飼えなくなった犬の未来を守る「ペット後見制度」とは?仕組み・費用・課題まで解説

飼えなくなった犬の未来を守る「ペット後見制度」とは?仕組み・費用・課題まで解説

犬を家族として迎え入れる人が増える中で、「もし自分に何かあったら、この子たちはどうなるのか」という不安を抱える飼い主も少なくありません。とくに高齢者世帯や単身者にとっては、病気や入院、施設入所、そして死後の問題まで現実的に考えざるを得ない場面が増えています。

こうした不安に対して注目を集めているのが「ペット後見」です。

今回はペット後見について、特徴や費用、どんな方が利用しているのかを解説します。

ペット後見とは?

ペット後見とは、飼い主が高齢化や病気、事故、死亡などにより犬の世話をできなくなった場合に備えて、後継人や信頼できる団体と契約を結び、あらかじめ「誰が」「どのように」犬の世話を引き継ぐかを決めておく仕組みです。

法的に統一された公的制度ではありませんが、契約や信託、覚書などを用いて、後見人となる個人や団体、費用の管理方法、飼養方針を明確にします。

飼い主不在による飼育放棄や行き場を失うリスクを減らし、ペットの生活と福祉を守るための重要な備えとして注目されています。

どんな人がペット後見を利用している?

ペット後見を利用している人
  • 高齢になり、自分に万一のことが起きた後の犬の行き先を心配している人
  • 持病などにより、継続して飼育できなくなる可能性を考えている人
  • 一人暮らしで、家族や身近にペットを引き継げる人がいない人
  • 災害や事故、急な入院など「もしも」の事態に備えておきたい人
  • 犬や猫を終生飼養したいという強い責任感を持っている人
  • 相続や遺言とあわせて、ペットの将来も明確にしておきたい人

ペット後見は高齢者に限らず、幅広い年齢層に利用されつつあります。きっかけとして多いのは、持病や障害を抱え、将来的に長期入院や介護が必要となる可能性がある人です。また、子どもがいない単身者や、身近に頼れる親族がいない家庭でも、ペットの将来を真剣に考える人が増えています。

実際に、ペット後見を利用しているある女性は、40代で癌と診断されたことをきっかけに、愛猫の将来を案じて契約を結びました。別の事例では、70代の夫婦が、自分たちが亡くなった後に飼っている2頭の犬の生活を保証するために信託を活用しています。

また、最近では被災リスクへの備えとして利用を考える人も出てきています。地震や台風などの災害時に、自分がペットの世話をできなくなった際の一時預かりや譲渡先の確保もペット後見の枠組みの中で準備できます。

何から始めたらいい?ペット後見フローチャート

引用元画像:はじめてのペット後見安心ガイド|認定NPO法人 人と動物の共生センター

認定NPO法人の人と動物の共生センターでは、ペット後見フローチャートが公開されています。「ペット後見について知りたい」「興味はあるけど何から始めていいか分からない」という方は、ぜひ試してみましょう。

ペット後見にかかる費用

ペット後見の費用の目安は契約内容や地域、後見対象の動物の種類や頭数、寿命、健康状態などによって異なりますが、一般的には以下のような費用が発生します。

まず、契約・手続きに関する費用です。ペット後見制度は公的制度ではないため、民間団体や専門家(行政書士・司法書士など)を通じて契約を結ぶケースが多く、契約書作成や相談料として数万円〜十数万円程度かかることがあります。

次に、後見人や団体への預託金・管理費です。飼い主に万一のことがあった後、ペットの飼育費に充てるため、あらかじめ一定額を預ける仕組みが一般的です。金額はペットの種類や頭数、想定される飼育期間によって異なりますが、目安としては数十万円〜数百万円と幅があります。

さらに、実際の飼育費用として、フード代、医療費、トリミング代などが継続的に発生します。これは後見開始後に預託金から支払われるケースが多いです。健康状態や高齢の場合は、医療費を含めてさらに多めに設定しておくことで安心につながります。

重要なのは、内容が明確で、費用の使途や管理方法が透明かどうかです。契約前に総額・内訳・返金条件まで確認することが、後悔しないペット後見につながります。

ペット後見の普及と信頼性の確保

ペット後見は今後ますます重要性を増すと考えられていますが、課題も少なくありません。

まず、ペット後見の存在そのものが一般に広く認知されていないこと。とくに地方部では、ペット後見に対応できる団体や専門家が少なく、実際の契約や信託の設計が難しいという現実があります。

次に、契約の透明性や信頼性の確保も大きな課題です。契約後に後見人が適切な飼育を行っているかを定期的に監視する仕組みが不十分な場合、ペットの福祉が守られないリスクも否定できません。現行では、信託銀行や行政が関与する例はまだ少なく、多くが民間主体の運営であるため、サービスの質には差があります。

さらに、費用の問題も普及を妨げる一因です。適切な準備金が用意できず、後見契約を諦めざるを得ないケースもあります。とくに高齢の年金生活者にとっては、信託報酬や契約費用のハードルは高く、今後は公的な支援や助成制度の創設が求められています。

ペットを最期まで守るために:今できる備えとは

ペット後見はまだ新しい制度ですが、「飼えなくなった時、誰が面倒を見てくれるのか」という問いに対して、ひとつの有力な解決策を提示してくれる存在です。とはいえ、すべてをペット後見に頼るのではなく、日頃から信頼できる家族や知人と話し合っておくことも重要です。ペットの性格や健康状態、好みなどを記録しておく「犬手帳」なども役立つでしょう。

また、飼い主自身が元気なうちに、ペットの将来について法的に有効な形で準備しておくことで、突然の事態にも慌てずに対応できます。自分の死後や不測の入院、介護が必要になったときにも、ペットがストレスを感じることなく、安心して生活できる環境を確保することが、現代の飼い主に求められる責任なのかもしれません。

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2025年6月11日