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<2019年6月>動物愛護法の改正でマイクロチップが義務化となりました
2019年6月12日動物愛護法改正で犬猫のマイクロチップ装着と登録機関への登録が義務化されました。施行は公布から3年以内なのでまだ施行はされていませんが、施行されると犬猫を迎えてから120日以内にマイクロチップの装着をしなければなりません。
今回すでに犬猫を飼育されている方は対象外ですが、義務の対象外者にも「努力義務」が課せられているので、健康診断や動物病院に行く時にマイクロチップも装着することをおすすめします。
また、すでにマイクロチップを装着した犬を迎える場合も、新しい飼い主さんには、前の飼い主やブリーダーの情報から新しい登録情報への変更届けが義務付けられます。住所や電話番号など変更したら登録機関に変更届けをその都度出しましょう。
ペット用マイクロチップについて
ペット用マイクロチップは犬や猫の肩甲骨皮下組織に埋め込まれる識別用の電子部品です。大きさは直径2mm×長さ1cm前後。体内に入っても問題を起こさないよう生体適合ガラスに覆われています。
一度装着すれば体内に留まるので、首輪や服のように取り外される心配もなく、生涯使用することができます。犬の体の上から専用のスキャナーをかざしてマイクロチップのデータを読み取れば、飼い主さんの登録情報や個別の番号(個体識別番号)を確認できます。
マイクロチップのメリット
飼育放棄や誘拐、虐待や悪質な繁殖を抑制
マイクロチップは、現在問題となっている犬や猫の飼育放棄や虐待、悪質な業者による繁殖を抑制し、殺処分を減らす効果も期待されています。マイクロチップが義務化されることで、すべての犬が身元を証明されることになるので、証拠や言い逃れできない状況をつくりやすくなります。
災害時や迷子の時、自分の犬である証明になる
災害時や脱走で迷子になった犬や、長期的にはぐれてしまった犬が自分の犬であるかどうか確かめることができます。長期間迷子になると、首輪が壊れて外れたり、体型や見た目も変わり、飼い主のことを忘れてしまっている可能性もあるので、愛犬であるかどうか判断が難しい場合があります。
また、あまりない例ですが、飼い主を名乗る人物が複数現れた場合に、マイクロチップがついていれば、確実に自分が飼っていた犬であると証明ができます。
マイクロチップの登録方法
登録も義務、登録料は1,000円前後
今回の法改正ではマイクロチップの装着と合わせて「登録」も義務化されています。マイクロチップの情報は地方自治体に登録され、犬に与えられる15桁の個別番号と、飼い主の氏名、住所、連絡先などがデータベースで管理されます。基本的に動物病院でマイクロチップの装着を行えば、その流れで登録の用紙などももらえるので迷うことはないかと思いますが、気になる方は、自治体のHPなどで確認してみるといいかと思います。
マイクロチップの指定機関への登録料は1,000円前後です。一度登録すれば、その後の情報変更は何度行っても無料です。
マイクロチップの装着の流れ
動物病院の予約
まずは電話やWEBから予約を取ります。動物病院によっては予約なしでもOKの場合もありますが、マイクロチップが予約制の動物病院も多いので、行く予定の動物病院のHPを確認してみましょう。
ちなみにマイクロチップの装着は獣医療行為にあたるため、自分で行うことはできません。動物病院などで必ず獣医師さんに行ってもらってください。
動物病院でマイクロチップ注入
予約日に動物病院に来院して、簡単な診察をしてもらい、獣医師さんが「インジェクター」という注入器で皮下にマイクロチップを装着します。強い痛みもないので麻酔もしません。待合時間を除けば施術は20分程で終了します。
装着のための特別な準備は必要なく、断食や被毛を一部剃ったりする必要もありません。
マイクロチップを登録と振込
動物病院から、個別の識別番号になるIDデータの登録申込書を受け取り記入し登録手続きを行い、郵便局などで1,000円前後の登録手数料を振り込みます。
マイクロチップの費用
総額で5,000円~を想定しておくといいかと思います。基本的な診察料や登録料、マイクロチップの本体で約3,000円ほどします。
マイクロチップの部位
マイクロチップは肩甲骨皮下組織という首の後ろ~背中の場所に装着します。ちょうどアイコンの写真の場所で、犬の手が届かないので引っ掻いてしまう心配もありません。
マイクロチップによる事故や副作用
引用元:RVC issues warning over microchip case
日本ではありませんが、海外で生後7週の小型犬の脳にマイクロチップを埋め込み、挿入後に死亡、また脳に障害が残ってしまったという事故が実際にありました。日本では脳にマイクロチップが装着されることはありませんのでこのような心配はありませんが、小型犬は体が非常に小さいため、生後3~4ヶ月まで待って体が成長してからの装着を勧められるかもしれません。
マイクロチップ装着による副作用についてはほとんど報告がないということで心配はいらないかと思います。
マイクロチップとGPSの違い
マイクロチップをGPSと勘違いされている方もいますが、マイクロチップはGPSのように犬がいる場所がわかるものではありません。
GPSは犬の現在地を人工衛星からの電波で知ることができるシステムで、犬が脱走や迷子になった時に探すには非常に便利な機能ですが、今回の改正で義務はしていません。
マイクロチップは現在地を知る機能はありませんが、たとえば愛犬が保護されて専用スキャナーで読み取ってもらえれば、飼い主さんに連絡が来るので、見つかる可能性は高くなります。また野良犬や捨て犬と勘違いされて殺処分になる最悪の事態も防ぐことができます。