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ドッグフードの原材料:カモミール(chamomile)
古くから薬草として使用される
カモミールとはキク科に属する一年草または多年草の植物で、ヨーロッパを中心に古くから薬草として用いられてきました。
日本でもカモミールティーとして広く知られており、リラックス効果や消化促進作用があることで有名です。
ドッグフードに使用されるのは主にジャーマンカモミール
カモミールは多くの種類が存在しますが、中でもハーブやアロマオイルとして広く利用されているのは「ジャーマンカモミール」と「ローマンカモミール」の2種です。

ドッグフードの原材料に使用されるカモミールは、より穏やかで安全性が高く、食品として広く使用されることが多いジャーマンカモミールが主流です。
一方、ローマンカモミールは香りが強く苦味もあるため、ドッグフードの原材料ではあまり使用されません。
そのため、パッケージや原材料欄に「カモミール」とだけある場合は、ジャーマンカモミールが使われている可能性が高いです。
カモミールが原材料のドッグフード例
カモミールはさまざまなドッグフードの原材料に使用されています。
カモミールがドッグフードの原材料に使用される目的は、主にリラックス効果や消化機能のサポートが多くみられます。
原材料欄にはカモミールの他に、乾燥カモミールなどと表記されます。
など
カモミールの栄養素と犬への健康効果

カモミールの犬への健康効果
カモミールには犬にとって多くの健康効果があります。
- 抗酸化作用
- 抗炎症作用
- 抗腫瘍作用
- 肝保護作用
- 鎮痛作用
- 抗アレルギー作用
- 抗菌・抗真菌作用
- 不安・ストレス緩和
- 胃腸の調子を整える
リラックス・ストレス緩和作用
カモミールにはリラックスやストレス緩和作用があり、とくにジャーマンカモミールに多く含まれるフラボノイドの一種「アピゲニン」は脳内のベンゾジアゼピン受容体に作用し、穏やかな鎮静効果をもたらすと考えられています。
この作用により、
- 不安感の軽減
- 睡眠の質の向上
- 神経過敏の緩和
- 自律神経のバランスを整える
などの心身のリラックスを促すとされ、日常的なストレス対策としても有効と言えます。
そのため、ストレスを感じやすい犬、環境の変化に敏感な犬、知らない人や犬との交流が苦手な犬、悪天候にびっくりしやすい犬などの気持ちを緩和し、心強いサポート成分となるでしょう。
消化器のサポート効果
カモミールは消化器系の不調を和らげる作用があり、とくにジャーマンカモミールの抗炎症作用や鎮痙作用は、胃痛や胃もたれ、ガスの溜まりによる不快感を和らげるとされています。
また、腸内の過剰な緊張を緩めることで、過敏性腸症候群や軽度の下痢・便秘の改善にも役立つ可能性があります。さらに、抗菌作用もあるため、軽度の胃腸感染へのサポートも期待されます。
食欲が落ちている犬や、胃腸が敏感で嘔吐しやすい犬、胃腸を整えたい犬に有効と言えます。
抗炎症・抗腫瘍作用
カモミールには抗炎症作用や抗腫瘍作用があるとされ、とくにジャーマンカモミールに含まれるアピゲニンや、精油成分カマズレンには、炎症を抑える働きがあるとされています。体内の炎症反応を引き起こす物質の生成を抑制することで、関節炎や皮膚炎などの慢性炎症に対するサポートが期待されています。
また、アピゲニンにはがん細胞の増殖を抑制したり、アポトーシス(細胞の自然死)を促進する作用があることも研究により示唆されており、抗腫瘍効果にもつながる可能性があります。こうした作用はまだ研究段階ではありますが、自然な抗炎症・抗酸化素材として今後の応用が期待されています。
参考:A Comprehensive Study of Therapeutic Applications of Chamomile
犬はカモミールを食べても大丈夫?

食べても大丈夫!
カモミールは多くのドッグフードに配合されているので、食べても大丈夫なハーブです!
ドッグフードのトッピングとして少量加えたり、手作りごはんの材料として取り入れるのが効果的です。毎日ではなく、時々のおやつや健康サポートとして与えるのが良いでしょう。
とくにカモミールティーはノンカフェインであるため、ご家庭でも比較的安全に取り入れやすいでしょう。
カモミールティーを与えるポイント
犬にカモミールティーを与える場合は、下記のポイントに注意しましょう。
- 無糖・無香料のジャーマンカモミールティー
- 人が飲む濃さの10分の1程度に薄めたもの
- 常温程度に冷ます
- 初回はスプーン1杯程度から様子を見る
- 継続的に与える前には必ず獣医師に相談する
犬にカモミールを与える際の注意点
ローマンカモミールの摂取は避けよう
ローマンカモミールはリラックス効果が強い反面、作用も強く、犬には刺激が強すぎることなどから安全性に懸念点があるため、基本的には避けた方が良いとされています。
ドッグフードの原材料に安全性の高いジャーマンカモミールが使用されているかどうか気になる場合は、メーカーに確認してみましょう。
過剰摂取には注意が必要
カモミール自体は犬にとって有害な植物ではなく、また前述でご紹介したアピゲニンやカマズレンは少量であれば多くの健康効果を発揮しますが、過剰摂取しないよう注意が必要です。
とくにエッセンシャルオイルやアロマオイルは香りを吸い込んだだけでも体調を崩す恐れがあるため、室内で使用する場合は犬が近づけない場所に置きましょう。
また、普段与えているドッグフードにカモミールが配合されている場合は、トッピングなどでさらにカモミールを与えると過剰摂取となる恐れがあります。ご家庭でカモミールを与える場合は、事前に原材料欄を確認しましょう。
キク科アレルギーを持つ犬には与えない
カモミールはキク科に属する植物です。キク科アレルギーを持つ犬が摂取すると、皮膚のかゆみや発疹、消化器症状などを引き起こす恐れがあるため与えるのは控えましょう。
まとめ
- ドッグフードの原材料に使用されるのはジャーマンカモミール
- リラックス効果・ストレス緩和作用によりストレス対策に有効
- フラボノイドの一種アピゲニンは抗炎症・抗腫瘍作用がある
- カモミールティーはノンカフェインであるためトッピングにおすすめ
- エッセンシャルオイルやアロマオイルの吸引に注意
- キク科アレルギーを持つ犬は摂取を控える