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ペットフード安全法とは
ペットフードの安全を守るため、事業者に対して義務付けられた法律
ペットフード安全法(正式名称:愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律)とは、2008年に制定、2009年6月1日に施行された法律で、ペットフードの安全性を守るために事業者(製造業者、輸入業者、販売業者)に対して記録の義務やペットフードの基準、成分規格等が定められています。
ペットフード安全法によって定められた基準や規格に合わないペットフードは製造も輸入も販売もすることはできません。また違反した場合には罰則も科せられます。
- ペットフードの基準・規格を設定
- 有害物質を含むペットフードの製造・輸入・販売を禁止
- 定めた基準や規格に合わないペットフードの廃棄・回収の命令
- ペットフードの製造・輸入業者の届け出を義務化
- ペットフードの輸入業者、製造または販売業者の帳簿記載を義務化
- 報告徴収、立ち入り検査等の実施
ざっくりこのような内容が制定されています。
ペットフード安全法の規制の対象になるペットフード
ペットフード安全法では対象になるペットフードと対象外となるペットフードがあります。
まずペットフード安全法の対象となるのは、犬用・猫用のペットフード、すなわちドッグフードとキャットフードです。これ以外のうさぎ、鳥、ハムスターなどの小動物や爬虫類、魚などに与える食事はペットフード安全法の対象外となっています。
引用元:環境省 ペットフード安全法のあらまし Ⅰ愛玩動物用飼料の安全性の確保に関する法律とは
法律の対象となるのは、犬と猫のペットフードです。薬事法で規制される”医薬品”、口に入れるが飲み込まない”おもちゃ”、香付けや遊具として使用される”またたび”、毛づくろいで飲み込んだ毛と一緒に吐き出されてしまう”猫草”あどは法律の対象とはなりません。店内で飲食されるフードも対象外ですが、あらかじめ持ち帰り用に包装されたものは対象となります。
また、犬用や猫用の食べ物でも、対象になるもの、ならないものがあります。
- 総合栄養食
- 一般食
- おやつ
- スナック
- ガム
- 生肉
- サプリメント
- ミネラルウォーター
- 医薬品
- おもちゃ
- ペットフード容器
- 店内で飲食されるフード
- 調査研究用のフード
また猫の場合これに加えて、猫草やマタタビなどもペットフード安全法の対象外になります。口にしたり舐める可能性がある物でも、フードではないので、ペットフード安全法の対象には含まれません。
ペットフード安全法で定められる基準・規格
成分規格
分類 | 物質等 | 上限値(μg/g) |
---|---|---|
添加物 | エトキシキン・BHA・BHT | 150(合計量) 犬用にあたっては、エトキシキン75以下 |
亜硝酸ナトリウム | 100 | |
農薬 | グリホサート | 15 |
クロルピリホスメチル | 10 | |
ピリミホスメチル | 2 | |
マラチオン | 10 | |
メタミドホス | 0.2 | |
汚染物質※ | アフラトキシンB1 | 0.02 |
デオキシニバレノール | 2(犬用) 1(猫用) |
|
カドミウム | 1 | |
鉛 | 3 | |
砒素(注) | 15 | |
BHC (α-BHC、β-BHC、γ-BHC及びδ-BHC、の総和をいう。) | 0.01 | |
DDT (DDD及びDDEを含む。) | 0.1 | |
アルドリン及びディルドリン (総和をいう。) | 0.01 | |
エンドリン | 0.01 | |
ヘプタクロル及びヘプタクロルエポキシド (総和をいう。) | 0.01 | |
その他 | メラミン | 2.5 |
製造方法基準
分類 | 物質等 | 基準 |
---|---|---|
有害微生物 | 有害微生物全般 | 加熱し、または乾燥する場合は、原材料等に由来し、かつ発育しえる微生物を除去するのに十分な効力を有する方法で行うこと |
添加物 | ブロピレングリコール | 猫用ペットフードには用いてはならない |
原料全般 | その他の有害物質等 | 有害な物質を含み、もしくは病原微生物により汚染され、またはこれらの疑いがある原材料を用いてはならない |
表示基準
ペットフード安全法では、パッケージに名称(犬用又は猫用)、賞味期限、原材料名(原則的に添加物を含む全ての原材料を表示)、原産国名(最終加工工程を完了した国)、事業者の氏名又は名称及び住所を表示することが義務づけられています。
- ペットフードの名称
- 原材料名
- 賞味期限
- 事業者の氏名又は名称及び住所
- 原産国名
また輸入された海外産のドッグフードでも、これらは日本語で表記されるよう定められています。
海外の電化製品などを注文すると、取扱説明書が商品説明が英語や中国語のままになっていることが多いですが、ペットフードではそのようなことはありませんので、海外産のキャットフードでも安心して買い求められます。
立入検査と罰則
立入検査
きちんとペットフード安全法に則って製造や販売が行われているかどうか調査するために、国と農林水産消費安全技術センター(FAMIC)は、ペットフードの製造・輸入・販売業者に対して報告を求めたり、必要に応じて事業者に対して無通告で立入検査が実施することがあります。
立入検査では帳簿の確認、法令を守って製造や表示が行われていることの確認、分析検査用の製品・原材料の集取などが行われます。
罰則
ペットフード安全法に違反をしている場合、以下のような罰則が科せられます。
違反による罰則 | |
---|---|
基準・企画の違反、廃棄などの命令の違反 | 1年以下の懲役または100万円以下の罰金(法人の場合は1億円) |
届け絵の虚偽記載・不実施、立入検査の拒否など | 30万円以下の罰金 |
帳簿の虚偽記載・不記載など | 10万円以下の過料 |
報道発表が行われる場合
また次のような違反については重大なものと判断され、報道発表が行われます。
- 安全上の重大な問題があり、直ちに回収する必要がある場合
- 違反が明らかな故意によるもの、あるいは同様の違反を繰り返している場合
ペットフード安全法ができたきっかけ
有害物質のメラミンが混入したアメリカの大量リコール事件
ペットフード安全法が定められたきっかけは、2007年にアメリカで多くの犬や猫に健康被害が出たペットフードの大量リコール事件です。
大量リコール事件では、ペットフードに有害物質であるメラミンが混入し、ペットフードを食べた犬や猫が次々と体調不良や腎不全を引き起こし、死に至る犬や猫もいました。
メラミンが購入したペットフードを販売していたメーカーは、大量のペットフードのリコールを発表し、大きな問題として注目を浴びました。
この事件をきっかけに日本でもペットフードの安全性を守るための法律が検討されるようになり、2009年ついにペットフード安全法が施行されました。
ペットフード安全法まとめ


そのため、ペットフード安全法を守るだけではなくAAFCOなどの海外の認定機関を利用したりしてドッグフードの安全性をアピールしている企業も少なくありません。