ドッグフードのオメガ3脂肪酸。学習能力向上、癌の予防効果などEPA・DHAの働きを解説!

佐藤さん
オメガ3脂肪酸は数ある脂肪酸の中で、必須栄養素の一つですよね。
犬田さん
はい。脂肪酸は三大栄養素の「脂質」を構成する主要な要素で、オメガ3脂肪酸は様々な効果が期待されています。

今回はオメガ3脂肪酸について犬への効果を詳しくご紹介したいと思います。

ドッグフードのオメガ3脂肪酸とは

DHA・EPA・αリノレン酸などの不飽和脂肪酸

オメガ3脂肪酸(ω-3 fatty acid)は、脂質を構成する脂肪酸の一つで、DHAやEPA、αリノレン酸などが挙げられます。

オメガ3脂肪酸は1つ以上の不飽和の炭素結合をもつ多価不飽和脂肪酸に分類され、いずれも犬の体内で合成ができないため、食べ物から摂取しなければならない「必須脂肪酸」と呼ばれます。

オメガ3が豊富な食べ物

  • サバ(DHA・EPA)
  • サーモン(DHA・EPA)
  • サンマ(DHA・EPA)
  • イワシ(DHA・EPA)
  • 魚油(DHA・EPA)
  • 亜麻仁油(αリノレン酸)
  • エゴマ油(αリノレン酸)

オメガ3は魚類に多く含まれるので、魚をメインにしたドッグフードではオメガ3脂肪酸の含有量は多くなります。

オメガ3脂肪酸の必要量

ドッグフード オメガ3脂肪酸 最低基準 AAFCO画像引用元:2016 AAFCO Midyear Meeting Committee Reports|AAFCO 

  • alpha-Linolenic acid :0.08%以上
  • Eicosapentaenoic + Docosahexaenoic acid:0.05%以上
  • (Linoleic + Arachidonic):(alpha-Linolenic +Eicosapentaenoic + Docosahexaenoic) acidratio 最大30:1

ドッグフードの幼犬用総合栄養食でも、αリノレン酸と、DHA・EPAの最低基準が定められています。オメガ3脂肪酸は、様々な効果が確認されていて、癌(リンパ腫)や慢性腎臓病の犬においても、オメガ3脂肪酸を投与で寿命の延長が見られたという報告があります。

また、ドッグフードにおいてオメガ3とオメガ6の配合量のバランスも重要で、オメガ6:オメガ3が5~10:1が適正範囲とされています。最近はオメガ3脂肪酸の効果が確認されてきているので、オメガ6:オメガ3=3:1くらいに引き上げてもいいという見解もあります。オメガ6脂肪酸とのバランスについては下記の記事をご覧下さい。

オメガ6 オメガ3 ドッグフード

ドッグフードのオメガ6:オメガ3の適正比率は?5~6:1がアトピーの改善、癌や心臓病の予防に期待

2019年3月11日

DHA(ドコサヘキサエン酸)の効果

DHA(ドコサヘキサエン酸)は、サバ、イワシ、サーモン、貝類、オキアミなど魚介類に多く含まれる必須脂肪酸です。DHAは人工合成は行われていないので、基本的に前述した魚介類や魚から抽出した魚油が供給源として利用されています。

DHAは母乳にも多く含まれていて、子犬が成長するためにも欠かせない栄養素です。DHAは特に、脳や神経系を活性化させ、必要な学習能力や記憶力を向上させる働きがあります。「魚を食べると頭が良くなる」と言われるのは、DHAの脳や神経機能の活性化させる効果のためです。

  • 記憶力、学習能力の向上作用
  • 子犬の運動機能や神経の発達
  • 炎症の緩和(骨関節炎、炎症性腸疾患、アレルギー性皮膚炎など)
  • がん予防
  • 視力低下の抑制(網膜反射能の向上)
  • 高齢犬のアルツハイマー型認知症の改善

また、高齢犬のアルツハイマー型認知症への効果については、効果があるという報告と、効果がなかったという報告の両方があります。記憶力の向上や神経の活性化の作用があるので、認知症予防や改善に効果がある可能性は大いにあると思いますが、現時点では断言はできません。

EPA(エイコサペンタエン酸)の効果

EPA(エイコサペンタエン酸)は、DHAと同様、青魚など魚介類に多く含まれている必須脂肪酸で、血液が凝り固まることを抑制する働きがあります。

このため、EPAには血管の詰まりによって引き起こされる生活習慣病や疾患への予防効果が報告されており、中高齢以上のシニア犬にとって嬉しい効果が目白押しとなっています。

  • 血小板凝集効果
  • 炎症の緩和(関節炎、炎症性腸疾患、アレルギー性皮膚炎など)
  • 血流改善(血液をさらさらに保つ)
  • 動脈硬化、心筋梗塞、血栓の予防効果
  • コレステロール、中性脂肪の低下
  • 血圧の低下作用(高血圧予防)
  • 血糖値の改善、低下作用
  • 肥満予防

EPAを摂取することで体脂肪質が低下したという報告もあり、肥満予防への効果も期待されています。また、オメガ6と競合することで、免疫や凝血反応、炎症などで過剰な反応を抑えるブレーキのような役割も果たします。

ちなみにEPAは、DHAのように脳の入り口を通り抜けることができません。このため、EPAの状態では脳や神経に作用することができませんが、EPAはDHAに変換されることもあるので、DHAに変換されると脳や神経への効果も発揮します。

αリノレン酸の効果

αリノレン酸は亜麻仁やエゴマなどの植物油に多く含まれる必須脂肪酸で、血流改善や動脈硬化の予防に効果のある脂肪酸です。αリノレン酸は、体内でDHAやEPAに変換されて働きますが、EPAやDHAに変換される割合は全体の約10~15%程なので、DHAやEPAへの変換を期待すると利用性が高いとは言えません。

しかしα-リノレン酸は、オメガ6脂肪酸のリノール酸に対して競合的に働く性質があるので、リノール酸を原因とする炎症(アレルギー症状)の緩和に有用です。

  • リノール酸を原因とする炎症の緩和
  • 皮膚の健康維持
  • 心血管疾患の予防
  • 血圧の上昇を抑制

また、αリノレン酸が不足すると皮膚障害、繁殖障害を引き起こすため、EPAやDHAだけを摂取すればいいというわけでなく、αリノレン酸も犬にとって必要な栄養素です。

まとめ

犬田さん
以上今回は、オメガ3脂肪酸のDHA・EPA・αリノレン酸それぞれの効果について解説しました。
佐藤さん
オメガ3でまとめて見ていましたが、それぞれに性質や得意な効果があったんですね。でもどの成分も犬にとって良い効果や作用が期待できそうなので、オメガ3は重要な成分だということがより理解できました!
オメガ6脂肪酸 ドッグフード

ドッグフードのオメガ6脂肪酸。皮膚や被毛の健康維持に関わる必須脂肪酸。過剰摂取には注意!

2021年11月16日

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一般社団法人ペットフード協会ペットフード販売士、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。また、日本化粧品検定協会のコスメコンシェルジュ資格を有し、ペットフードだけでなく化粧品にも精通しています。販売時に必要な知識となる薬機法などについてもご紹介ができます。 日本化粧品検定協会会員。