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引っ越しによる手続きは、犬がマイクロチップを装着しているか、装着していないかによって異なります。
この記事では、
- マイクロチップを装着している犬の場合
- マイクロチップを装着していない犬で、引っ越し先が同じ市区町村の場合
- マイクロチップを装着していない犬で、引っ越し先が別の市区町村の場合
に分けて解説します。
※市区町村によって必要書類や手続きの流れ、所要期間、費用などは異なります。引っ越し前に早めに確認して、提出・手続き漏れなどないようにしましょう!
犬の狂犬病対策における情報登録の義務

引っ越しには登録情報の住所変更が必要
狂犬病予防法に基づき、犬を飼う際には市区町村の窓口(市役所、区役所、町村役場)で登録を行うことが法律で義務付けられています。引っ越しをする際には、登録情報の住所変更をしなければなりません。
狂犬病予防法とは?
狂犬病とは、発症すればほぼ100%の致死率を持つ感染症であり、人間にも感染する危険な病気(人獣共通感染症)です。日本では1950年に狂犬病予防法が制定され、1957年以降、国内では狂犬病の発生が確認されていません。しかし近隣諸国では依然として狂犬病が流行しているため、予防・対策を怠ると再流行の可能性があるとされています。
狂犬病の予防の一環として、犬を飼う際には以下のことが飼い主さんに義務付けられています。
- 犬の登録
- 毎年1回の狂犬病予防注射
- 予防注射証明書の提出
これらをきちんと行うことで、狂犬病の発生を未然に防ぎ、犬と人間の安全を守ることができます。
登録後は鑑札がもらえる
犬の登録は、犬を飼い始めて30日以内に市区町村で行う必要があります。
登録は犬の一生に一度のみで、登録後は「鑑札」が発行されます。鑑札には登録番号や市区町村名が記載され、犬が正式に登録されたことを示します。犬の首輪などに装着しておくことが推奨されています。
予防注射済証明書と予防注射済票

引用元画像:犬の鑑札、注射済票について|厚生労働省
予防注射済証明書とは、狂犬病予防注射を受けるたびに獣医師から交付されるものです。予防注射済証明書を市区町村に提出することで、予防注射済票が交付されます。予防注射済票はプレート式で、鑑札と同様に犬の首輪に装着することが推奨されています。
登録情報の変更手続きに必要なのは予防注射済証明書なので、間違えないようにしましょう。
上記の写真は東京都の鑑札と予防注射済票です。
市区町村によって予防接種済証明書や予防接種済票(注射ではなく接種)と記載されることもありますが、同じものです。
2022年マイクロチップ装着が義務化

改正動物愛護管理法に基づき、2022年6月1日よりブリーダーやペットショップなどで販売される犬はマイクロチップ装着が義務化されました。
また犬を譲り受けた場合も、その犬に自身が依頼してマイクロチップを装着した際には、自身の情報の登録が必要になります。
マイクロチップは直径2mm、長さ12mm程度の小型デバイスで、犬の背中付近に獣医師が注射器で埋め込みます。個体識別番号が記録されており、専用のリーダーで読み取ることができます。番号と飼い主の情報はデータベースに登録され、迷子や災害時の迅速な保護、飼育放棄の防止、犬の個体管理の向上を目的としています。
引っ越しによる手続きは、犬がマイクロチップを装着しているか、装着していないかによって異なります。
犬との引っ越し①マイクロチップを装着している場合
犬がマイクロチップを装着している場合、マイクロチップの住所変更と市町村の住所変更を行う必要があります。引っ越し日から30日以内に手続きを完了させましょう。
マイクロチップの住所変更
マイクロチップの住所変更は、環境省「犬と猫のマイクロチップ情報登録」で行うことができます。マイクロチップ番号、引っ越し先の住所、飼い主さんの本人確認書類が必要となります。
市区町村の住所変更
マイクロチップは市区町村の登録情報とは別のデータベースで管理されているため、マイクロチップ情報の変更だけでは市区町村の登録情報が自動的に更新されるわけではありません。市区町村の窓口に出向き、登録情報の住所変更を行いましょう。
旧住所での手続き
- 鑑札
- 狂犬病予防注射済証明書(最新のもの)
- 本人確認書類(運転免許証や住民票など)
- 印鑑
- 旧住所の市区町村に「犬の登録事項変更届」を提出
- 必要書類を確認後、新住所の市区町村で手続きが行えるように処理される
新住所地での手続き
- 鑑札
- 狂犬病予防注射済証明書(最新のもの)
- 本人確認書類(運転免許証や住民票など)
- 印鑑
- 新住所の市区町村に「住所変更届」を提出
- 必要書類を基に、新住所での登録情報が更新される
- 新住所の鑑札が発行される
犬との引っ越し②マイクロチップなし/引っ越し先が同じ市区町村の場合
マイクロチップを装着していない犬で、引っ越し先が同じ市区町村の場合、市区町村で鑑札や予防注射済票の再発行は必要ありませんが、登録情報の住所変更が必須です。引っ越し日から30日以内に手続きを完了させましょう。
旧住所での手続きは不要
同じ市区町村での引っ越しの場合は、市区町村のデータベースで住所変更を行うため、旧住所の市区町村での手続きは不要です。
引っ越し後に登録情報の住所変更を行う際に鑑札や狂犬病予防注射済票が必要となるため、紛失していないか早めに確認しましょう。紛失している場合、旧住所の市区町村で再発行を行う必要があります。
市区町村によっては旧住所でも手続きが必要な場合もあるため、公式ホームページなどで確認しましょう。
引っ越し後
- 鑑札
- 狂犬病予防注射済証明書(最新のもの)
- 本人確認書類(運転免許証や住民票など)
- 印鑑
- 市区町村に「犬の登録住所変更届」を提出
- 手続き完了後、登録情報が新住所に更新される
犬との引っ越し③マイクロチップなし/引っ越し先が別の市区町村の場合
マイクロチップを装着していない犬で、引っ越し先が別の市区町村の場合、旧住所の登録情報を解除し、新住所の市区町村で再登録するための手続きが必要です。引っ越し日から30日以内に手続きを完了させましょう。
旧住所での手続きは不要
前述の「マイクロチップを装着していない犬で、引っ越し先が同じ市区町村の場合」と同じように、引っ越し先が別の市区町村であっても、旧住所の市区町村での手続きは不要です。
引っ越し後
- 旧住所の鑑札
- 狂犬病予防注射済証明書(最新のもの)
- 本人確認書類(運転免許証や住民票など)
- 印鑑
- 市区町村で「犬の新規登録手続き」を依頼
- 必要書類を提出し、新しい登録情報を記録
- 新しい鑑札や予防注射済票が発行される
ペット保険の住所変更も忘れずに

ペット保険に加入している場合、新住所でも保険サービスを問題なく利用できる状態を維持するため、速やかに変更しましょう。
住所変更の手続き
- ペット保険会社のカスタマーサービスやwebサイトより、住所変更の手続きを行う
- 保険契約番号や新住所、連絡先、本人確認書類などを提出
- 手続き完了後、保険証書や契約書の控えが新住所に送付される
保険内容の確認
新住所の地域の動物病院が保険の適用範囲内かを確認しましょう。例えば、提携病院で割引が適用されるプランの場合、事前に対応可能な病院を探しておくと便利です。
引っ越しを機に、補償内容を見直すこともおすすめです。新住所周辺の医療費相場や犬の健康状態に合わせてプランを変更することで、支出を抑えられる場合があります。
まとめ
- マイクロチップの有無によって手続きが異なる
- 犬の住所変更は、引っ越し日から30日以内に完了させる
- 犬の住所変更の手続きは市区町村によって異なるため、早めに確認する