犬の過剰な興奮はなぜ起こる?落ち着かせるための原因分析と対策法

愛犬が飛び跳ねたり、吠え続けたり、走り回るなどの行動を見せると、「うちの子、興奮しすぎでは?」と感じる飼い主も多いはずです。犬が元気で活発なのは喜ばしいことですが、過剰な興奮や落ち着きのなさが続く場合、飼育環境や接し方に何らかの問題が潜んでいる可能性もあります

この記事では、このような「過活動」とも呼ばれる状態の原因や行動や、愛犬を落ち着かせるための対策について解説します。

過剰な興奮「過活動」とはどんな行動?

単なる「元気な犬」とは異なる

犬の「過活動」とは、通常の活動レベルを超えて頻繁かつ持続的に動き回ったり、落ち着きなく振る舞ったりする状態を指します。単なる「元気な犬」とは異なり、飼い主の制止が効かない、興奮が異常に長く続くなど日常生活に支障をきたすレベルの行動を指します。

犬の過活動
  • インターホンや来客、音に過敏に反応して吠え続ける
  • 飼い主が動くたびに跳びかかる、付きまとう
  • 散歩中に落ち着きなくリードを強く引き続ける
  • 室内でひたすら走り回る、家具に飛び乗るなど興奮が止まらない
  • 指示を無視し、名前を呼ばれても反応がないほど集中できない
  • 他の犬や人に過剰に接近し、制御が効かない
  • 就寝時間になっても動き続け、疲れている様子が見られない
  • 手や服を噛む、吠える、飛びつくといった行動が頻発する
  • 興奮スイッチがいくつか存在する

興奮と過活動の違い

犬の「興奮」とは、本来はポジティブな刺激に反応する正常な感情のひとつです。来客時に喜んで走り寄ったり、散歩の前にそわそわする様子は、ごく一般的な行動です。

しかし、これが度を越して制御できない状態に陥ると、「過剰な興奮」「過活動」として問題視されることになります。

過剰な興奮の主な原因とは

エネルギーの発散不足

運動や知的刺激が十分でない犬は、体力や好奇心が行き場を失い、過剰な行動として現れます。

とくに体力が有り余っている若い犬や、ボーダーコリージャックラッセルテリアなどの作業犬の血統を持つ犬種は、本来非常に高い集中力と持久力を備えており、毎日の運動が不十分であったり退屈な時間が長いとストレスがたまり、過活動をする傾向が強くなることがあります。

十分な散歩と、家の中でも頭を使う遊びをしてあげましょう。

幼少期の社会化不足

生後3週~14週頃に経験すべき「社会化期」に十分な刺激や他者との関わりを持たなかった犬は、大人になってから新しい状況に過剰に反応する傾向があります。この反応は恐怖とも興奮とも捉えられ、予測不能な過活動の一因になることもあります

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分離不安や不安症傾向

飼い主と離れることへの不安から、落ち着きがなくなる犬もいます。これはただの「寂しがり」ではなく、分離不安という精神的ストレスが興奮という形で噴出している状態です。また、周囲の音や物音、環境の変化に敏感すぎる犬も、常に過敏な状態にあるため、外的刺激に過剰に反応しがちです。

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飼い主の対応が興奮を助長している

犬が興奮したときに過度に声をかけたり、興奮をなだめるような仕草を取ると、それが逆に「この行動をすれば注目してもらえる」と学習してしまいます。

また、飼い主自身がせかせかとした動作や声掛けを日常的にしていると、それが刺激となり犬の興奮状態が習慣化されてしまうこともあります。

過剰な興奮をする犬への対策

一貫したルールと穏やかな態度

まず重要なのは、飼い主が冷静であることです。興奮している犬に対して飼い主が慌てて声を荒げたり、不安そうに接すると、それがそのまま犬に伝染してしまいます。

犬に安心感を与えるためには、「飼い主は常に同じ反応をする」という一貫性が非常に大切です。

散歩の質と頻度の見直し

単に歩くだけの散歩では不十分な場合があります。においを嗅ぐ時間を設けたり、目的地を変えて刺激のあるルートを選ぶことで、散歩自体が知的活動になり、犬の満足度が高まります。

また、ボール遊びや追いかけっこなど、全身を使う運動も効果的です。

トレーニングと課題を与える

「おすわり」や「まて」などの基本的な指示だけでなく、簡単なトリックやパズル型の給餌器などを使って、「頭を使って疲れる時間」を意識的に作ってあげましょう

興奮する前に集中を促すことができれば、問題行動そのものが減少します。

来客時や外的刺激への段階的慣れ

インターホンや来客など、犬が興奮するシチュエーションには段階的に慣らす方法が有効です。最初は音だけに慣れさせる、次は家の中で飼い主が落ち着いて対応する姿を見せる、といったステップを踏みながら、刺激と平常心を結びつけていくことが求められます。

改善できない場合は専門家に相談

どんなにトレーニングを重ねても、極度の興奮状態が改善しない、または攻撃的な要素が見られる場合は、行動診療に対応できる獣医師やドッグトレーナーの力を借りることも重要です。

とくにホルモンバランスの異常や神経系の問題が隠れている場合、医学的な対応が必要になることもあります

まとめ

  • 過活動とは興奮しすぎて落ち着きのない行動が継続する状態のこと
  • エネルギーの発散が不足している犬は過活動になりやい
  • 十分な運動や知的刺激、環境と接し方を整えることが重要

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帝京科学大学アニマルサイエンス学科卒業。愛玩動物飼養管理士2級、ペットセラピスト、ペット看護士の資格を取得。ドッグフード勉強会ディレクターとして、わんちゃんの栄養や病気、生態、ドッグフードなどの情報を提供しています。わんちゃんの魅力を発信し、飼い主さんの悩みや不安を解決することで、わんちゃんと飼い主さんの幸せのお手伝いになれれば嬉しいです。