

今回は、誰にでも懐く犬のメリットとデメリット、この行動をやめさせるべきなのか、そしてうまくコントロールするために飼い主ができる対策を解説します。
そもそも犬はなぜ人に懐くのか?

犬の社会的な本能
犬はもともと群れで生活していた動物であり、社会性が非常に高い生き物です。この社会性が、人間を含む他者との強い絆を形成する理由の一つです。
大昔は人と犬は共同で仕事をし、狩猟や牧畜、見張りなどの役割を通じて深い絆を築いてきました。この歴史が、犬が本能的に人に懐く基盤となっています。
群れの中で協力し合うことで生存してきた犬は、人間に対しても信頼を寄せ、飼い主を群れのリーダーや仲間とみなして絆を築こうとします。
個体差や遺伝的要因
遺伝的に人に懐きやすい犬種として代表的なのが、
- ラブラドール・レトリバー
- ゴールデン・レトリバー
- キャバリア・キングチャールズ・スパニエル
- フレンチ・ブルドッグ
です。
これらの犬種は初対面の人にも懐きやすく愛情深い性格を持ちます。
一方で、ドーベルマンやジャーマン・シェパード、柴犬などの警戒心が強く非常に賢い犬種は、知らない人には簡単に懐かない傾向にあります。
誰にでも懐く犬のメリット

社交的で安心感がある
誰にでも懐く犬はどんな人にも優しく接するため、飼い主以外の人や犬に対して攻撃的になる心配が少なく、周囲から愛される存在になりやすいです。多頭飼いや犬同士の集まり、新しい環境でもすぐに馴染むことができるでしょう。
また、訪問者や通りすがりの人に吠えたり噛んだりするというリスクも低いです。
ホテルやラン、カフェを利用しやすい
誰にでも懐く犬は、飼い主以外の人や犬に対して友好的で緊張しにくいため、新しい環境や見知らぬ人・犬がいる場所でもストレスを感じにくいです。そのため、ペットホテルやドッグラン、ドッグカフェ、犬の幼稚園などを利用しやすい傾向にあります。
しつけのしやすさ
誰にでも懐く犬は、人の注意を引くことや褒められることが好きであるため、指示に対してポジティブに反応することが多く、しつけがしやすい傾向があります。
また、「おすわり」や「待て」などの基本コマンドを教える際も、人に対する信頼感が強いため学習意欲を高めやすく、しつけやトレーニングを円滑に進めやすいです。
誰にでも懐く犬のデメリット

不安や寂しさを感じる
犬が他人にも甘えすぎたり、他人への接触頻度が多いと、飼い主は「自分のことを特別に思ってくれていない」「自分だけでは愛犬を満足させられていない」と寂しさや不安を感じてしまうことがあります。
しかし、実際には愛情が薄いわけではありません。
犬の誰にでも懐く性格は愛情深さや優しさのあらわれであり、飼い主への特別な愛情とは別物です。飼い主としては、犬の懐っこい性格を理解しつつ、絆をさらに強化する努力をすることが大切です。
警戒心が低い
誰にでも懐く犬は警戒心が低いため、不審者に対してもフレンドリーに接してしまい、飼い主や家を守る役割を果たしにくいです。
また、他の犬や動物と接触した際に相手が攻撃的だった場合、ケンカや怪我などのトラブルに巻き込まれる恐れもあります。
迷子や誘拐のリスクが高まる
誰にでも懐く犬は警戒心が低いため、知らない人に友好的で簡単についていってしまう可能性があります。散歩中や庭で自由にしているとき、飼い主が目を離したすきにリスクが高まります。
特に小型犬はバッグに入りやすいため誘拐される可能性が高く、また人気のある純血種(チワワやトイプードルなど)は市場価値が高いため、犯罪の対象になりやすいです。
必ず迷子札やマイクロチップを装着し、犬の安全を確保しましょう。
しつけの一貫性が乱れる可能性
誰にでも懐く犬は、他人の指示にも従う傾向があります。その結果、飼い主が教えたルールや指示と異なる行動を学んでしまい、しつけの一貫性が乱れる可能性があります。
例えば、飼い主が「待て」を教えている途中で、他人が犬におやつを与えたり異なる指示を出すと混乱してしまい、誰の指示を優先すべきか分からなくなってしまいます。
また、他人から頻繁におやつをもらうことで、飼い主の許可を待たずに食べ物を要求する癖がついてしまう場合もあります。
誰にでも懐く行動はやめさせるべき?
犬が誰にでも懐くのは危険やリスクが伴う場合もあります。メリットやデメリットを把握し、犬の行動をよく観察したうえで判断しましょう。
やめさせるべき場合
- 知らない人について行ってしまう
- 過度に興奮して飛びつく
- 不審者にもフレンドリーに接する
- しつけのコントロールが効かなくなる
これらの状況を伴う場合、犬も飼い主も他人も命に関わる恐れがあります。
犬との散歩やドッグラン、ドッグカフェでこのような行動や状況が見られる場合は、誰にでも懐く行動をやめさせるべきです。
やめさせる必要がない場合
- 適度に社交的で、適度に仲良くできる
- 飼い主の指示が通る範囲で懐く
誰にでも懐く行動が「適度」であれば、やめさせる必要はありません。社会性があるのは良いことなので、適切なバランスを取ることが重要です。
また、犬が他の人と交流している最中であっても、飼い主の「待て」や「おいで」などの指示をきちんと守れるようであれば、無理にやめさせる必要はありません。
誰にでも懐く行動をやめさせるには?

前項でご紹介した通り、危険やリスクが伴う場合は誰にでも懐く行動をやめさせるべきです。では、やめさせるために飼い主はどのような対策をすれば良いのでしょうか?
基本的な指示を徹底する
「おすわり」「待て」などの基本的なコマンドをしっかりと教えましょう。特に「待て」を習得させることで、犬が興奮して他人に向かう行動を制御することができます。
他人との接触にルールを設ける
犬が他人と接する際に、「飼い主の許可なしに近づいてはいけない」というルールを教えましょう。
そうすることで、「飼い主が許可しない限り、知らない人に甘えない」という認識を持つことができます。
- 人が近くにいる際に「待て」を指示する
- 勝手に動いたらリードで制止
- きちんと待てていればおやつをあげる
- 「OK」の合図で触れさせる
飼い主との絆を深める時間を増やす
犬が誰にでも懐くのは、飼い主とのコミュニケーション不足が一因である可能性もあります。
飼い主と過ごす時間が少ないと、犬は愛情を求めて他人に甘えるようになります。特に遊びやスキンシップが少ない犬は、おやつをくれる人やたくさん遊んでくれる人に「一緒にいて楽しい」と感じ、誰でもいいから構ってもらおうとする傾向があります。
散歩やおもちゃ遊び、毎日たっぷり撫でる、話しかける、マッサージなどを通して犬との時間を濃密なものにし、飼い主との関係を強化することが大切です。
まとめ

しかし、危険やリスクを伴う場合であればやめさせるべきです。
犬の性格を活かしつつ、安全面や行動をコントロールしましょう。

その姿は社交的で可愛いなと思う反面、警戒心がなさすぎるのでは…?と少し不安になることもあります。
やめさせた方がいいのでしょうか?