ペットロスとは?なりやすい人や症状、犬との別れを乗り越える心の向き合い方

ペットロスとは?なりやすい人や症状、犬との別れを乗り越える心の向き合い方

家族の一員として共に過ごしてきた犬との別れは、言葉では表しきれないほど深い喪失感をもたらします。「時間が解決する」「また飼えばいい」といった周囲の言葉に違和感を覚え、自分の悲しみが理解されていないと感じる人も少なくありません。

こうした強い悲嘆や心身の不調は、単なる気分の落ち込みではなく「ペットロス」と呼ばれる心理的反応の一つです。

ペットロスは誰にでも起こり得るものであり、決して弱さや甘えではありません。

この記事では、ペットロスとは何かを整理したうえで、なりやすい人の傾向や症状、少しずつ受け止めていくための心の向き合い方について解説します。

ペットロスとは

ペットロスの定義と背景

「ペットロス」とは、犬などのペットを失ったときに感じる深い悲しみや喪失感、さらにはそこから派生するさまざまな心理的・身体的反応を総称した言葉です。近年は犬を「家族」として捉える人が増え、犬の存在は単なる癒しではなく、精神的な支えや心のよりどころとして重要な役割を果たしています。

犬の存在が人に与える影響

とくに犬は人と長時間を共に過ごす傾向が強く、日常のルーティンや感情のやりとりに密接に関わってきます。毎日の散歩やアイコンタクトを通じた信頼関係、時間を共有する安心感など、飼い主の心を支えてくれます。このような存在が突然いなくなってしまったとき、その影響は計り知れません。

ペットロスになりやすい人の特徴

犬に強く依存していた人

生活のなかで犬に多くの感情を預けていた人ほど、別れの際に受けるダメージは大きくなります。例えば、子どものように接していた人や、「この子がいなかったら生きていけなかった」と思うほどの関係性を築いていた人は、喪失を現実として受け入れるまでに長い時間を必要とします。

一人暮らしや高齢者など孤独を感じやすい人

犬が唯一の話し相手、生活の中心であった場合、喪失感は孤独と強く結びついてしまいます。とくに高齢者やパートナーを亡くした人、一人で生活している人は、愛犬との日々が生活そのものだったことも多く、その喪失によって「生きがい」を見失うこともあります。

真面目で責任感が強いタイプ

犬の最期に関して「自分の判断が間違っていたのでは」「もっと何かできたのではないか」と自責の念を抱きやすい人も、ペットロスが深刻化する傾向があります。とくに動物病院での治療判断や、安楽死を選択した場合などは葛藤や後悔が強く残ります。

感情を表に出すのが苦手な人

本当は悲しくてたまらないのに、それを表現できず、内にため込んでしまうタイプの人は、時間が経っても心の整理がつかず、症状が慢性化してしまうことがあります。誰にも打ち明けられないまま苦しんでいるケースも少なくありません。

ペットロスの代表的な症状

心の中に現れるさまざまな感情

愛犬を失った直後には、強い悲しみ、怒り、喪失感、虚無感が襲ってくることがあります。何気ない日常の瞬間に「もういないんだ」と気づかされ、突然涙が止まらなくなったり、感情が激しく乱れることもあります。また、周囲がその悲しみに共感してくれない場合、孤独や怒りがさらに増幅してしまうことがあります。

体に出る不調や違和感

精神的ストレスは身体にも影響を及ぼします。愛犬を亡くしたあと、眠れない、食欲がわかない、頭痛や腹痛が続く、動悸がするなど、明確な身体的症状として現れることもあります。とくに女性の場合、ホルモンバランスの変化と重なることで、長期的に不調を引きずることもあります。

行動や思考の変化

犬のために行っていた日課が突然なくなることで、生活リズムが大きく崩れることがあります。朝夕の散歩や食事の用意といった日課が消えることで、無力感や喪失感に襲われることもあります。また、ペットの使っていた食器や首輪などを片付けられず、時間が止まったように感じる人もいます。

悲しみには5段階がある

ドイツの精神科医エリザベス・キューブラー=ロスは、人が大切な存在の死に直面したとき、心は「否認→怒り→交渉→抑うつ→受容」という心理的段階をたどりながら、少しずつ現実を受け止めていくと説明しています。

これは「必ずこの順番で進む」「全員が同じ段階を経験する」というものではなく、受容に近づいたと思った後に再び否認や怒りが強くなることもありますし、特定の段階をほとんど感じない人もいます。どの反応も異常ではなく、その人なりの大切な犬との関係性を反映した自然な心の動きです。

ペットロスを克服するための心の向き合い方

悲しみを押し込めず、自然な感情として受け止める

「こんなに悲しんでいる自分はおかしいのではないか」と自分を責めるのではなく、まずはその悲しみが「当然の感情である」ことを受け入れることが大切です。愛犬との絆が深かったからこそ、別れが辛いのは当然のこと。涙を流し、思い出を語り、喪失感と向き合う時間を持つことが、癒しの第一歩となります。

同じ体験をした人と話す・つながる

ペットロスのつらさは、同じ経験をした人にしか本当の意味では理解してもらえないことがあります。SNSやオンラインコミュニティ、ペット専門のグリーフサポートグループに参加することで、孤独な気持ちが少しずつ和らぎます。犬好きの仲間が、あなたの気持ちに寄り添ってくれるかもしれません。

愛犬との思い出を「形」にする

ペットロスを乗り越えるためには、愛犬の存在を「なかったこと」にするのではなく、「これからも心の中に存在している」と感じられるような記録や形を残すことが有効です。写真を飾る、アルバムを作る、日記に思い出を書く、似顔絵やメモリアルグッズを作るといった行為は、心の整理を助けてくれます

無理に次のペットを迎えない

喪失感を埋めようとして、新たな犬をすぐに迎えることは避けた方がよい場合もあります。前のペットの存在と比較してしまったり、心が完全に癒えていないことで新しいペットと向き合えなくなることもあるためです。新たな出会いを焦らず、自分の心が自然と「また迎えたい」と思える時が来るまで待ちましょう

長く続く悲しみとどう付き合うか

長引くペットロスは「複雑性悲嘆」の可能性も

ペットを亡くしてから何か月も経っているのに、日常生活がままならない状態が続いている場合は、「複雑性悲嘆」と呼ばれる心の状態に陥っている可能性があります。犬の死から立ち直れず、常に罪悪感や孤独に苛まれている場合、カウンセラーや心療内科などの専門家のサポートを受けることも検討してみてください。

ペットの死を通じて「生きる意味」を見つける

ペットロスの先に見えるものは、必ずしも「悲しみ」だけではありません。犬の命と向き合ったことで、「いのちの大切さ」や「共に生きることの意味」に気づき、人生観が変わったという人もいます。その気づきを自分なりの言葉にし、誰かに伝えていくことが、ペットの命を未来へつなぐことにもなります。

まとめ

犬との別れは、想像以上に心を揺さぶるものです。それだけ強く愛していたからこそ、別れがこれほどまでに苦しいのです。愛犬と過ごした日々を否定することなく、少しずつ、でも確実に前を向いて歩んでいくことが、あなた自身と亡きペットの両方を癒す道です。