目次
「犬の肉球がガサガサしている」
「歩き方がぎこちない」
「ヒビが入って出血している」
こうした犬の肉球の症状は放置すると悪化し、日常生活にも影響を与えることがあります。
この記事では、犬の肉球が乾燥・ヒビ割れを起こす原因と、その対策、さらに日常的にできるケア方法までを詳しく解説します。
肉球の役割について

犬の肉球は単なるクッションや滑り止めではなく、さまざまな機能を持っています。
- 地面からの衝撃を吸収する
- 体重の大部分を支える
- 歩行時・着地時にバランスをとる
- 滑り止め機能
- 地面を蹴る力をサポート
- 地面の温度や感触を捉える働き
前足は手根球や掌球が発達しているため「支える・止まる」動作に特化しており、後足は「蹴る・進む」動作に特化しています。
このように、犬の肉球は私たちが想像する以上に高機能です。そのため、傷ついたり乾燥が進んだりすると歩くこと自体が苦痛になり、活動量の低下やストレスにつながる恐れがあります。
とくにアスファルトの散歩が日課になっている現代の犬たちは、摩擦や熱ダメージによって肉球に大きな負担がかかっています。
冬だけじゃない!季節を問わず注意が必要
「肉球が割れるのは冬だけ」と思っていませんか?実はそれは大きな誤解であり、年間を通して肉球は多くのダメージにさらされています。
とくに夏は熱中症対策に気を取られて、足元のケアが疎かになるケースも。実際、夏に肉球のトラブルで動物病院を受診する犬も少なくありません。
肉球が乾燥・ヒビ割れする原因
犬の肉球は非常に厚く優れた機能がある一方で、さまざまな原因でヒビ割れを起こすことがあります。主な原因6つを解説します。
①冬場の乾燥と寒さ
冬になると空気中の湿度が下がり、室内でも暖房の使用により乾燥が進みます。犬の肉球はもともと皮脂腺が少なく、外部の湿度や温度の影響を受けやすい部位です。また、冷えきったコンクリートは肉球から体温を奪い、乾燥を促進させる原因となります。
そのため、冬のような寒さと乾燥が重なる季節には、水分が蒸発して皮膚が硬くなりやすく、ヒビ割れのリスクが高まります。さらに、冷たい地面を直接歩くことで血流も悪くなり、肉球の代謝機能が低下して修復力が落ちるのも要因のひとつです。
②散歩時の摩擦や地面の温度
夏場のアスファルトは非常に高温になり、肉球の水分が失うだけでなく火傷をしてしまう恐れがあります。逆に冬は凍った地面によって乾燥やヒビ割れを引き起こす原因になります。
③散歩や運動のしすぎ
運動量が多く、長時間の散歩や走り込みを頻繁に行っている犬は、地面との摩擦によって肉球が徐々にすり減っていきます。とくに舗装されたアスファルトやコンクリートの上では摩耗のスピードが早まり、角質が硬化・剥離してヒビ割れが起きやすくなります。
また、足裏のクッション性が失われることで、衝撃が直接伝わりやすくなり、痛みを伴うこともあります。
④アレルギーや皮膚疾患
犬が食物アレルギーやアトピー性皮膚炎を持っている場合、炎症や乾燥などの症状が肉球に現れることがあります。アレルゲンへの接触や摂取が原因で、体内の免疫反応が過敏になり、皮膚のバリア機能が低下してしまうためです。これにより、水分保持力が失われ、ヒビ割れや赤み、かゆみといった異常が出やすくなります。
特定の季節や食材に反応する場合も多く、根本的な対策にはアレルゲンの特定と排除が欠かせません。症状が長引く場合は、獣医師による検査と治療が必要です。
⑤栄養バランスの乱れ
犬の皮膚や肉球の健康には、良質な脂肪酸やビタミンが不可欠です。とくにオメガ3・オメガ6脂肪酸、ビタミンEなどは皮膚のバリア機能や保湿力を維持するために重要な役割を果たします。
これらの栄養素が不足すると肉球の角質層が弱くなり、水分を保持できずに乾燥やヒビ割れが起こりやすくなります。また、栄養の偏った食事や安価なドッグフードを継続することで、慢性的な皮膚トラブルにつながるケースもあります。
健康な肉球を保つには、バランスの取れた食事を見直すことも重要です。
⑥犬種による肉球と乾燥リスクの違い
犬の肉球の状態や乾燥リスクは、実は犬種によって異なる傾向があります。
まず、小型犬の場合は体重が軽く、肉球にかかる圧力が少ないため摩耗は比較的少ないものの、室内で過ごす時間が長いため空調やフローリングの乾燥の影響を受けやすく、カサつきが慢性化しやすい特徴があります。
一方で、大型犬になると体重が重いぶん地面との摩擦が強く、散歩中のアスファルトで肉球が削れやすい傾向にあります。ラブラドールやゴールデンレトリーバーなどの活発な犬種はとくに注意が必要です。
また、ダブルコートの犬種(柴犬やハスキーなど)は被毛による保温効果がある反面、冬季には皮膚の水分保持力が下がり、肉球も乾燥しやすくなるという側面があります。
ヒビ割れのサインを見逃さない
ヒビ割れが深刻化する前に気づくためには、日頃からの観察が重要です。下記のようなサインが見られたら要注意です。
- 歩き方がぎこちない、足をかばっている
- 肉球の表面が白っぽく硬くなっている
- 触ると痛がる、嫌がる
- 肉球の間をしきりに舐める
- 小さな切れ目や出血が見られる
これらの症状を見つけた場合は、早めにケアを始めるか、必要に応じて動物病院を受診しましょう。
自宅でできる肉球ケア方法
犬の肉球は乾燥にとても弱く、人間でいうかかとのようにヒビ割れやすい部分です。普段からの保湿ケアが、トラブルを未然に防ぐ鍵になります。
下記に、安全かつ効果的なケア方法をご紹介します。
保湿ケアを習慣にする
犬専用の肉球クリームやバームを用意し、散歩後や就寝前に清潔な状態で優しく塗り込みましょう。
天然由来のシアバターやココナッツオイルなどが含まれている製品は、刺激も少なく安全です。舐めても安心な成分を選ぶことで、犬にも飼い主にもストレスのないケアができます。乾燥が進む季節や、室内の湿度が低い時期はとくに意識して保湿しましょう。
散歩の後は必ず足をチェック
毎日の散歩は健康維持に欠かせませんが、同時に肉球を傷つけるリスクも伴います。帰宅後は肉球の表面や指の間に異物がないか、傷がないかを確認する習慣をつけましょう。とくに小石やガラス片、草の種などが挟まっていることもあるため、丁寧にチェックを行いましょう。
軽くぬるま湯で洗い流し、しっかりと水分を拭き取った後に保湿を行うことで、衛生面と乾燥対策の両方をカバーできます。
滑りにくい床対策も忘れずに
室内のフローリングやタイルなどの滑りやすい床材は、犬の足腰や肉球に大きな負担を与えることがあります。踏ん張りが効かずに滑ることで肉球の摩耗が進んだり、関節に過度な力がかかることも。とくにシニア犬や小型犬にとっては怪我のリスクにもなります。
肉球の保護のためにも、滑り止めマットやカーペットを敷くことで負担を軽減し、安全に歩ける環境を整えてあげましょう。床材の工夫はヒビ割れ対策だけでなく、生活の質を高める配慮にもなります。
食事からも皮膚の健康をサポート
肉球も皮膚の一部であり、栄養バランスが大きく影響します。とくにオメガ3脂肪酸やオメガ6脂肪酸、ビタミンEは皮膚の保湿力や再生力を高める重要な栄養素です。豊富に含まれている食材をドッグフードに少量トッピングすることで、内側からのケアが可能になります。
ただし、過剰摂取は肥満や下痢の原因にもなり得るため、与える量には注意が必要です。
症状がひどいときの対応と注意点
犬の肉球が下記のような状態の場合は、自己判断せず、できるだけ早く動物病院で診てもらいましょう。
- 出血している
- 深いヒビ割れがある
- 化膿や異臭がある
- 肉球をしきりに舐める・噛む
市販の保湿剤では対処しきれないケースもあり、抗生物質の投与や専門的な処置が必要になることもあります。また、アレルギーや自己免疫疾患が背景にある可能性もあるため、専門家の意見を仰ぐことが大切です。
犬の肉球を守る意識を日常に
肉球の健康は、犬の生活の質に直結します。人間にとっては見過ごしがちな小さな部分でも、犬にとっては「地面と接する大切な器官」。だからこそ、定期的なチェックと正しいケアを日常に取り入れることが、健康寿命を延ばす第一歩になります。
乾燥やヒビ割れの予防は、冬だけでなく一年を通して必要です。今日からできる簡単なケアで、あなたの愛犬の足元を守っていきましょう。