犬が食べても大丈夫な人間用チーズは?使い方次第でメリットと栄養効果アップ!与える注意点も

犬が食べても大丈夫な人間用チーズは?用途次第で栄養効果アップ!メリットと注意点も

犬はチーズ(cheese)を食べても大丈夫!

チーズは香りがよく塩味が強いので好む犬が多く、飼い主さんがチーズを持っていたらおねだりする子も多いですよね。しかしカロリーが高く、塩分や脂質が含まれているため、「人間用のチーズをあげて大丈夫?」と心配する方も多いでしょう。

犬田さん
チーズには犬に有害な成分は含まれていないため、犬はチーズを食べても大丈夫です!しかし、与えてはいけないチーズもあるので注意が必要です。

人間用チーズを与えるメリットと注意点、犬が食べても大丈夫な種類をご紹介します。

犬におすすめの人間用チーズは?一覧で紹介

チーズを作るうえで塩分は必要不可欠であるため、すべてのチーズには塩分が含まれています。

犬にチーズを与えるときは塩分が低いもの、カロリーが低いもの、添加物が入っていないものを選びましょう。

下表は、さまざまな人間用チーズ100gあたりの塩分や脂質、カロリーです。添加物などを考慮したうえで、犬に与えても大丈夫なおすすめのチーズをご紹介します。

エネルギー脂質塩分おすすめ度注意点
kcalgg
カッテージ994.51.0
リコッタ15911.50.4
モッツァレラ26919.90.2
マスカルポーネ27328.20.1塩分は少ないが脂質は多いので、半量にする
クリーム31333.00.7塩分は少ないが脂質は多いので、半量にする
プロセス31326.02.8塩分と脂質が多いので、半量にする
パルメザン44530.83.8使い方によってはおすすめ
犬用チーズ人間用より塩分や添加物が多いものがある
エメンタール39833.61.3×塩分は少ないがカロリーが高い
カマンベール29124.72.0×塩分と脂質が多く、カビの耐性が不明瞭
ブルー32629.03.8×塩分と脂質が多く、カビの耐性が不明瞭
チーズ加工品×塩分や添加物が多い

出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

一番のおすすめはカッテージかリコッタ

犬が食べても大丈夫な人間用チーズは?使い方次第でメリットと栄養効果アップ!与える注意点も

犬にチーズを与えるのは、カッテージチーズかリコッタチーズがおすすめです。

どちらも低カロリー・低脂質・低塩分なので、犬の体調管理やダイエット、食欲促進などさまざまなことに活用できます。

とくにカッテージチーズはさわやかな酸味とクセがない味なので食べやすく、また水分量が多く含まれています。普段あまり水を飲まない犬にとっては水分補給の手助けにもなるでしょう。

保存料が使用されることはほぼないので、犬に与えるのにおすすめのチーズといえます。

塩分が少ないモッツァレラもおすすめ

犬が食べても大丈夫な人間用チーズは?使い方次第でメリットと栄養効果アップ!与える注意点も

もちもちとした食感でさっぱりとした味わいのモッツァレラチーズは、他のチーズに比べて塩分が非常に少ないのが特徴です。

モッツァレラチーズは乳酸菌などの微生物の働きによって乳を固めて発酵熟成して作られたものです。熱処理を行わないので乳酸菌が生きて常に発酵が進みます。

長期の保存には向きませんが、科学的な保存料が含まれていないため、犬に与えるのにおすすめのチーズといえます。

パルメザンは少量のトッピングがおすすめ

犬が食べても大丈夫な人間用チーズは?使い方次第でメリットと栄養効果アップ!与える注意点も

パルメザンチーズは粉チーズとしてなじみ深く、常備しているご家庭も多いのではないでしょうか。

少量でも濃厚な香りと風味を感じられるので、ドッグフードにトッピングすることで食欲促進につながります。

食欲が落ちている子やドッグフードへの食いつきが悪い子などにおすすめです。ドッグフードにトッピングするときはパラパラとふりかける程度の少量にしましょう。

上記の栄養価表を見るとカロリーが高く感じますが、パルメザンチーズはパラパラとふりかける程度なのでカロリー面はそこまで気にしなくても良いでしょう。

カマンベールやブルーのカビは犬に害あり?

犬が食べても大丈夫な人間用チーズは?使い方次第でメリットと栄養効果アップ!与える注意点も

カマンベールチーズの白カビやブルーチーズのアオカビは人間が食べても害はありませんが、犬にとっても同じく害がないのか明確な証明はされていないといわれています。

白カビやアオカビの安全に加え、カロリーや脂質、塩分の高さに不安があるので犬にはおすすめできないチーズです。

 

クリームやマスカルポーネは低塩分だが高脂質

犬が食べても大丈夫な人間用チーズは?使い方次第でメリットと栄養効果アップ!与える注意点も

クリームチーズやマスカルポーネなどのように、塩分は控えめでも脂質が高いものがあります。

そのようなチーズは与える量を半分にするなど、量を調整しましょう。

 

人間用の加工品は与えない

チーズかまぼこやチーズタラ、チーズケーキなどの人間用の加工品は塩分や糖分、添加物が多く入っています。そのため、犬に与えないようにしましょう。犬用のチーズかまぼこやチーズタラも販売されているので、そちらの方が安全です。

犬用チーズは塩分や添加物が多いものがある

犬用チーズの中には、人間用チーズよりもカロリーや脂質、塩分、添加物が多いものがあります。パッケージの裏面の成分表記を確認し、犬にとって害にならないかを確認することが大切です。

チーズの栄養素

チーズの種類によって含まれる栄養素の種類や含有量は異なりますが、下記の栄養素はほぼすべてのチーズに含まれています。

たんぱく質

たんぱく質は20種類のアミノ酸が鎖のように結合してできています。筋肉や内臓、被毛、皮膚などを占めている構成成分で、犬の体作りに欠かせない栄養素です。このうち、体内で生成することができない9種類(必須アミノ酸)は食べ物から摂取しなければなりません。

脂質

脂質は体のエネルギー源になります。子犬は成長のために、成犬の約1.5倍の脂質を取らなければなりません。ダイエットのためにと脂質を制限してしまうと、必須脂肪酸の不足により骨が変形してしまう恐れがあります。またシニア犬は消化機能が低下しているので、脂質を摂取しすぎると消化器に負担がかかってしまいます。年齢や体型に合った適量の脂質を与えることが大切です。

カルシウム

カルシウムは骨と歯の構成成分の99%を占めているほど、体の骨格を強化しバランスを整える働きを持ちます。また筋肉の収縮・弛緩の働き、神経刺激の興奮や伝達、ホルモンの分泌、血液の凝固などにも役立っており、カルシウムは体を支えるために欠かせない栄養素です。

妊娠・授乳中の母犬はカルシウムが不足する「低カルシウム症」が起こる傾向があります。とくに小型犬や多産の場合に多くみられるので、年齢や体型に合った適量のカルシウムを摂取することが大切です。

犬にチーズを与えるメリット

下痢になりにくい

牛乳などの乳製品には乳糖が含まれており、ラクターゼという消化酵素が乳糖を分解する働きを持っています。このラクターゼが少なく、乳糖を十分に分解できない体質を乳糖不耐症といいます。体質によっては、少量の牛乳であっても腹痛や下痢などの症状があらわれる犬もいます。

チーズは牛乳やヤギ乳を乳酸菌で固めて作っているため、ほとんどの乳糖が分解されています。そのため、乳糖不耐症の犬でも腹痛や下痢になりにくいという特徴があります。

カルシウムを摂取できる

犬は体内でカルシウムを合成することができないので、食べ物から摂取する必要があります。総合栄養食のドッグフードを食べていれば不足することはありませんが、食欲が落ちてドッグフードを食べないときなどにチーズを活用してみてください。食欲促進とカルシウム補給が期待できます。

薬を包んで飲むことができる

錠剤の薬が苦手な犬は多いでしょう。ドッグフードと一緒に混ぜてもうまく避けて食べないこともあり、お悩みの飼い主さんも多いのではないでしょうか。

そんなときは薬をチーズで包み、薬だと悟られずに飲んでもらうことができます。ただし、処方された薬をチーズに包んでいいのか、人間用のチーズを薬と併用していいのかは、必ず事前にかかりつけの獣医師さんに相談しましょう。

嗜好性が高いので、ご褒美に最適

人間用チーズは香りが強く嗜好性が高いため、日常的なドッグフードのトッピングをするよりもたまのご褒美として与えることが最適といえます。トレーニングを頑張ったあとやお留守番をしてくれたあとなどにご褒美として与えることで、喜びと達成感を得ることができます。

犬は量よりも回数に喜びを感じる動物です。「一回の量が多い」というよりも「ご褒美の回数が多い」を意識して、小さくちぎったチーズを数回に分けて与えるようにしましょう。

チーズを与えるときの注意点

乳製品アレルギーの犬には与えない

チーズは乳製品であるため、乳製品アレルギーを持っている犬には絶対に与えてはいけません。チーズに限らず、犬に初めて食べ物を与えるときは少量からスタートし、食べたあとも必ず様子を見ましょう。下痢や嘔吐、皮膚の赤み、口周りを痒がる様子などがみられたら、すぐに病院で診てもらってください。

小さくちぎる、または削る

チーズは固く溶けにくい性質なので、犬に与えるときは小さくちぎったり、チーズスライサーで細かく削りましょう。固い塊のまま与えてしまうと喉に詰まったり傷つけてしまいます。歯が弱い子犬やシニア犬はとくに注意してください。

与えすぎは肥満や病気の原因に

チーズは好きな犬が多く、小さい形状なので、ついつい与えすぎてしまうかもしれません。しかし、与えすぎは肥満や病気の発症の原因となってしまいます。犬にチーズを与えるときは適正の総摂取カロリーの10%程度にし、ドッグフードのトッピングやおやつ、ご褒美として与えましょう。

チーズをどのくらい食べたら危険なのか

犬がチーズを多量に食べてしまった場合、中毒症状があらわれます。食塩中毒は脳神経症状や腎機能障害、肺水腫などを引き起こし、最悪の場合は命に関わります。

体重1kgあたり塩分2~3gで中毒症状、4gで致死量となります。

チーズは香りや味が強いため嗜好性が高いので、一度食べるとやみつきになる犬も多いでしょう。チーズを買ったあとは犬の手が届かない場所に置き、つまみ食いや過剰摂取には十分に気を付けてください。

犬に人間用チーズを与えるメリットはありますが、日常的に積極的に与えるものではありません。

まとめ

  • 人間用チーズはカロリー、脂質、塩分が低く、添加物が入っていないものを選ぶ
  • 犬に与えるならカッテージとリコッタ、モッツァレラがおすすめ
  • 人間用チーズは嗜好性が高いため、投薬やご褒美に最適
  • 過剰摂取は肥満や食塩中毒の原因に

ABOUTこの記事をかいた人

古川菜々

愛玩動物飼養管理士2級、ペットセラピスト、ペット看護士、愛犬飼育スペシャリスト、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。帝京科学大学アニマルサイエンス学科卒業。文章を通してわんちゃんの魅力を発信できること、また多くの飼い主さんの悩みや不安を解決できることに魅力を感じ、動物ライターという仕事を選びました。「飼い主さんのお力添えに。わんちゃんの幸せの一助に。」をモットーに、私が書いた記事が飼い主さんとわんちゃんの幸せのお手伝いになれば嬉しいです。