

新居への引っ越しは大きな変化ですが、飼い主がしっかりサポートすることで、犬も安心して新しい生活を始めることができます。
今回は、犬を連れて引っ越す際の注意点や事前準備、ストレスを軽減する方法ついて、引っ越し前~引っ越し当日~引っ越し後に分けて解説します。
犬にとって引っ越しは大きなストレスになる

引っ越しは、人間だけでなくペットにとっても大きなストレスとなるイベントです。とくに犬は環境の変化に敏感で、新しい場所に慣れるのに時間がかかることがあります。
例えば、引っ越しによる音や話し声、引っ越し業者の出入り、荷物の移動、積み重なる段ボールの山などは犬にストレスや不安感、警戒心を与えることがあります。また、引っ越し先の新しい匂いや空間もストレスや不安感を高める要因です。そのため、犬がストレスを感じやすい状況を事前に予測し、適切な準備を行うことが重要です。
とくにストレスを感じやすい子、環境の変化に敏感な子は、大きなストレスにより体調を崩してしまうかもしれません。十分に配慮してあげましょう。
引っ越し前にするべきこと

引っ越しをスムーズに進めるためには、計画的な準備が重要です。とくに犬を連れての引っ越しでは以下のポイントを押さえておきましょう。
- ペット可の物件を探す
- 散歩コースや動物病院の確認
- 健康診断を受ける
- 慣らし準備
- 重要書類や手続き
- ペット引っ越しサービスを利用する
①必ずペット可の物件を探す
引っ越し先の物件がペット飼育可であることを必ず確認しましょう。当たり前と感じるかもしれませんが、「バレなければいい」「迷惑をかけなければいい」とペット不可の物件で犬猫を飼っている方は意外と多いんです。
犬と共に暮らすための物件探しは選択肢が限られるため、早めの情報収集と準備が重要となります。契約時には、ペット飼育の規約や追加費用の有無も確認しておくと安心です。
②散歩コースや動物病院の確認
引っ越し先周辺の散歩コースやドッグラン、信頼できる動物病院などの位置を把握しておきましょう。動物病院が遠いと万が一のときに対応ができないため、近いと安心です。
また、近隣住民のペットに対する姿勢や地域のペットルールも事前に調べておくとスムーズです。
③健康診断を受ける
引っ越し前にいつもの動物病院で健康診断を受け、必要な予防接種や薬を確認しましょう。
また、引っ越し先の地域に多い寄生虫や特有の病気について獣医師に相談したり、必要とされる予防接種(狂犬病や地域特有の疾患など)がないか調べ、追加が必要であれば事前に済ませておきましょう。
④慣らし準備
犬が移動用クレートやキャリーに慣れるよう、引っ越し前から練習を始めましょう。
最初は短時間から始め、クレートの中にお気に入りのおもちゃやおやつを入れてポジティブなイメージを持たせることで「クレートに入ることは良いこと」と認識させます。次第に時間を延ばし、クレートに入ったまま車に入れてり移動することで、移動中の揺れや音に慣れさせることができます。
また、引っ越しに伴う環境の変化を最小限にするため、犬が使用しているベッドやおもちゃ、食器などはそのまま持っていきます。とくに匂いのついたアイテムは、新居での安心感を与える重要な要素となります。
また、引っ越し先が徒歩で行ける範囲なのであれば、引っ越し前に散歩をするなど犬が新しい匂いや環境に慣れる時間を設けると良いでしょう。
⑤重要書類や手続き
引っ越しに伴って自治体への書類の提出や手続きが必要となります。とくに、狂犬病予防法に基づき犬の登録情報は正確に管理されているため、新しい住所での手続きは義務となります。提出し忘れ、手続き遅れなどしないように注意しましょう。
犬の引っ越しに伴う重要書類や手続きに関しては、下記の記事をご参照ください。
⑥ペット引っ越しサービスを利用する
公共交通機関や飛行機での移動が不安な場合は、ペット引っ越しサービスを利用するのもおすすめです。
ペット引っ越しサービスはペットに慣れた専門スタッフが対応し、犬が安全かつ快適に移動できるように設計され、会社によっては空港での手続き代行や適切な輸送手段の選択なども含まれます。
距離やサービス内容によりますが、数万円~数十万円程度が一般的。予約をする場合は早めに行いましょう。
引っ越し当日にするべきこと

犬を連れて引っ越しする際の移動は、犬のストレスを軽減し、安全に引っ越し先へ到着するために十分な配慮が必要です。移動手段や状況に応じた準備と対策をしっかりと行いましょう。
- 移動の前に食事
- 移動に適切なクレートとルールを確認する
- 引っ越し作業前:安全で静かな場所を確保
- 引っ越し作業中:クレートや部屋に隔離
①移動の前に食事
移動中の車酔いや不快感を防ぐため、移動の2~3時間前までに食事を済ませましょう。満腹の状態での移動は吐き気や不快感を引き起こす可能性がありますが、空腹すぎる場合もストレスを感じやすくなるため、少量の軽いおやつを与えるのも良いでしょう。
また、移動中は水分補給も欠かせません。適度な休憩時間を確保してトイレやリフレッシュの時間を設けることで、ストレスや不安感を軽減させることができます。
②移動中のポイント
・車での移動
引っ越し先の距離によって移動手段や所要時間は異なりますが、犬にとって一番安全でストレスが軽減できる移動手段は車です。車であれば家族だけの空間でストレスを感じずに移動でき、適度に休憩ができたり水分補給やおやつを与えることができます。
犬をクレートやキャリーに入れてシートベルトで固定するか、後部座席に設置して急ブレーキやカーブなどで揺れないようにしましょう。途中で適度な休憩を取り、水分補給やトイレを済ませましょう。携帯用の水ボトルや折りたたみ式の水皿を準備すると便利です。
暑い時期は車内の温度管理を徹底し、エアコンや窓を活用して快適な温度を保ちます。寒い時期にはブランケットを用意し、犬が冷えないよう配慮しましょう。また、窓を少し開けて空気の流れを作ることもおすすめです。
・公共交通機関での移動
電車やバスで移動する場合、移動中は周囲の人に配慮し、犬が安心できる環境を整え、クレートを完全に閉じた状態で使用することが推奨されます。
事前に利用する交通機関のペット同伴ルールを確認し、必要なチケットや書類を準備しましょう。
・航空機での移動
引っ越し先が長距離で航空機で移動する場合、適切なサイズのクレートを選び、国際航空運送協会の基準を満たすことが必須です。出発前に獣医師の診断書や健康証明書が必要な場合があるため、念のため早めに準備を始めましょう。
また、夏季期間において、パグやブルドッグなどの短頭種は高温に弱く、呼吸器に問題が出る恐れがあるとされているため、預かりを中止している航空機もあります。航空会社によって手順や扱いが異なるので、まずは早めに問い合わせる必要があります。
③引っ越し作業前:クレートや部屋に隔離
新居に入ったら、犬をクレートから出す前に脱走対策としてドアや窓の施錠を確認し、犬専用の静かな部屋やクレートを確保しましょう。
引っ越し業者や設備の点検などで出入りが多い時間は、目を離したスキに犬がドアや窓から脱走してしまう恐れがあります。
④引っ越し作業中:定期的に様子を見る
犬は新しい環境にストレスや不安を感じやすいため、作業中も犬に気を配り、長時間放置せずに定期的に様子を確認しておやつを与えるなどして安心させましょう。
犬がストレスで吠えたり不安行動を示す場合は優しく声をかけたり、短時間でも一緒に過ごすことで落ち着かせることができます。
可能であれば、引っ越し作業中にペットシッターや家族に預けることもおすすめです。
引っ越し後にするべきこと

新居に到着したら、犬が新しい環境にスムーズに慣れるためのサポートが必要です。
- 新居の安全対策
- ストレスサインを確認
- 新しい環境への順応
- 食事や散歩は以前と変えない
①新居の安全対策
引っ越し業者が退出したら、犬をクレートや部屋から出す前に、犬が誤飲しそうなものや危険な場所がないか確認しましょう。例えば小さな部品やコード類、薬品類、洗剤類などは犬の手の届かない場所に収納しましょう。
また、犬が脱走してしまうリスクを防ぐために、庭やベランダのフェンスがしっかりしているか確認し、転落を防ぐ安全ロックの設置がおすすめです。とくにフェンスに隙間がある場合や、低すぎる場合は補強が必要です。
②ストレスサインを確認
引っ越し後に下記のような行動がみられる場合、ストレスが原因の可能性があります。引っ越しから1週間はとくに注意深く犬の行動を観察し、食事量や排泄回数を記録しましょう。
- 食欲低下
- 無駄吠え
- 過剰な舐め行動
- トイレの失敗
- 家具やおもちゃを壊す
②部屋を探検させる
引っ越し業者が退出したら、犬をクレートや部屋から出しておやつをあげたりたくさん褒めてあげましょう。
その後、一部屋ずつ探索させ、犬がリラックスしている様子を確認しながら範囲を広げます。この際、犬が落ち着くためのアイテム(お気に入りのおもちゃ、ベッド、毛布など)をそれぞれの部屋に置くと良いでしょう。
また、小さな成功体験を積み重ねることも大切です。例えば、新しい部屋でおやつを与える、飼い主との遊びを通じて安全な場所であることを認識させる、楽しい記憶を作るなどが効果的です。
③食事や散歩は以前と変えない
引っ越し後も食事や散歩などのルーティーンは可能な限り以前と変えずに、犬が生活リズムの変化を最小限に感じるよう配慮することが大切です。
新居の周辺環境を初めて散歩させる際は、静かな時間帯を選び、新しい匂いや音に慣れさせるため短時間の散歩から始め、徐々に散歩コースを広げていきましょう。新しい環境に馴染むスピードは犬によって異なるため、焦らずペースを合わせることが大切です。
まとめ
- いかにストレスを感じさせないかが重要
- 引っ越しが決まったら徐々に慣らし準備を始める
- ペット可の物件を探し、動物病院の位置を確認する
- 引っ越し作業中はクレートに入れる、または部屋に隔離する
- 引っ越し後は犬のストレスサインを見逃さないようにする