発がん性のある食品や化学物質は?意外と身近に存在する!飼い主さんができる対策

発がん性のある食品や化学物質は?意外と身近に存在する!飼い主さんができる対策

犬は飼い主にとって大切な家族の一員であり、その健康を守るためにさまざまなリスクを理解することが重要です。その中でも発がん性物質によるがんの発症について、犬の寿命が延びている現代においてとくに関心が高まっています

この記事では、犬にとって有害な発がん性物質の種類、発がんのメカニズム、発がん性物質から犬を守るための対策について詳しく説明します。

発がん性物質(carcinogen)とは?

発がん性物質とは、がんの発生を促進する可能性がある物質環境因子のことを指します。発がん性物質は細胞の遺伝子に損傷を与え、細胞の増殖や分裂の制御が失われて異常な細胞の成長を引き起こします。その結果、異常な細胞が増殖し、がんを発症させる原因となります。

発がん性物質には、食品化学物質物理的要因生物的要因があります。

犬が危険な発がん性物質:食品

化学保存料

犬のドッグフードやおやつには、発がん性の疑いがある化学保存料が含まれていることがありますブチルヒドロキシアニソール(BHA)ブチルヒドロキシトルエン(BHT)といった化学保存料は酸化防止のために使用されますが、長期にわたって摂取するとがんの発症リスクを高めると指摘されています。

高温調理された肉や焦げた部分

ヘテロサイクリックアミン(HCA)ポリサイクリックアロマティックヒドロカーボン(PAH)といった化学物質は、炭火焼や直火焼きなどの高温で調理された肉に多く生成され、とくに焦げた部分には高濃度で含まれています。これらの物質が体内に取り込まれると、肝臓で代謝される際に有害な副産物が生じ、DNAの突然変異を引き起こす可能性が高まります。犬がこれらの物質に長期間曝露されると、消化器系や肝臓、腎臓などにがんが発生するリスクが増加すると考えられています。

犬は人間よりも体が小さく体重も軽いので、同じ量の発がん性物質でも影響を大きく受けます。とくに小型犬は十分に注意しましょう。

アフラトキシン

アフラトキシンとはカビ毒の一種で、主に穀類、アーモンドなどのナッツ類、唐辛子、カカオ、乾燥果実など多くの農産物での汚染が報告されていることから世界中で規制対象となっています

2020年にはアメリカのドッグフードブランドにアフラトキシンが混入し、110頭以上の犬が死亡、210頭以上のペットが中毒症状があわられた事件が発生しました。

アフラトキシンが体内に入ると肝臓で代謝される過程で有害な副産物が生成され、DNAに損傷を与えることがあります。これにより肝細胞に変異が生じ、肝臓がん(肝細胞がん)の発生リスクが高まります。またアフラトキシンは急性中毒も引き起こすことがあり、過剰摂取すると短期間で肝機能障害や黄疸、食欲不振、嘔吐などの症状が現れ、最悪の場合は死に至ることもあります。

アフラトキシンは熱に強いため、加熱調理しても分解されません。一度汚染されると除去することは困難です。

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2024年10月25日

犬が危険な発がん性物質:化学物質と農薬

除草剤

除草剤や害虫駆除剤の一部の製品には、発がん性物質が含まれていることがあります。

とくにグリホサートを含む除草剤はがんとの関連性が指摘されています。グリホサートとは主に農業や庭園で広く使用される除草剤で、犬が散歩中に除草剤を散布した芝生を歩いて体を舐めることで体内に取り込まれる可能性があります。

またグリホサートを含む植物や水を飲んだ場合も、嘔吐や下痢、食欲不振などの消化器症状があらわれる恐れがあります。

このように日常的に摂取が続くと、低濃度であっても健康への悪影響が懸念されています。

家庭用の清掃用品

家庭内で使用される清掃用品の一部には、発がん性物質が含まれることがあります。

犬は床や家具をなめたり、嗅いだりするため、清掃後に残留する化学物質を取り込む危険があります。これらの化学物質は、消化器系や呼吸器系に影響を与える可能性があります。

アスベスト

アスベストはかつて広く使用されていた建築材料であり、現在ではその有害性が明らかになっています。犬においても発がん性が認められており、アスベストの微細な繊維を吸い込むことで体内に蓄積され、肺がんや中皮腫を引き起こすリスクがあります。

犬がアスベスと接触するのは、アスベストを含む建材の老朽化や解体作業が挙げられます。古い建物に住む犬や、建物の解体現場の近くにいる犬は、アスベストにさらされる危険性が非常に高くなります。

多環芳香族炭化水素(PAH)

多環芳香族炭化水素は石油製品の燃焼やタバコの煙、車の排気ガスなどに含まれる有害物質です。犬がこれらの物質を吸入したり、皮膚を通じて吸収したりすると、肺がんや皮膚がんを引き起こすリスクが高まります。

とくに都会に住む犬交通量の多い高速道路の近くに住む犬タバコの煙にさらされる犬は注意が必要です。

犬が危険な発がん性物質:物理的要因

紫外線

紫外線(UV)を長時間さらされると皮膚にダメージを与え、皮膚がん(とくに扁平上皮がん)を引き起こす可能性があります。とくに短毛種や、ホワイトテリアやダルメシアンなどの色素の少ない犬種は紫外線に対する保護力が弱いため、皮膚がんのリスクが高くなります。

放射線

放射線は高エネルギーの粒子や電磁波が細胞を貫通し、DNAに損傷を与えます。

放射性物質が環境に漏出した地域では、長期的な低線量の放射線被ばくが問題になることがあります。放射線によるDNA損傷は修復が困難なため、がん化する確率が高まります。

がん治療や診断のために放射線治療を行ったときに健康な細胞もダメージを受ける可能性が懸念されますが、通常は獣医師が安全な範囲で治療を行います。

犬の健康を守るためには、紫外線の過剰な曝露を避け、医療放射線の使用も慎重に行うことが大切です。

犬が危険な発がん性物質:生物的要因

ウイルス

特定のウイルスは犬の細胞に感染し、発がん性を示します。

例えばパピローマウイルス(CPV)は、主に口腔や唇、目の周り、皮膚などにいぼ状の腫瘍(パピローマ)を形成します。とくに若い犬や免疫力が低い犬が感染しやすく、接触感染によって広がります。

犬の免疫系がウイルスを除去することで数ヵ月で自然に消滅しますが、まれに腫瘍が大きくなって細菌感染を引き起こし治療が必要となることもあります。

細菌

一部の慢性感染症も発がんリスクを高めます。

犬においてとくに問題となる細菌は、ヘリコバクター属細菌が挙げられます。犬の胃や腸に慢性的な炎症を引き起こし、長期的な感染になると胃がんのリスクが高まるとされています。

このような生物的要因によるがんのリスクを軽減するためには、定期的な健康診断やワクチン接種、感染症の早期発見・早期治療が重要となります。これにより病原体による細胞への影響を最小限に抑え、がんの発生を予防することができます。

発がん性物質から犬を守るための対策

発がん性物質に対する完全な防御は難しいものの、飼い主が意識することでがんのリスクを最小限に抑えることは可能です。犬を発がん性物質から守るための対策を紹介します。

高品質なペットフードの選択

一部のペットフードには保存料や合成添加物が含まれていることがあるため、信頼できるメーカーのナチュラルやオーガニックの成分を使用した高品質なフードを選ぶことが重要です。

また、穀物や原材料の品質管理が徹底されている製品を選ぶことでアフラトキシンの混入リスクを減らすことができます。

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2019年4月1日

適切な手作りごはん

手作りごはんを与えているご家庭も多いと思います。とくに多くの食材における加熱処理は、細菌やウイルス、中毒成分を死滅できるので重要となりますが、加熱しすぎて焦げたものを犬に与えてはがんのリスクが高まり、健康への悪影響となります。

食材の特徴や栄養素を確認し、適切な調理をすることが大切です。

化学物質や農薬が使用された場所は避ける

家庭で使用する清掃用品や除草剤、害虫駆除剤などの化学物質は、ペットが接触する場所にはできるだけ天然由来の製品やペット用に安全とされている製品を使用することをおすすめします。

犬と散歩に出る際には除草剤を散布したばかりの庭や、化学物質を使用しているエリアを避けるようにしましょう。ドッグランや遊び場においても注意が必要で、除草剤や化学物質との摂取がみられたらすぐに動物病院で診てもらいましょう。

環境汚染に対する対策

多環芳香族炭化水素や車の排気ガス、タバコの煙、紫外線などの環境における発がん性物質は、生活していると知らず知らずのうちに摂取してしまいますが、これらをできる限り避けることが対策となります。

散歩をするときには日差しの強い時間帯の散歩や長時間のドッグランなどを避け、犬用の日焼け止めや日焼け防護服も効果的です。またできるだけ車通りの少ない場所や緑地を選び、環境中の有害物質に触れる機会を減らす工夫が必要です。

室内では空気清浄機を使うことで有害物質の除去を心がけることも有効的です。

まとめ

佐藤さん
犬の発がん性物質は、生活の意外と身近なところに多くあることが分かりました。これらの発がん性物物質にはできる限り接触・接触しないことが一番の対策ですね。
犬田さん
そうですね。がんの早期発見は治療の成功率を高めるために非常に重要です。年齢や犬種を問わず、初期段階での異常を発見するためにも定期的な健康診断が非常に重要となります。

ABOUTこの記事をかいた人

古川菜々

愛玩動物飼養管理士2級、ペットセラピスト、ペット看護士、愛犬飼育スペシャリスト、ドッグフード勉強会ディレクターとして、ドッグフードに関する情報を提供しています。帝京科学大学アニマルサイエンス学科卒業。文章を通してわんちゃんの魅力を発信し、また多くの飼い主さんの悩みや不安を解決することで、飼い主さんとわんちゃんの幸せのお手伝いになれば嬉しいです。