ドッグフードの原材料:ミルクシスル(Milk thistle)
ミルクシスルとは?
ミルクシスル(Milk Thistle)とはキク科に属する植物で、ハーブの一種です。ヨーロッパや地中海沿岸地域を原産地としています。特徴的な紫色の花と、白い斑点のある葉があり、ハーブティーやサプリメントとして人気です。
なんと、ミルクシスルは2000年以上の歴史を持つハーブです。古代ギリシャやローマ時代にまで遡り、中世ヨーロッパでは「肝臓のハーブ」と呼ばれ重宝されていました。
現在では、お酒やたばこを吸う人にはおすすめのハーブとして、アルコール性肝炎や脂肪肝、肝硬変などの肝疾患の補助療法として活用されています。
名前はキリスト教の伝説に由来

ミルクシスルは、葉の白い斑点模様が「ミルクがこぼれたように見える」ことから名付けられました。
さらに伝承によれば、この白い模様はキリスト教の伝説に由来しているとも言われています。聖母マリアが授乳している際にこぼれた乳が植物の葉に付着し、その結果、葉に白い模様が現れたとされています。そのため、ミルクシスルは「マリアアザミ」や「マリアアザミ」という名前でも知られています。
ミルクシスルという名前の背景には、植物の特徴だけでなく、その文化的な象徴性が反映されています。
ミルクシスルが原材料のドッグフード例
ミルクシスルがドッグフードに使用される目的
ミルクシスルがドッグフードやサプリメントの原材料に使用されるのは、主に種子(シード)です。種子には有効成分であるシリマリンが豊富に含まれており、これがミルクシスルの健康効果の中心となっています。
ミルクシスルは肝臓の健康をサポートする効果があるため、ミルクシスルがドッグフードに配合される目的は肝臓の保護と強化であることが多くみられます。
ミルクシスルが原材料のドッグフード例
ミルクシスルは様々なドッグフードやおやつ、サプリメントの原材料に使用されています。原材料欄には、ミルクシスル、ミルクシスルシード、ミルクシスル種子、ミルクシスルエキスなどと表記されます。
- リリーズキッチン ウェットフード コテージパイ
- ハッピードッグ スプリーム・センシブル トスカーナ ダック&サーモン
- ナチュラルハーベスト プロバイオビスケット ミルクシスル
- アズミラ ミルクシスル など
ミルクシスルの栄養素と犬への健康効果
ミルクシスルに含まれる有効成分シリマリンは抗酸化作用や抗炎症作用があり、肝臓細胞の再生や保護を助けると言われています。
肝臓障害を軽減
シリマリンは強い抗酸化物質であるため、放射線や鉄過剰、アルコール、アセトアミノフェン、テングタケによる肝臓障害を軽減すると分かりました。アルコール性肝疾患、急性・慢性ウイルス性肝炎、毒素誘発性肝疾患の治療に使用されています。
参考:Milk thistle in liver diseases: past, present, future
肝臓の保護と再生
シリマリンは強力な抗酸化作用を持ち、肝臓細胞を酸化ストレスや毒素から保護します。また、肝臓の再生を促進する作用があるため、解毒機能をサポートします。
肝臓や腎臓の解毒能力が低下している高齢犬や、肝炎や肝硬変などの肝疾患がある犬では、解毒機能を補助することが重要です。
抗炎症作用
ミルクシスルのシリマリンは抗炎症作用を持ち、活性化された炎症性サイトカインの産生を抑制します。これにより、肝臓の炎症反応を軽減し、細胞損傷や組織の炎症進行を防ぎます。
消化機能のサポート
シリマリンが胆汁の分泌を促進することで、脂肪の消化を助ける働きがあります。
高齢犬や肝疾患リスクのある犬などの肝機能サポートが必要な犬や、解毒機能を強化したい場合にミルクシスルが配合されることが多いです。
ミルクシスルの注意点
過剰摂取はNG
ミルクシスルは主に肝臓にサポートとして効果的ですが、給与量以上の摂取は避けましょう。
また犬用のミルクシスルのサプリメントも販売されていますが、日常的・長期的な摂取は避け、使用前は必ず獣医師さんに相談してください。
散歩で出合う?
ミルクシスル自体には毒性はありませんが、犬が過剰に摂取しないように注意しましょう。
まとめ
- ミルクシスルは2000年以上の歴史を持つハーブ
- 種子に含まれるシリマリンには肝臓の保護と強化する効果がある
- シリマリンには消化サポートや抗酸化作用、抗炎症作用がある
- ミルクシスルに毒性はないが、過剰摂取には注意