地震や台風、大雨による洪水や土砂崩れなど、災害はいつ起こるかわかりません。
突然の災害が発生したとき、飼い主さんと犬の命を守るためには事前の備えが不可欠です。
避難が必要になった場合に慌てないようにするためにも、日頃から準備しておくべきことや、災害時に役立つ持ち物について解説します。
災害に備えて①避難所の確認
災害時に犬と安全に避難するためには、避難場所について事前に確認しておくことが重要です。
災害時の避難先は自治体が指定する避難所だけでなく、車中泊やペットホテルのなど様々な選択肢があります。
いざというときに慌てず行動できるように、それぞれの特徴と確認すべきポイントを整理しておきましょう。
①公民館・学校など、自治体指定の避難所
多くの自治体では、災害時に公民館や学校の体育館などを避難所として開放します。ただし、すべての避難所が犬を受け入れるとは限らないため、事前に以下の点を確認しておきましょう。
- 最寄りの避難所が犬同伴可能か
- 犬専用のスペースがあるか
- 一般の避難者と分かれているか
- 犬用のケージやキャリーケースが必要か
- 鳴き声や排泄の管理ルール
- 水やドッグフードは提供されるか、持参が必要か
犬同伴が難しい場合、犬専用の避難所が用意されていることもあるため、自治体のホームページや防災担当窓口で確認しておきましょう。
②車中泊避難
犬と一緒に避難所へ入れない場合や、避難所の環境が合わない場合、車中泊を選択肢に入れることもおすすめです。
- 駐車場の確保:避難所の駐車場が使えるか事前に確認
- 車内温度の管理:夏は熱中症、冬は低体温症に注意
- 水やフードの備蓄:避難期間が長引く可能性を考慮
- 犬の排泄場所の確保:ペットシーツや携帯トイレを準備
車中泊を選ぶ場合、燃料の確保やエコノミークラス症候群対策(適度な換気とストレッチ)が必要になるため、事前の準備が欠かせません。
③親戚や友人宅、ペットホテルの利用
災害時は多くの人が避難するため、一時的に犬を預かってもらえる場所や、信頼できる避難先を事前に確認しておきましょう。
- 親戚や友人
- 動物病院:獣医師や緊急受け入れ体制を確認
- 近くのペットホテル:災害時に利用可能か確認
災害に備えて②避難のシミュレーション

災害時、犬は普段と違う環境や雰囲気に驚いて動けなくなる可能性があります。そのため、事前に避難訓練を行い、避難時のストレスや混乱を軽減できるよう準備しておくことが大切です。
実際に犬と歩いてみる
避難する場所やペットホテルが決まったら、実際に歩いてシミュレーションしておきましょう。
避難所までの道のりは人混みやがれきなど普段とは異なる環境や雰囲気になるため、犬が怖がって動けなくなることがあります。
避難経路を実際に犬と一緒に歩いて慣れさせておくことで、いざというときにスムーズに避難できるようになります。特に人通りの多い場所や騒がしい場所では犬が突然座り込んだり、リードを引っ張ったりすることがあるため、事前にそうした状況に慣らしておくことが重要です。
- 避難所までの距離と所要時間:犬と一緒に歩いてみる
- 道路の状態を確認:歩道の広さ、階段の有無、危険な場所
- 夜間や雨天時も想定:街灯が少ない場所やぬかるみやすい道を確認
- 河川や崖沿いは避ける:土砂崩れや津波のリスクを考慮
徒歩避難が難しい場合、車や自転車でのルートも考えておくとより柔軟に対応できます。
防災音に慣れておく
災害時にはサイレンや地震速報の音など、普段聞き慣れない大きな音が響くことがあります。音に敏感な犬は驚いてパニックになり、逃げ出してしまうこともあります。
そのため、事前にYouTubeなどで防災音を流しながら日常生活を送り、少しずつ音に慣れさせることが有効です。最初はごく小さな音量から始め、徐々に音を大きくしていくことで、犬が恐怖心を抱かずに落ち着いていられるようになります。
災害に備えて③キャリーケースに慣れさせる
突然の避難では、キャリーケースやクレートに慣れていない犬ほど入るのを嫌がり、逃げてしまったりすることがあり、安全にスムーズに避難することができません。
とくに避難所では、犬をキャリーケースやクレートに入れることが求められることが多くあります。
そのため、普段からキャリーケースやクレートに慣れさせておくことが重要であり、むしろ「安全な場所」として認識させ、慣れさせることが大切です。
そのため、普段からキャリーケースやクレートを寝床にしたり、おやつを食べさせたりすることで、良い印象を持たせると良いでしょう。
災害に備えて④マイクロチップの装着
災害時はパニックを起こした犬が逃げ出してしまうことが多く、首輪や迷子札だけでは外れてしまう可能性があります。
しかし、マイクロチップは体内に埋め込まれているため外れる心配がありません。迷子になった犬が動物病院や保健所に保護された際、マイクロチップがあれば迅速に身元を特定でき、飼い主さんのもとへ戻る可能性が大幅に高まります。
また、2022年から犬のマイクロチップ装着が義務化され、新しく販売される犬には装着が必須となりました。
すでに飼っている犬には義務ではありませんが、万が一のために装着しておくことで安心です。
災害時に必要な持ち物リスト

災害時に犬と一緒に避難する場合、最低限の持ち物を準備しておくことが大切です。
犬用の非常持ち出し袋として、犬の生活に必要なものをリュックなどにまとめてすぐに持ち出せるように保管場所を決めて家族で共有しておきましょう。
①食事関連の準備
犬の健康を維持するために、普段と同じ食事が同じ時間帯で取れるように準備しておくことが重要です。
避難所や車中泊のような、普段と異なる環境では食欲が落ちる犬も多いので、食べ慣れたドッグフードやおやつを用意しておきましょう。
ドライフード | ・食べ慣れたドライフードを用意 |
ウェットフード | ・ウェットフードは水分補給にもなる ・しかし、開封後の保存が難しいのがデメリット |
おやつ | ・嗜好性が高いものがおすすめ ・食欲が落ちたときに食べられるものがあると安心 |
飲み水 | ・1日あたり1~2Lを3~7日分 ・普段飲んでいる水 ・硬水はお腹を壊す場合があるため避ける |
折りたたみ式の食器 | ・ドッグフード&水用 ・コンパクトに収納できるシリコン製が便利 |
②健康・医療用品
災害時や避難生活では環境の変化やストレスで体調を崩しやすいため、健康を守るためのグッズも忘れずに準備しましょう。
持病のある犬やシニア犬はとくに注意が必要です。
- 犬用の常備薬
- 犬用の消毒液やガーゼ
- ウェットティッシュ
- シャンプータオル
- ブラシ
- 健康記録ノート(病歴・アレルギー情報)
③迷子防止のためのアイテム
災害時に犬がパニックを起こして逃げてしまうケースは少なくありません。迷子になった場合に備えて、身元を証明できるものを用意しましょう。
これらの対策により、万が一離れてしまっても再会できる可能性が高くなります。
- 犬の写真:顔・全身・特徴がわかるもの
- 迷子札付きの首輪やハーネス:飼い主さんの名前や連絡先を記入
- 狂犬病予防やワクチン接種証明書:避難所などで必要
④避難・移動用のグッズ
避難時は犬が興奮して暴れることがあるため、安全に移動できるような道具を用意しておきましょう。
- キャリーケースやクレート:中型・大型犬は折りたたみ式でも可
- リード:犬をコントロールしやすい伸縮しないもの
- 犬用の靴や靴下:荒れている道路を歩くときに活用
⑤トイレ用品
避難所や車中泊では犬の排泄場所が限られるため、トイレ用品を十分に準備しておきましょう。
- ペットシーツ:多めに用意しておくと安心
- ビニール袋:排泄物処理用
- 簡易トイレ:使い慣れたもの
まとめ
災害時に犬を守るためには、普段からの準備が欠かせません。
災害は突然起こりますが、事前の準備があれば愛犬と共に安全に乗り越えることができます。今日からできることを少しずつ始め、いざというときに備えておきましょう。