフラトキシンが混入する可能性があり、これが犬の肝臓に深刻なダメージを与え、肝臓がんを引き起こすリスクがあります。アフラトキシンは熱に強いため、加熱調理しても分解されません。一度汚染されると除去することは困難です。
アフラトキシンは毒性が強いだけでなく、とうもろこしやハトムギなどの穀類、アーモンドなどのナッツ類、唐辛子、カカオ、乾燥果実など多くの農産物での汚染が報告されていることから、世界中で規制対象となっています。
日本におけるアフラトキシンの規制値
日本では食品衛生法により、全食品を対象として「有毒な若しくは有害な物質が含まれ、若しくは付着し、又はこれらの疑いがあるもの。」の販売が禁止されています。
アフラトキシンはこの有害な物質に該当し、アフラトキシンB1を指標として10 μg/kgを規制値として管理されています。
犬猫用のペットフードにおいては、ペットフード安全法により、0.02 μg/gが規制値となっています。
参考:食品衛生法|厚生労働省
参考:愛玩動物用飼料(ペットフード)の製造・販売にかかる基準・規格|環境省
アフラトキシンに感染すると
アフラトキシンが体内に入ると主に肝臓で代謝されますが、その過程で有害な副産物が生成され、DNAに損傷を与えることがあります。これにより肝細胞に変異が生じ、肝臓がん(肝細胞がん)の発症リスクが高まります。
また、アフラトキシンは急性中毒も引き起こすことがあり、大量に摂取すると短期間で肝機能障害や黄疸、食欲不振、嘔吐などの症状があらわれ、最悪の場合は死に至ることもあります。
肝臓は、病気が進行しないと症状があらわれないことから「沈黙の臓器」ともよばれます。
アフラトキシン汚染による犬の死亡事件
引用元:Certain Lots of Sportmix Pet Food Recalled for Potentially Fatal Levels of Aflatoxin|FDA
2020年、トウモロコシのカビ毒による事件
2020年12月30日、アメリカのミッドウエスタン・ペットフード社のスポートミックスドッグフードの一部商品から、高濃度のアフラトキシが検出され、28頭の犬が死亡し、8頭が中毒症状があらわれたと報告がありました。ドッグフードの原材料として使用されたトウモロコシが原因とされ、ミッドウエスタン・ペットフード社はスポートミックスの自主回収を行いました。
2021年、同じ工場の製品にもリコールが拡大
2021年1月13日、アメリカ食品医薬品局(FDA)はリコール対象を拡大して、スポートミックスと同じオクラホマ州の工場で製造しているペットフード製品も対象にリコール範囲を拡大すると発表しました。
※FDAは2021年10月25日にリコールを終了しました。
110頭以上の犬が死亡、210頭以上に中毒症状
2021年1月21日の時点で、110頭以上の犬が死亡し、210頭以上のペットに中毒症状があらわれたことを報告しました。
アフラトキシンを避けるにはグレインフリードッグフード
アフラトキシンの主な汚染作物や食品はとうもろこしやハトムギなどの穀類、アーモンドなどのナッツ類、唐辛子、カカオ、乾燥果実などです。ナッツ類や乾燥果実は犬におすすめできない食材、唐辛子やカカオは犬にとって中毒となる食材ですが、穀類はドッグフードの原材料としてよく使用されます。
アフラトキシンの感染リスクを避けるのであれば、グレインフリードッグフードも選択肢の一つです。
下記はドッグフードの評価ランキングです。愛犬の嗜好性や健康面を考慮してご参考までにご覧ください。
良いドッグフードとはなんなのか、安全性はどうすれば良いのか、少し考えさせられるニュースでしたね。