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ドッグフードの原材料:ショウガ(ginger)
「ショウガには犬が中毒になる成分が含まれている」「犬にショウガを与えてはいけない」というイメージが強いショウガ。しかしショウガは、ニンニクやネギなどのネギ科ではなくショウガ科で、ネギ類とは全く別物の食べ物です。
ショウガには犬が中毒を起こすような成分は入っていないため、食べても大丈夫です!
犬の健康に効果的な栄養素について、また、より効果的に栄養素を摂取できる食べ合わせのいい食材についてご紹介します。
ショウガが原材料のドッグフード
ショウガはさまざまなドッグフードの原材料で使用されています。原材料欄ではショウガではなくジンジャーと表記されることもあります。
- ペロリコドッグフード ライト
- ハッピードッグ/スプリーム・センシブル トスカーナ ダック&サーモン
- ネルソンズドッグフード
- レティシアン/エッセンシャルドッグフード
- ハッピードッグ/ピエモンテ
- EQUILIBRIA/Cat ウェットタイプ
- GO! SOLUTIONS/カーニボアシリーズ
ショウガの辛味成分と香り成分は栄養が豊富
下表は、すりおろしたショウガ100gに含まれる栄養素です。
エネルギー | 58 | kcal |
水分 | 81.6 | g |
たんぱく質 | 0.7 | g |
炭水化物 | 16.9 | g |
カリウム | 580 | mg |
食物繊維 | 7.4 | g |
出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
ショウガにはカリウムや食物繊維などの栄養が含まれていますが、犬の健康の栄養価という点では脇役的存在です。主役はショウガ特有の辛味成分と香り成分となります。
辛味成分:ジンゲロール
ジンゲロールとは、生のショウガ(とくに皮)に多く含まれる辛味成分です。強い殺菌・抗菌作用、免疫力の向上、吐き気や頭痛を抑える作用、鎮痛・抗炎症作用などさまざまな働きを持っています。
このジンゲロールの働きによって、風邪をひいたときにはショウガ湯やショウガ紅茶が効果的といわれています。またショウガをすりおろして作ったショウガ湿布やショウガ風呂は皮膚からジンゲロールを吸収することができるため、健康の促進に効果的といわれています。
ショウガを加熱したり乾燥すると、ジンゲロールの一部がショウガオールに変化します。
辛味成分:ショウガオール
ショウガオールは生のショウガよりも加熱したものや乾燥させたものに多く含まれ、胃や腸に良い刺激を与えて全身の血流を良くする作用を持ちます。ジンゲロールよりも体の温め効果が高いため、より体を温め、冷え性を改善することができます。
人間の冷え性の症状としては手足の冷え(末端冷え性)が代表的ですが、実は犬も冷え性があります。肉球に分布している毛細血管が冷えすぎると血流が悪くなり、体温の低下につながります。とくにシニア犬は筋力や基礎代謝の低下により、冷え性になる傾向にあります。
香り成分:シネオール
ショウガの独特な香りは、香り成分であるシネオールです。ローズマリーやヨモギ、セイジなどのハーブ類にも含まれている香り成分で、疲労回復や食欲増進、消炎作用などの夏バテに効果があるだけでなく、胃を丈夫にする効果があります。
犬にショウガを与えるときの注意点
人間用のショウガ料理は与えない
人間用に味付けされたショウガ料理は、犬に与えてはいけません。お寿司に付いているガリ、料理で使うショウガチューブ、紅ショウガ、ジンジャーエール、ジンジャーティーなどは塩分や糖分などの調味料が入っています。とくにショウガ焼きは要注意です。タレに玉ねぎやニンニクのすりおろしが入っているため、「お肉だけなら」と犬に与えるのも非常に危険です。
ドッグフードにトッピングしたり手作り食でショウガを使うときは、ご家庭で生のショウガをすりおろしましょう。
ショウガの皮はよく洗う
辛味成分のジンゲロールは皮に多く含まれています。生のショウガを犬に与える場合は
ショウガの栄養をそのまま摂取するには
生でも加熱してもOK
生のショウガを犬に与える場合は皮を剥かずにすりおろすことがおすすめです。しかし皮には農薬が含まれている可能性もあるので、よく洗いましょう。
ショウガは生のままでも十分な栄養成分がありますが、加熱したり乾燥するとジンゲロールがショウガオールに変化して、さらに良い栄養効果を得ることができます。
犬がネギ類を食べてはいけない理由
犬はネギやニンニク、ニラ、らっきょうなどのネギ類のものを食べると「ネギ中毒」を引き起こします。
ネギ中毒の原因は、ネギ類に共通して含まれる「有機チオ硫酸化合物」という有害物質と、ネギ類の匂い成分である「アリルプロピルジスルフィド」という有機硫黄化合物、ネギ類の辛味成分である「硫化アリル」です。
アリルプロピルジスルフィドは有機チオ硫酸化合物の吸収力を高める作用があります。有機チオ硫酸化合物は赤血球のヘモグロビンを酸化し、ハインツ小体という成分を作ります。そうすると血液中で赤血球が溶け出したり、臓器が破壊されることで、溶血性貧血や急性腎不全などを引き起こします。嘔吐や下痢、吐き気、血尿、貧血、痙攣などの症状があらわれ、最悪の場合は死に至ることもあります。
加熱調理してもアリルプロピルジスルフィドは分解されることはありません。そのため、ネギ類が入っている料理をつまみ食いされないよう十分に気を付けてください。見た目だけではネギが入っているのか分からない料理も多いため、煮込み料理や離乳食などにも注意が必要です。
「犬にショウガはだめ」と言われるナゾ
犬が中毒を起こすのは、有機チオ硫酸化合物やアリルプロピルジスルフィド、硫化アリルです。しかし、ショウガにはこれらの成分は含まれていません。市販のドッグフードや犬用サプリメントにも、犬の健康維持としてショウガが使用されている商品が多数あります。
ショウガはネギと一緒に薬味に使われることが多いこと、また見た目がニンニクに似ていること、が「犬にショウガはだめ」と言われる理由として考えられます。
まとめ
- ショウガには犬が中毒を起こすような成分は含まれていない
- ショウガの辛味成分と香り成分が栄養効果が高い
- ショウガは生よりも加熱した方が栄養効果が期待できる