ドッグフードの添加物:酸化防止剤(antioxidant)
ドッグフード中の成分と酸化を防ぐ添加物
酸化防止剤(antioxidant)とは、ドッグフードに含まれる成分と酸素の化合を防ぐために添加される抗酸化物質です。
開封後も長期間保存され、空気に触れる機会も多いドライタイプのドッグフードに使用されます。
酸化防止剤の働きと必要性
過酸化脂質による風味の損失や細胞への悪影響を抑制
ドッグフードの成分中で最も酸化しやすいのは脂質です。酸化防止剤はフード中の脂質と酸素の化合を防ぐことで、過酸化脂質の発生を抑制します。
特にリノール酸やリノレン酸、アラキドン酸などの不飽和脂肪酸は必要な栄養素でありながら、活性酸素(活性化された酸素)と結合し「過酸化脂質」に変化しやすい特徴があります。
過酸化脂質は、ドッグフードの風味を低下させます。風味の損失は犬の食いつきに影響し、食欲減退につながるので食事量、栄養摂取量にも影響します。
また、過酸化脂質は、細胞壁のリン脂質の酸化による細胞死、癌細胞の発生、重大な病気(心筋梗塞、脳卒中、虚血性疾患、動脈硬化、消化器疾患)の原因となる有害物質です。
過酸化脂質の恐ろしいところは、周りの脂質も巻き込んでどんどん過酸化脂質を増加させる点です。
酸化防止剤を使用しない場合、ドッグフードの過酸化脂質の増加によって様々な問題を引き起こすので、酸化防止剤は安全を守るために非常に重要な役割を果たしています。
酸化防止剤の種類
合成酸化防止剤と天然酸化防止剤
酸化防止剤には、合成酸化防止剤と天然酸化防止剤の2種類があります。
- 天然酸化防止剤
… 自然界に存在する植物などから抽出して利用される酸化防止剤 - 合成酸化防止剤
… 自然界には存在しない人工的に作られた酸化防止剤
合成添加物は人が食べる食品にも使用されていますが、発がん性や体への異常などの心配がされており、特に小さな体の犬やペットには危険性やリスクが大きいのではないかと言われています。
代表的な酸化防止剤
代表的な酸化防止剤 | 特徴・危険性 | |
---|---|---|
合成 | BHA | ・高い酸化防止効果 ・発がん性が認められている |
BHT | ||
没食子酸プロピル | ||
エトキシキン | 食品への使用は禁止 | |
天然 | ローズマリー抽出物 | ・ハーブの一種 ・抗酸化作用がある ・天然酸化防止剤として利用される |
ミックストコフェロール | ・ビタミンE ・植物から精製される |
|
クエン酸 | ・柑橘類に含まれる ・抗酸化作用がある |
酸化防止剤不使用のドッグフードはある?
よく無添加のドッグフードと聞くと添加物を一切使用していないと思われがちですが、無添加の定義は曖昧で「危険な添加物を使用していない」という意味で使っている企業がほとんとです。
むしろ酸化防止効果のあるものを一切使用しないフードを与えるのは危険なので、酸化防止効果のある原材料や天然酸化防止剤は使用していることがほとんとです。
ただ完全密閉で開封後すぐに食べきるよう案内されているウェットフード、缶詰め、生肉等は例外です。
また、フリーズドライ製法でつくられたドッグフードは酸化防止剤や防腐剤が必要ありません。
ドッグフードの酸化防止剤まとめ
そうですね。合成酸化防止剤の危険性やリスクについては様々な意見がありますが、わざわざリスクがある合成酸化防止剤入りのドッグフードを与える必要はないと思います。