犬の歯周病とは
歯と歯茎の間で炎症が起こる病気
歯周病(Periodontal disease)は、歯と歯茎の隙間(歯周ポケット)に歯垢が溜まることで炎症を起こす病気で、主に「歯肉炎」「歯周炎」を合わせて歯周病と呼んでいます。
歯周病は犬に最も多い病気ですが、特に顎の小さい小型犬の発症率が高く、一般的に高齢犬が発症しやすくなります。人の場合、歯周病が命を脅かすほど重症化することはほとんどありませんが、犬は歯周病が重症化すると口腔内だけでなく、全身にまで影響が出ることもあるため、油断できない恐ろしい病気です。
犬の歯周病の症状
- 腫れ
- 赤み
- 出血
- 口臭
- 口内炎
- 歯槽膿漏
- くしゃみ
- 鼻水
- 腫瘍
- 菌血症
- 心臓病、肺炎、腎臓病、肝臓病 etc…
犬の歯肉炎と歯周炎
歯肉炎
歯肉炎では歯肉に腫れや出血、口内炎などが見られますが、この時点で歯槽骨までは吸収されていないので、動物病院に連れていけば治療して治すことも可能です。
歯周炎
歯周炎は、歯肉炎が進行して歯槽骨まで破壊吸収が進んだ状態になります。歯周炎まで進行すると、破壊された歯槽骨組織が腐り、膿みが出て歯槽膿漏などの症状が現れます。歯周炎が進行すると顎の骨まで破壊し、歯が抜け落ちてしまいます。また、歯の深部の炎症により、顔の皮膚組織も破壊され膿みや腫れて痛々しい姿になります。
また、歯周炎は口の中だけに留まらず、歯周病の原因となっている細菌が体内に入りこみ、全身を巡って菌血症を引き起こしたり全身に炎症を引き起こしたりします。これによって心臓病や肺炎、腎臓や肝臓など様々な場所へ影響することが知られています。
犬は虫歯はなりにくいが歯周病にかかりやすい
虫歯と歯周病は別物で、犬は虫歯にはなりにくいですが、歯が健康でも歯周病が進行している場合もあります。
上の写真は、虫歯がなく歯自体は綺麗ですが、歯周組織が破壊されて歯が剥き出しになっています。
犬の歯周病の治療方法
歯垢や歯石の除去
愛犬の歯周病が軽症の場合は、歯垢や歯石の除去を行い、歯周ポケットに入り込んだ細菌を取り除きます。歯の表面を磨いたり口腔内を丁寧に洗浄して終了になります。
抜歯
歯周組織が破壊され、歯がぐらつくまでに進行している場合は、ぐらついている歯を抜歯し、穴を縫合します。
抗生物質の投与
歯周病では顔の腫れや炎症を抑えるために抗生物質が投与されることもあります。
治療費
検査費用や診察、抜歯が必要な場合の全身麻酔や処置など含めると、歯周病の治療費は最大2万円~10万円ほどかかることもあります。軽症で歯石や歯垢の除去くらいの治療でしたら数千円~1万円以内で収まることもあります。
犬の歯周病は予防が大切
犬の歯周病は重症化すると、顔の骨を溶かしたり、全身の内臓疾患を引き起こす恐ろしい病気です。現在、犬の歯周病ケアを目的としたデンタルケアドッグフードやおもちゃ、また歯磨き効果のあるスナック、歯石の構成対策にミネラルバランスを調整したおやつなど様々な製品が販売されています。
油断しがちでデンタルケアも全くしていなかったという方は、一度愛犬の歯周病の予防や対策について考えてみてはいかがでしょうか。