ドッグフードの原材料:タンポポ(dandelion)
薬用や健康食品として利用
春先の散歩でよく出会うタンポポ。鮮やかな黄色の花と、綿毛となって飛んでいく種子は春の到来を思わせますよね。
タンポポはキク科の多年草で、世界中に分布する植物です。日本には在来種(カントウタンポポ、カンサイタンポポなど)と外来種(セイヨウタンポポ)が存在します。
根や葉には栄養価が高く、古くから薬用や健康食品として利用されています。消化促進や利尿作用があり、腸内環境の改善や抗酸化効果も期待されます。
タンポポの根で作られるタンポポ茶
タンポポ茶は主にタンポポの根を焙煎して作られる健康茶で、ノンカフェインです。根に含まれるイヌリンが腸内環境を整え、便秘改善や消化促進に役立ちます。また利尿作用があり、体内の老廃物や余分な水分の排出を助け、むくみ解消やデトックス効果が期待されます。抗酸化成分のポリフェノールも含まれ、細胞の老化を防ぐ働きがあります。
タンポポ茶はノンカフェインなので犬が飲んでも大丈夫です。香ばしい香りがするので食欲が落ちている犬や、水を飲む習慣があまりない犬に、食欲促進や興味を持たせることができるのでおすすめです。
タンポポが原材料のドッグフード
タンポポはさまざまなドッグフードの原材料で使用されています。原材料欄にはタンポポ、セイヨウタンポポ、西洋タンポポ、マウス耳ヤナギタンポポ、タンポポ根などと表記されます。
- リリーズキッチン ウェットフード Cottage Pie
- C&R ビーフ&ミレット
- クプレラ セミベジタリアン
- FINEPET’S ドッグフード
- モグワンドッグフード
- FORZA10 アクティブライン リナールアクティブ
- ハッピードッグ スプリーム・センシブル トスカーナ ダック&サーモン など
タンポポの栄養価と健康効果
ドッグフードの原材料ではタンポポの花、葉、根が使用されますが、花、葉、根のすべてに健康に役立つ成分が含まれています。とくに根や葉は栄養が豊富に含まれています。
その多様な栄養効果により、古くから食用や薬用として利用されてきました。
主な栄養成分と効果
◆ビタミン類
- ビタミンA:視力の維持や免疫力向上、皮膚や粘膜の健康維持
- ビタミンC:強い抗酸化作用により細胞の老化を防ぎ、免疫力向上
- ビタミンK:血液凝固に不可欠で、骨の健康維持
◆ミネラル類
- カリウム:体内のナトリウムバランスを整え、むくみ解消や血圧の調整
- カルシウム:血液中の酸素運搬をサポートし、貧血予防に効果的
- 鉄分:骨や歯の健康維持
◆食物繊維(イヌリン)
イヌリンはタンポポの根に豊富に含まれる水溶性食物繊維で、腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を整えます。便秘解消や消化促進効果が期待されます。
◆ポリフェノール、フラボノイド
ポリフェノールやフラボノイドは体内の活性酸素を抑制することで老化防止や生活習慣病予防につながります。
◆苦味成分(タラキサシン)
胆汁分泌を促進し、脂肪の消化を助けることで胃腸の働きを活性化します。また、肝臓や胆のうの機能をサポートする効果もあります。
参考:Diverse biological activities of dandelion
道端のタンポポは食べても大丈夫?
中毒となる成分はないので食べても大丈夫
犬の散歩で見かけることが多いタンポポ。興味本位で匂いを嗅いだり、パクッと口にしてしまう子も多いのではないでしょうか。
タンポポそのものには中毒となる成分が含まれていないので、犬が少量を食べた場合でも通常は問題ありません。ただし、以下の点に注意が必要です。
注意すべきポイント
◆農薬や除草剤の危険性
公園や道端で生えているタンポポには農薬や除草剤が散布されている可能性があります。これらを摂取すると中毒症状を引き起こす恐れがあります。
◆土壌汚染による重金属や汚染物質
タンポポは深い直根を持つため、土壌内の重金属や汚染物質を吸収しやすい性質があります。この性質は汚染された土地の修復(ファイトレメディエーション)にタンポポが利用される例があるほどです。道端や工業地帯などで育った野生のタンポポには、重金属や汚染物質が蓄積している可能性が高いです。
信頼性が高いドッグフードメーカーでは、汚染リスクの低い環境で栽培されたタンポポを原材料に使用しています。
◆タンポポの茎にはラテックスが含まれている
ラテックスとはタンポポの茎に含まれている成分で、切ったり傷ついたりすると出る白い乳液状の液体のことです。ラテックスは強い苦味を持ち、アレルギー反応や消化不良を引き起こす可能性があります。
ドッグフードの原材料でタンポポを使用する場合はほとんどが花、葉、根であり、茎は含まれません。
◆食べすぎによる消化不良
犬は体調を整えるために植物を食べたがることがありますが、過剰に食べすぎると消化器官に負担をかけ、嘔吐や下痢を引き起こす恐れがあります。
散歩中は犬が植物や草花をむやみに食べないように注意し、散歩コースは農薬や汚染のリスクが低い場所を選ぶようにしましょう。
まとめ
- タンポポは古くから薬用や健康食品として利用されている
- タンポポ茶はノンカフェインなので飲んでも大丈夫
- ビタミンやフラボノイドで豊富で強い抗酸化作用
- 道端のタンポポは食べても大丈夫だが注意点もある